おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.08.19column

「戦後民主主義映画の旗手 木下惠介展」を京都新聞で紹介して頂きました‼

今日の京都新聞市民版に、開催中の「戦後民主主義映画の旗手 木下惠介展」のことを載せて頂きました。早速懐かしさを覚えた人や、興味を抱いて下さった方など続々ご来館いただき、大変賑やかな一日となりました。

その中から幾人か紹介しますと、木下監督の母校「浜松工業高校」の後輩にあたる70歳代の男性。現在は京都にお住まいです。同じ高校の著名な卒業生に「昭和の小堀遠州」と称えられ、世界的に有名な「足立美術館庭園」(島根県安来市)等を作庭し、また、大阪芸術大学学長もされた中根金作さんもおられるそうです。また鶴田浩二さんは木下監督の近くにお住まいだったこともあるとか。1968(昭和43)年春に浜松工業高校が春の高校野球選抜大会に初出場した時は、学校からの依頼を受けて木下監督実弟で音楽家の忠司さんが応援歌を作曲されたそうです。ネットで検索しても分からないのですが、卒業生が仰るのだからそうなんでしょう。この方は「木下監督の作品は、じっくりよく見て、人間の機微の描き方を感じ取って欲しい」と話しておられました。

もうお一人紹介すると、京都映画サークル協議会メンバーで、今は9月22~24日に東京で5年ぶりに開催される「第50回全国映連 映画大学」のことで尽力されている方。私が幻に終わった木下監督の『女たちの戦場』の話をしたら、以前同会の「機関誌で『女たちの戦場』について書いてあったことを思い出した」と話して下さいました。どのように書いてあったのか興味津々です。「この作品の映画化をどなたかしてくださらないかしら、と願っている」と言いながら下掲チラシ裏面を見た瞬間、妙案が思い浮かびました。もちろんダメもとで、その方に提案をしました。

丁度8月17日付け京都新聞に、戦時中に日本兵として陸軍病院に配属され、従軍看護師として負傷兵の看護にあたった方の記事が載っていましたので、それも参考にお渡ししました。「新しい戦前」を思わせる昨今の国の在り方にとても危機感を持っていて、再び戦争へ向かわせないために「何があったか」を知って貰うことは重要だと思っています。『女たちの戦場』も木下監督の戦場での体験を反映させた「最も強烈に私の思いをぶつけた力作として自負している」作品です。ダメもとの提案が実現しますように‼

さて、最初に載せた京都新聞記事末尾には、「20日午後1時半から戦争と平和をテーマにした映画の上映会もある」と簡単に書いてありますので、改めてその上映作品を紹介します。

最初に白石慶子監督のアニメーション『ホウセンカおじいちゃん』を上映します。この作品はNHK『ヒバクシャからの手紙』に寄せられた被爆体験記をもとにしています。過去の部分は広島の砂を用いたサンドアニメーションを混ぜ、現在の場面は広島の景色をもとに手描きアニメーションで制作されています。ネットなどでも見ることはできますが、ぜひ大きなスクリーンでご覧頂きたいです。

もう1作品はいのうえきよたか監督『八月の万華鏡』です。

先日、いのうえ監督から「当日配布して下さい」とメッセージが届きました。

………上映に寄せて…………

「八月の万華鏡」は1979(昭和54)年の大阪芸術大学卒業制作として作られた、8ミリ作品です。林えり子(脚本)林渉(撮影)井上きよたか(監督)の3名による共同制作です。その他スタッフとして同学年の優秀な仲間たちにも協力していただき、誕生しました。

制作から、44年経った現在も、こうやって鑑賞していただけることは、「思いもよらぬ」ことであり、制作スタッフのひとりとして、感謝の気持ちでいっぱいです。

「思いもよらぬ」といえば、今のニッポンを俯瞰するとき、

「抑止力を盾にして、再び戦争ができる国」に舵を切るような

風潮がとても歯がゆくてなりません。戦争により、悲しく辛い思いをした過去を忘れていいはずがありません。

思想の自由は、基本的に保証されるべきです。一方で「戦争はイヤだ」という願いには、「右」も「左」もないはずです。

思想以前の「叫び」であるべきだと思うのです。昭和20年8月15日は、現在と「地続き」のほんの少しだけ昔の事実です。

敗戦時5歳だった菊子さんは、今年83歳になりました。

決して忘れ去るほど昔のことではないのだと、思い至っていただけたら幸いです。

…………………………………………

明日は入館料500円だけで、これらの映画と展示もご覧頂けるようにします。お時間がございます方は、ぜひご来館いただいて脚本家の依田義賢先生や映画評論家の滝沢一先生が絶賛した『八月の万華鏡』を大きなスクリーンでご覧下さい。ご来場を心よりお待ちしております。

 

 

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー