2025.07.11column
祇園祭:放下鉾の鉾建てと長江家住宅屏風祭

今朝、銀行へ行った足を延ばして、四条新町上ったところにある放下鉾の町会所へ。9日のニュースで例年より1日早く鉾建てが始まったと聞いたので、もうずいぶん組み上っているのだろうと勝手に想像していたら、安全対策で今年から足場や防護ネットを設置するため例年より1日早く作業を始めたのは、祭りの先頭を行く長刀鉾でした。写真右端に移っている囃子方の堀真也さんにお聞きしたら「11日朝6時半に蔵から部材を取り出して、組み立て作業を始めた」そうです。連日の猛暑の中、大変な作業が続きますが、鉾の巡行が終わるまでどうぞ安全に進行されますように。

開いている玄関の奥に蔵までの通路があり、部材を運び出しておられるのが見えました。鉾は釘を一切使わずに、縄だけで部材を固定する「縄がらみ」というやり方で組み立てられます。鉾ごとに、その手法が異なりますので、組み上った鉾のその違いを見て歩くのも楽しいですね。江戸時代に作られた放下鉾の町会所は京都市指定有形文化財の建物ゆえ、勝手にクーラー設置もできないらしく、窓を全開にして扇風機をフル稼働。今年の夏は猛暑なので大変でしょう。夜になると二階囃子が聞こえて来て、祭りムードが一気に高まります。

新町通りを南に向いた写真。この狭い通りを大きな鉾が通るとき、電線に引っかけては一大事。そうならないよう既に黄色のネットが被せてありました。最近の私の楽しみは、鉾が巡行する際の屋根方の動き。軒先に触れたり、ネットに引っかからないよう、高い屋根の上でバランスを取りながら鉾の進行を調整する姿が本当に格好良いです。

4日に堀さんから頂戴した出来立ての放下鉾のちまきを玄関内側に飾っています。旧ミュージアム時代は、玄関の表に飾っていましたが、本来は内側が良いのだそうです。来館して下さる人々の厄を祓って、安全安心な日々が過ごせますようにと願いを込めました。このちまきには、各鉾町が頭を悩ませていて、材料の入手が年々厳しくなっているうえに、作り手が少なくて、その確保と均一に作るのが難しいそうです。先日の京都新聞では、少しでも多くの人に手渡せるよう1本にする鉾町もあるそうで、放下鉾は今年5本を試みながら様子見をするそうです。そんな中頂戴したのは従来通り10本のちまきですので、貴重です。どうぞ、この下をくぐってご利益にあやかってくださいな。
堀さんは笛方ですが、両手を使って演奏するので、実は座って演奏する太鼓や、上から紐でつりさげた鉦を鳴らす鉦方よりも運行中は不安定なのだそうです。四条の御旅所まではゆっくりとした曲調の奉納囃子、御旅所でお祓いを受け、四条河原町を曲がったら、賑やかで曲調も早くなる戻り囃子。悪霊は賑やかで派手好きらしく、賑やかできらびやかな山鉾の巡行で悪霊を集めて戻ってきたら、各鉾町ではすぐに解体作業に着手。1時間ほどでバラしてしまうのだとか。そうして綺麗になった街へ夜になって、神様がお出ましになる神幸祭が営まれます。この神幸祭でお神輿の先を行く武者行列が今年51年ぶりに復活します。大将は馬に乗って行列。長い間復活を望んだ弓矢町の人々の願いが叶って何よりです。どうぞ、お天気にも恵まれますように‼
放下鉾に話を戻すと、前祭でしんがりの23番目船鉾、22番目の岩戸山、その前を進む21番目の放下鉾は共に籤取らずで巡行指定席。3基とも新町通りを帰ってくるので、先に放下鉾をバラしていては岩戸山と船鉾が通れないので、2基の山鉾を先に通すため放下鉾は新町御池で待って、一番最後に町会所に戻ってきます。そのこともあって、放下鉾は一番曲集が多く、演奏時間も長いのだそうです。34基ある山鉾のうち、囃子があるのは14基。2027年に財団法人放下鉾が組織されて100周年を迎えます。蔵を直したり、まだまだ手掛けねばならないことが多いようですが、この先もずっと平和な世の中であり続けて、継続されますように。
順調なら、13日は放下鉾の曳き初めが行われます。閉館後に組み上った鉾を見に行こうと思います。町会所で「コンチキチン♪」の祇園囃子も聞けることでしょう。なお、放下鉾は重量と安全のため、今も昔も一般の人は男女問わず鉾の上にのぼれません。見上げて楽しむ鉾もまたゆかし。

同じ13~16日まで船鉾町の長江家住宅(京都市指定有形文化財)で、今年も屏風祭が開催されます。例年山鉾町に古くからあるお宅を中心に屏風祭が行われ、以前秦家などを見学した時の様子は、こちらで書いていますが、長江家住宅はまだ見学できておりませんでした。ようやく今年拝見できる機会を得て、大いに楽しみにしています。

と言いますのも、今年の展示に「京都ニュース」を加えていただき、一緒に保存活動をしている立命館大学アートリサーチセンター(ARC)矢野桂司教授からご案内をいただいたからです。大学院生だった宮田悠史さんの尽力で公開されたARCの「京都ニュースアーカイブ」もぜひご覧下さい。今回の展示では、「京都ニュース」で取り上げられた祇園祭に関する映像が同家化粧部屋で随時上映される予定です。
チラシを見て今頃知りましたが、長江家住宅の現在の所有者はフージャースグループで、立命館大学と維持管理に関する連携協定を結び、京都市などのサポートを受けて産官学連携しながら、町家保存の取り組みをされているのだそうです。私どもが理想とする維持の事例になりますね、全く羨ましい限り。


