おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2024.10.03infomation

12月8日「活弁上演で蘇るキネマ画『忠臣蔵』」を開催します‼

 

既に各方面にチラシ設置を依頼しており、ご予約も承っている12月8日の催しのご案内です。諸々の処理に追われていて、遅くなってしまいました。文字情報満載のチラシなので、敢えて書く必要もないぐらいなのですが、お読みいただければ嬉しいです。

今回汗をかいて下さる同志社大学文学部美学芸術学科教授佐藤守弘先生と京都精華大学国際マンガ研究センター特任准教授伊藤 遊先生と相談して、新しく“キネマ画”という言葉を作りました。マンガは今や世界的に広がっていますから、英語表記も考えようと、ロチェスター大学教授ジョアン・ベルナルディ先生のお知恵を拝借して、英訳は“Cinema Drawings”としました。いつか、辞書にも記載されると良いなぁと願っています。

今回紹介するキネマ画『忠臣蔵』の存在を知ったのは、熊本日日新聞の松尾正一記者(当時)から掛かってきた1本の問い合わせ電話でした。その取材された記事は、こちらです。

「どんな絵なのか実際に見てみたい」という気持ちが抑えられず、この絵を描かれた芹川文彰さん(1911-1984)の甥の英治さんに依頼して、実物をお借りして2021年春に最初の展覧会をしました。

が、世はコロナ禍真っ最中。“Stay Home”が声高に叫ばれていたこともあり、大勢の人、とりわけマンガ研究者に観て貰いたいという希望は、残念ながら叶えられませんでした。それでも諦められずに、この年12月に再び展覧会をしました。

この時には、討入の日に近い12月18日に東京から坂本頼光さんに来てもらって、彼の活弁と天宮遥さんの電子ピアノの演奏付きで当館で発見した尾上松之助最晩年『(実録)忠臣蔵』(1926年、池田富保監督)を上映しました。68分もある作品を熱演して貰って充分なのに、更にいつもながらの無茶ぶりを発揮して、赤穂観光大使もされている忠臣蔵マニアもりいくすおさんに東京高輪泉岳寺の義士祭、赤穂のマエカワマサミさんに赤穂の義士行列を、熊本の松尾正一さんに山鹿市の日輪寺での赤穂浪士遺髪塔でのお参りの様子を、そして私は京都岡崎にある本妙寺での元禄義挙記念祭の報告をしました。突然降って湧いたような依頼にもかかわらず、皆さん各地で営まれ、大切に継承されている赤穂浪士ゆかりの祭事の様子をご紹介下さいました。

無茶ぶりは、それだけで済まず、「じゃ、せっかくの機会だから」と坂本頼光さんに振って、展示していた芹川版ペン画(この時までは熊本新聞の見出しを尊重して“ペン画”と呼んでいました)の500枚にも及ぶ中から「天の巻」冒頭部分100枚程度を全くの即興で語って貰いました。つられて天宮さんも伴奏をして下さいました。それが大変に面白かったものですから、いつか「天の巻」「地の巻」を通して活弁付きで上演できないものかと、ずっと思っていました。

昨年10月、京都国際映画祭で坂本さんが登壇して下さった折に打診したら、「やります‼」というありがたい返事を頂戴し、実現に一歩踏み出しました。「シベリア抑留って知っていますか?Part2~女性抑留経験者の証言映像と講演~」(2022年12月)、「証言とスケッチで蘇る“南方抑留”の苦難~敗戦後、東南アジアで抑留された日本兵~」(2023年12月)と2年連続で共催に名を連ねて下さった同志社大学ジャーナリズム・メディア・アーカイブス研究センター(JoMA)の小黒純センター長の御協力を得て、“二度あることは三度ある”、今年も美しい同志社大学今出川キャンパス良心館の教室をお借りして実施します。当日の司会進行を佐藤守弘先生にお願いしました。視覚文化とメディアの歴史に詳しいので、引き受けて下さったことに大いに感謝しています。

12月8日は最初に『仮名手本忠臣蔵』に代表される文楽や歌舞伎などに詳しい早稲田大学演劇博物館館長児玉竜一教授に、『忠臣蔵文化とその周辺』の演題でお話して頂きます。昨年3月26日京都府立文化芸術会館で行われた「京の活動写真 下鴨映画祭」の折に児玉先生の講演をお聞きして、噂通りのお話上手だと思って、その場で「いつかお話をして下さい」とお願いしました。それも今回叶いましたので、どうぞお楽しみになさって下さい‼

続いて、坂本頼光さん編集の芹川版『忠臣蔵』を坂本さんの活弁と天宮遥さんのピアノ生演奏で上演して頂きます。予定では90分と長丁場ですので、「天の巻」終了後に10分程度の休憩を入れます。チラシ裏面にお二人のイラストが載っていますが、この夏10日間のインターンシップに来てくれた京都芸術デザイン専門学校1年石橋葵さんと東地美咲さんの制作です。

最後に芹川さんのキネマ画をテーマに佐藤先生と伊藤先生による対談です。タイトルは「静止した映画・動く劇画」。8月21日芹川さんの作品を実際にご覧になった伊藤先生は「モノ自体の存在感もあって圧倒されました。作品も非常に興味深い内容で、マンガ史を考える上でも非常に重要な史料だと思いました」と仰って下さり、漸く芹川さんの作品の良さをマンガ学会でも知って貰える時が来たのではないかと期待しています。伊藤先生は、京都新聞朝刊題字下に毎日載っている『漫画のフキダシ』を執筆されていてご多忙なのですが、そんな中を引き受けて下さいました。豊富な知識をお持ちの佐藤先生とどのような話が展開されるのかもご期待ください‼

この芹川版キネマ画『忠臣蔵』は、地元でもその価値に気が付いてくださったようで、10月26日~11月3日の山鹿芸術文化祭で実物を展示されるそうです。会場では、最初に掲げた12月8日のチラシも置いて下さいますので、地元の人たちにもぜひお越しいただきたいです。もちろん、12月8日は実物を展示して、それぞれの頁を複写してA3判ファイルに入れたものを用意しますので、ぜひ頁を繰りながら間近でご覧頂きたいです。今日では普通に見ることが出来るマンガのスタイルですが、まだ“劇画”という言葉もなかった100年前の描き方というのに何度見ても驚きます。昨年のマレー抑留の日々を抑留者たちが綴った文集『噴焔』復刻の話と同様、今回のキネマ画『忠臣蔵』も復刻版の話が出ると良いなぁと思っています。

大勢の人に活弁の面白さを知って貰いたいという思いもありましたので、小黒先生に大きな教室を借りて貰いました。先着200名で無料です。申し込みはおもちゃ映画ミュージアム☎075-803-0033または電子メールinfo@toyfilm-museum.jpでお願いします。会場でお会いできますことを楽しみにしております!!!!!

なお、この催しは京都市「Arts Aid KYOTO」補助事業です。

 

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