おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.07.15column

面白い出会いが続きます

14日も面白い出会いが続きました。

他のことに手をとられて展示説明がおろそかになっていることを詫びると、「テレビドラマなどのアートディレクターをしているので、おおよそのことは多少わかっています」と仰るので、一安心。興味が湧いたので「例えばどのような作品を」と尋ねたところ、連続ドラマの『クロサギ』などを手掛けられたそうです。「じゃ」ということで、NHKの朝ドラ『まんぷく』に幻燈機を貸し出した話とか、黒沢清監督『スパイの妻』にパテ・ベビー(9.5㎜)のカメラと映写機を貸し出した話などをして、「セットで必要な時は、声を掛けて下されば協力します」と申しました。

「『まんぷく』の時は、そのまま使ってもらうと思っていたのに、美術さんが、それらを参考にして新たに作られたのにびっくりした」と申しましたら、「万一破損したら、そのほうが大変なので、見本にして作られたのでしょう」とのこと。過日、某公立博物館の人から「レコードを良い環境でデジタル化できるので、ぜひレコードを貸して欲しい」と協力を依頼され貸し出したら、勝手に複製を作ろうとしてレコードを割られた経験をしたばかり。やはり、そうした慎重な姿勢が大切なのだと改めて思った次第。

お話をしていたら、この方のおじい様のお名前が俳優の清水元さんで、「黒澤明監督の作品にもちょいちょい出ていたので、映画『祇園祭』にも出てやしないかと」と思って展示をご覧になっていました。残念ながら『祇園祭』でお名前を見つけることはできませんでしたが、ネットで検索したら『野良犬』から『天国と地獄』まで黒澤監督作品に8本も出演されていました。それだけでなく、何と日本初のカラー特撮作品『マグマ大使』(1966年)でマグマ大使生みの親である“アース”役で出演されてました。大映の時代劇にも多く出演されていて、悪役など存在感がある役で引っ張りだこだっただろう風貌をされています。

そしてお父様がNHKのディレクターだった清水満さん。まだNHKしかない時代に入局して、大河ドラマ第5作『三姉妹』(1967年)、第7作『天と地と』(1969年、初のカラー放送、共同演出)、第10作『新・平家物語』(1972年、共同演出)などの作品を演出されています。夢中になって大河ドラマを見ていた時代の作品なので「そうだったの!」という驚きで目をパチクリ。

さらにお父様の妹に当たる清水マリさんは、『鉄腕アトム』の主人公アトムの声をされた方だそうです。女優の仕事をされていましたが、声優の募集があると教えられてオーディションを受けられたところ、大勢の中から選ばれました。その時手塚治虫さんから「アトムに魂を吹き込んでくれてありがとう」といわれたそう。凄いですねぇ‼もとからミーハーなものだから、清水さんの話を聞きながら「あぁ、あの声の!」と舞い上がってしまいました。

その後来館いただいたのは、アメリカのピッツバーグ大学のスティ―ブン・ルダスキー先生。かつて日本で英語の先生をされていたので、会話は楽。来館の目的は、日本の古い映画に関心を持っておられるチャールズ・エクスリー教授から当館も見てくるようにと依頼されたのだそうです。ネットで調べていると、当館と交流があるミシガン大学のマーク・ノーネス教授と親しくされているようで、その繋がりで興味を持ってくださったのかもしれません。

チャールズ・エクスリー教授はピッツバーグ大学で日本ドキュメンタリー映画大賞を主宰されていると知り、太田米男が作った『日中戦争』のダイジェスト版をご覧頂きました。チャールズ先生は、山形国際ドキュメンタリー映画祭にも関心を寄せておられるそうです。さらに「日本から来てもらってKATSUBENのパフォーマンスも大学で行った」という話も出たので、「それは片岡一郎さんに違いない」と話したところ、正解で2019年2月に『御誂次郎吉格子』を活弁上映されています。ピッツバーグ大学にもKATSUBENに興味を持ってくださる先生がおられるのは、何とも嬉しい話。

ピッツバーグにピンでマーキング。私どもが9月に訪問する予定のコロンビア大学やハーバード大学とは、近いようでちょっと離れていますね。こうしてご縁が出来たのですから、いつかピッツバーグ大学でも上映やお話が出来ると良いなぁと思います。

日本の訪問地に入れて下さってありがとうございました。楽しいおしゃべりの時間でした💗

そして、今日は、山形繋がりというのでしょうか、山形大学で博物館館長もされている大喜直彦先生が来館。最近「紙フィルム」のことをお聞きになって、どのようなものかとネットで調べて、京都の実家に戻られたついでに訪ねて下さいました。山形は先の戦争で大きな被害を受けていない地域なのだそうです。だったら、フィルムも残っているかもしれないと思い、発掘の呼びかけ協力を依頼しました。古文書の専門家だと伺い、無声映画時代の字幕などで読み辛いときにもお知恵拝借のお願いをしました。良い出会いでした。

そして今しがたは、NPO法人ダンスアーカイブ構想(Dance Archive Netwook)理事の溝端俊夫さんがお越し下さいました。1930年代から日本モダンダンスの先駆者らに師事して舞踊家として活動した大野一雄さんが創設した舞踊研究所を母体にして、そのアーカイブ活動を引き継いでおられるようです。話を聞きながら、以前勅使河原宏監督の作品でダンスの映像をみせてもらったこと等を思い出しました。溝端さんとの出会いから、今後ダンスに関する映像を目にした時に、少しはお役に立てるかもしれないと思いました。知ることは大切ですね。

ミュージアムで来館者の方とおしゃべりをしていると、いろんな活動に取り組まれている出会いがあり、みんな頑張っているなぁと励まされる思いです。

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