おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.08.09column

ジョアンさん一家と

7日月曜日にロチェスター大学のジョアン・ベルナルディ教授が来館。前回お越しの時は2016年8月だったので、直接会うのは7年振り。日頃はメールやSNSでやり取りして大変お世話になっている先生ですが、直にお顔を見ながらお話するのは格別です。私は関心を持っている映像の探し方などを教えて頂き、早速大助かり。

おしゃべりに夢中になってしまい、遅い目のお昼を一緒に。ひょっとしたら、私にとって今年初めての冷麺かな。近所のラーメン屋さんで、美味しゅうございました💛

そして、昨日日本に着いて、京都に来られたご家族と合流して今朝再びご来館いただきました。私が手にしているのはジョアンさんも執筆された本『RECOLLECTINNG COLLECTINNG A Film and Media Perspective』(思い出す,集める映画とメディアの視点)。編集されたのはピッツバーグ大学名誉教授のルーシー・フィッシャーさん。映画とメディア研究の有名な方で全米芸術批評家基金の受賞者だそうです。

その方からのお声がけに応じて、12名の執筆者のお一人として「ANIMATE OBJECTS」のタイトルで執筆されています。オブジェクトをアニメーション化するという意味でしょうか。子どものころから思い出の品を捨てることができないでいたジョアンさんでしたが、ある時、お母様から持ち物を2つの箱に詰めるよう言われたことがあったそうです。仕方なく貝殻や思い出の時計、小さなフィギュアなどを2つのキャンバスにコラージュして、「アート」に変換して額装して要求に応えました。その額装した思い出のモノたちの写真が2枚大きく載っています。日本に留学時に目にした絵葉書や、サクラグラフが発行している鎌倉を映したお土産用16㎜フィルムのパンフレットなどの写真も。そうしたことが今の研究に結びついているのですね。

この本は、映画やメディア関連の資料収集の多様な世界に光を当てた内容で、寄稿者全員がメディア研究者。ドリス・デイの雑誌から日本映画史の資料、ゴジラのフィギュアやレゴに至るまで、様々な魅力的な資料と、それらの映画とメディア研究の成果と教育との繋がりを分析しています。ほとんどの寄稿者は個人のコレクションについて議論していますが、他の寄稿者のコレクションについて貴重な洞察を提供する寄稿者もおられます。多くの場合非公式で個人的なものとして始まったコレクションが構築され、登録され、この分野に大きく貢献した教育および研究資料を作成するために再編集されています。

グーグル翻訳のアプリに助けて貰いながら、ゆっくり読ませていただきましょう。お嬢さんは二十歳。ジョアンさんが日本に留学されたのは21歳目前の時だそうですから、これぐらいの年で一人で留学する人は世界中にもおられるとはいえ、私などは「凄いなぁ」の一言です。ご一家に前回お会いしたのは2012年、その時のことをこちらで書いています。その時はお嬢さんまだ9歳だったのですね。すっかりレディーになっています。驚いたのは先日来館されたピッツバーグ大学スティーブン・ルダルスキー先生の上司に当たるチャールズ・エクスリー先生ともジョアンさんは講演したりして親交があるのだそうです。日本語を勉強中のお嬢さんはエクスリー先生の授業を受けたことがあると知り、世の中は狭いなぁと改めて思いました。

ご主人はエンジニアで、写真のように終始穏やかにご家族をサポートされていて、とても素敵なご一家です。ジョアンさんが手にしているのは、日本製のおもちゃ映写機。国産アニメと時代劇のフィルム2本を付けてプレゼント。

銀閣寺そばにある「おめん」で遅い目のランチ。海外の人にも良く知られているようで、いろんな国からの観光客が席を埋めていました。この時、1本の電話がかかり、ジョアンさんにとって吉報に。…急な思い付きでしたが、直接ご紹介してご挨拶する方が良いと思い、お電話をかけて下さった方を訪問することに。

出迎えてくれたのは、世界的な名作『羅生門』でタイトルに出てくる扁額。ジョアンさんは、この映画ゆかりの人物が書かれた本を英訳して世界の人に向けて役立たせて貰いたいとずっと希望されていました。日本での留学時代の恩師であることや、連れ合いとも親しくしていることもあって、その許可をこの日得たのでした。ご遺族と直にあって挨拶ができ、今日は良い記念日になりました💗ジョアンさんには、これまでも様々に助けて貰っていますが、そのお礼返しの一つに灯がともった瞬間に立ち会うことができました。今後益々忙しくなりそうですが、彼女の活躍は私どもの喜びでもあります。英語版の本を手にするのを今から楽しみにしています。

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー