おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2022.07.07column

イェール大学アーロン・ジェロ―教授と教え子のジェイソン・コディ・ダグラスさん、そして二人の大森さん

昨日朝一番に、イエール大学のアーロン・ジェロ―教授が来訪。2016年7月1日に奥様と一緒に訪ねてきてくださいました。その時のことはこちらで書いています。7年ぶりの再会になるのですが、日頃はFacebookで繋がっているので、そんなに久しぶりじゃない気がして。でも、実際にお会いできた喜びは大きいです💗

2016年の時は、日本語訳が出て間もない本『日本映画研究へのガイドブック』を寄贈してもらいました。開館直後の当館のことも紹介して下さったので、国内外からこのガイドブックを読まれた方が訪ねて来てくださいました。共著のミシガン大学のマーク・ノーネス教授共々、影響力がとても大きい研究者です。

「いつも応援しています」と仰ってくださって、本当に嬉しく思いました。この本だけでなく、先生が構築して下さったネットワークによっても、海外の多くの日本映画研究者と知り合うことができましたし、探しもので困っているときにも、このネットワークの力で助けてもらっています。全くおかげ様、です。ご自身のブログで当館のことを、こちらでご紹介してくださっています。ぜひご覧ください。そして、早速今朝のFacebookでもご紹介くださいました💛💗

今回関西へ来られたのは、私どもが知らなかった在野の映画資料コレクターさんが亡くなられ、その連絡を受けてなのだそうです。同じような方が、まだどこかにおられるのでしょうね。今更ながら、いろんな熱心な人によって映画が愛され守られてきたのだなぁと思います。7月2日の「京都ニュースアーカイブ」公開シンポジウムを聞きながら、一層強く思ったのは、文化庁が京都に移転してくることでもあり、この機会に国立映画アーカイブ関西館を作って欲しいということ。2018年8月24~26日に実施した「映画の復元と保存に関するワークショップ」で、私は希望者対象に関西文化学術研究都市を案内しました。旧「私のしごと館」の一角をその分館に使ったら良いのにという思いからでした。思ったように進まないのが世の常ですが、あれから4年が経ちました。

その間に、幸いにして救われた映画関係資料がある一方で、価値が分からないまま捨てられてしまった映画フィルム、紙資料、衣装、音に関するものなども多々あるでしょう。私どもがやっていることは、その中のごく僅かを残すことにしか貢献できていませんが、関西館が実現すれば、密かに自分の死後のコレクションの行方を案じておられる幾多の方々がホッとされると思うのです。自然災害が多発する日本では、分散して保存することが賢明だと思います。これまでも来館して下さる人には、折に触れて話していることですが、もっとマメに発信していこうと思います。

こちらは、アーロン・ジェロー先生に教わっているイエール大学大学院生のジェイソン・コディ・ダグラスさん。2017年10月21日、2018年5月23日に続いて6月29日に3度目の来館。覚えていてくださったことが、何とも嬉しい💗💛♡ 今は早稲田大学を拠点に研究しておられるのだそうです。

2018年来館時、日中の人形アニメーションの土台を築いた持永只仁さんについて関心を示されたので、ご息女の伯子さんのことを話した記憶がありましたが、近日、持永さんについて書いた本が青弓社から出版されるそうです。『アニメ研究を切り開く』(仮題)の1キャプチャーを担当され、日本語タイトルは「協力者としての子ども観客が残した痕跡ー人形アニメーション作家 持永只仁の家族アーカイブにおける調査」だそうです。ずっと持永只仁さんとご家族のことに関心を持ち続けていてくださったことが分かって、大変嬉しく思いました。中国では今も持永さんの名前を冠したアニメーション賞があり、毎年優秀な作品を作った学生さんが表彰されています。日本でももっとそのお名前を知って貰いたいなぁという思いが強いだけに、出版が大変待ち遠しいです。

6月24日には、ニューヨークにあるハミルトン大学の大森恭子准教授が来館。活動写真弁士の大森くみこさんにお越しいただいて、林海象監督の伝説的デビュー作『夢みるように眠りたい』(1986年)を取り上げて、インタビュー。今年4月9日にOSシネマズ神戸ハーバーランドで、天宮遥さんのピアノ演奏付きで大森くみこさんが、この作品に活弁を付けて上映されたことを受け、「どうしてこの作品に活弁を付けてみようと思ったのか?」「難しかったところは?」などの質問と答えを傍で聞いていて、とても面白かったです。

遅まきながらこのインタビューの直前に私は作品を見たのですが、昭和30年代の浅草を舞台にした探偵物語で、モノクロサイレントなのが却って斬新な印象でした。2019年5月「覗いて、写して、楽しむモノたち展」をした時に、江戸川乱歩の原作をもとにした塚原重義監督アニメーション『押絵ト旅スル男』を毎日ご覧いただきました。林監督の作品はきっとこの作品にも影響を与えたのではないかと勝手に想像しています。大森恭子先生は大学で活弁を取り上げておられ、人気の授業なのだそうです。海外の若者が活弁に興味をもって下さるのも嬉しい話題です。

【おまけ】

JR/地下鉄二条駅向かいの千本通りに面した“モクシー京都二条”です。アーロン・ジェロ―先生は5日夜にこのホテルに宿泊され、翌朝、歩いてすぐの当館に来てくださいました。初めて知ったのですが、経営者はジェロ―先生のお友達なのだそうです。

好奇心だけは人一倍なので、早速今朝訪ねてみました。入り口を入ってすぐに目に入ったのが、

アメリカのキーストン社製16ミリ映写機。営業部長さんにお話を伺ったら「京都は映画の街だから」ということで置いておられるのだとか。地下鉄二条駅から終点の天神川駅まで行き、嵐電に乗り換えれば、太秦の映画村はすぐそこ。

お洒落なロビーでは映写もできるので「おもちゃ映画のチャンバラやアニメーションを見ていただければ海外の人も興味を持ってくださるのではないか」と提案しました。ロチェスター大学のジョアン・ベルナルディ教授に英語翻訳してもらった当館のチラシも受け取って頂けたので、手に取って見学に来ていただけたら良いなぁ。営業部長さんは「前からおもちゃ映画ミュージアムのことが気になっていたんです」と仰ってくださったので、なおさら嬉しくて💗 アーロン・ジェロ―先生が良い出会いをもたらしてくださいました‼

 

 

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