おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.07.12column

7月11日大阪十三のサンポードビル映画館で

11日はとにかく暑い一日でしたが、その中を大阪十三のサンポードシティビルまで、わたくし2往復しました。▼13時、5階シアターセブンで試写会『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―』▼19:20、6階第七藝術劇場で21周年記念特集上映 坂本頼光×大森くみこ『何が彼女をそうさせたか』掛け合い活弁。演奏は鳥飼りょうさん。
その間に、町家に戻って事務作業をこなしてアタフタしつつも、何とも充実した一日となりました。
ドキュメンタリー映画『キャメラを持った男たち』は、交流がある(一社)記録映画保存センターの企画・製作・配給で、文化庁AFF2補助金事業。100年前の9月1日11:58東京、神奈川を中心とする関東地方を巨大地震が襲います。10万人を超える死者が出たそうです。映画のキャメラマンとして活動していた人々が震災に直面し、その職業的反応でとっさに手回しのキャメラで震災を記録します。その映像の凄まじさ。避難者からは「こんな時に撮影してんのかよ!」という罵倒が浴びせられ、暴力も受けたようです。キャメラをガードしている腕も映っていました。
 
今のところ判明している撮影者は岩岡巽、高坂利光、白井茂の3名。当館にも震災直後と翌日を記録した生々しい映像がありますが、3名のうちのどなたかが撮影したものなのかもしれませんし、別の人かもしれず。ともあれ「何があったのか」映像で記録しておくことの大切さがわかります。
 
新聞で連載している石井正己・東京学芸大学名誉教授の「文豪たちの関東大震災」の本日12日掲載④は芥川龍之介を主に。赤ん坊の次男が2階に寝ているのを知っていながら、自分ばかり先に逃げた龍之介に対して怒った妻に「人間最後になると自分のことしか考えないものだ」と言ったといいます。妻は子どもたちの衣類をバスケットに入れて避難しようとしますが、龍之介は夏目漱石の書一軸を風呂敷に包みます。どんなに立派な作家であろうと、わたくし的には、この時点で完全にアウトですね。
 
話が逸れましたが、AFFの助成を受けた事業にも正直いろいろあるなぁと思ったのですが、これは価値ある仕事をされたと思います。8月26日から第七藝術劇場、ポレポレ東中野ほかで上映。詳しくはこちらをご覧になって、ぜひ劇場でご覧下さい‼ https://kirokueiga-hozon.jp/movie/camera/

その後、会場を6階第七藝術劇場に移して、19:20から始まった無声映画上映会は平日の夜にもかかわらず、沢山のお客様で埋まりました。同劇場21周年記念として、『何が彼女をそうさせたか』(鈴木重吉監督、1930年、帝国キネマ長瀬撮影所)を、東西の人気活動写真弁士坂本頼光さんと大森くみこさんの掛け合い活弁に、実力派楽士鳥飼りょうさんのピアノ生演奏で特別上映。お客様の期待に応えて、それはそれは素晴らしいステージでした‼
 
第七藝術劇場では、この7月21周年を迎えるに際し、5月28日迄館内改装資金をクラウドファンディングで募り、目標額を大幅に上回る9,543,500円を集めました。この日の大森くみこ弁士の挨拶によれば、スピーカーも幕も全てピカピカ✨坂本頼光さんから「そのお着物もそれで新しく?」と突っ込まれた大森さんは、「そんなことしたら叱られます!」と即、返していましたが、開館21周年を多くの皆様の善意で美しい状態で迎えられたことは何よりです。第七劇場の田社長様をはじめとする皆様に心からお祝いを申し上げます。大口の寄付もあったと耳にしています。地元の映画館を護ろうとの思いの強さが感じられ、とっても良い話ですね💗
 
少しの休憩を挟んで、急遽決まったこの作品をめぐってのトークイベント。
 
 
この映画を作った帝キネ社主山川吉太郎の曾孫にあたる山川正行さん(劇場があるサンポードシティビルのオーナー)と、
 
縁あって復元作業に携わった太田米男が登壇して、3人と一緒に、1992年ロシアで奇跡的に見つかった本作が、こうして今もご覧頂けることの背景を語りました。
 
初めて聞いたことも多かったし、何よりお客さまの反応が良かったので、文字起こしして記録に残そうと思います。首をなが~くしてお待ちくださいませ。
 
 
27年前大阪芸大で復元作業を手伝って下さった方が、この日初めてご覧になり、感激して下さったことも嬉しかったです。鈴木重吉監督ご遺族のご協力を得たことなど、多くの方の尽力で復元することが出来ました。かかわって下さった皆様に改めて厚く御礼を申し上げます。
 
93年前の作品とは言え、今の社会状況にも通じているので、見るたびに「そうだ!そうだ!!」とスクリーンに向かって叫びたくなります。よくぞ、山川暉雄さん(山川吉太郎の孫)が命懸けでロシアから持ち帰ってくださった(1994年)ものだと、改めて感謝の気持ちで一杯です。
大森さんはこの7月の終わり近くで活動写真弁士として11年目をスタートするように聞いた記憶があります。それで節目の10年のうちにお祝いの花をお渡ししたいと、ずっと思っていました。その願いを、この日漸く叶えることができました。そして、まだ確定ではありませんが、10月半ばに坂本頼光さんに再び活弁を披露して頂くチャンスが訪れそうです。最近はありがたいことに、活弁を楽しむ人が増え、幾人もの人から「次はいつですか?」と期待されているので、それに応えられるのではないかと思っています。この日の演奏で、鳥飼さんの巧みな演奏にも大いに魅了されました。鳥飼さんにも来ていただきたいのですが、公演で多忙を極めておられるので、スケジュールを合わせるのが難しくて、なかなかです。
 
素晴らしい無声映画鑑賞の余韻のまま、かつてこの映画の復元作業を手伝ってもらい、このたびのクラファンも手掛けられた連れ合いの教え子の方に声を掛けて貰い、近くで一杯。ご一緒したのは、俳優の日永貴子さん。「どこかで見たことあるなぁ」と最初に挨拶した瞬間から思っていましたが、昨年11月3日「共に生きる会」で上映した聾宝手話映画『ヒゲの校長』において高橋潔校長の妻を演じた女優さんでした。まさか、ここでお会いするとは思いもせず。大阪芸大生の作品にも出演されて、以前からお世話になっていた方でした。世の中は、狭い‼
上映会場でも、幾人もの顔見知りさんと出会いました。皆さん、良き出会いを、感動をもたらせて下さり、本当にありがとうございました‼ また、お会いしましょう!!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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