おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2023.08.21column

10月29日東京で「伝説の人形アニメの秘史を探る」開催のご案内

 

まだ先のことですが、10月29日に東京の豊島区立舞台芸術交流センターで、日中で人形アニメーションの基礎を築いた持永只仁さんと、雑司ヶ谷(現・南池袋)にあった人形映画製作所をテーマにした催しが開催されますので、ご紹介します。

先日、豊島区国際アート・カルチャー特命大使/SDGs特命大使の他に川本喜八郎研究と人形アニメーション史を研究をされている壱岐國芳さんと当団体正会員で佐賀大学名誉教授の角 和博先生から、上掲チラシ「伝説の人形アニメ映画の秘史を探る」のご案内を頂き、早速カレンダーに書き込みました。久しぶりにお江戸に出かけ、再会できることを今から楽しみにしております。

第一部(無料)では、壱岐さんの講演に続き、持永さんの遺作となってしまった『少年と子だぬき』と、眞賀里文子さんが人形製作で尽力された作品の数々を見せて頂けるようですし、第二部(有料)のシンポジウムでは、「持永只仁と人形アニメーションのDNA」のタイトルで、眞賀里さんと角先生が登壇され、編集者の朝倉史明さんとアシスタントも務められる壱岐さんによる進行で行われるそうです。

各部とも定員100名ですので、関心がある方はお早い目にお申し込みください。

思い起こせば、最初に持永さんのご息女伯子さんを私に繋いでくださったのはアニメーション史研究を牽引してこられた故・渡辺泰先生でした。たまたま国立映画アーカイブから届いた持永只仁展のチラシを見た私は、人形好きなものですからとても惹きつけられました。けれども東京まではなかなか見に行けない現実があります。同じように興味があっても東京まで行けない人たちのために、関西でも持永只仁さんの小さな展覧会ができないかと思って、渡辺先生に呟いたのが始まりでした。

筆まめな先生は早速伯子さんに手紙を書いて私の気持ちを伝えて下さり、それだけでなく、持永さんの指導を受けた川本喜八郎さんの作品を管理されている川本プロダクション福迫社長様、同じく岡本忠成さんの奥様にもお手紙を書いて下さいました。そして、2017年国産アニメ誕生100年を記念して京都国際マンガミュージアムで渡辺先生も登壇されての記念イベントの日に、持永さんとも交流があった日本アニメーション史研究の小松沢甫さんと初めてお会いして、具体的に東京で伯子さんにお会いする段取りが出来ました。

そして開催した時のチラシが、これです。

この短い展覧会中の11月23日には、上映とトークイベントも開催し、その中で伯子さんから中国での様子をお話して頂きました。頑張って書いた振り返りレポートはこちらです。そのお話にも出てきた、日本敗戦後に中国に残って彼の地の映画人に指導した日本の映画人の中に持永さんもいました。新中国映画の基礎を作った東北電影製作所(1946年10月1日成立)での様子が、2018年11月に訪問した北京電影学院内の映画資料展示コーナーで紹介されていました。下段の写真の中に持永只仁さんが写っています。

帰国後も乞われて北京電影学院まで指導に行かれたこともあったので、一連のことが評価されて同学院では今も「持永只仁賞」として、全中国から選抜された学生の優秀なアニメーション作品に授与されています。写真はその授与式を伯子さんに誘って頂いて、北京電影まで見に行った時のものです。

この時は、持永さんのアニメーションで用いられた人形がたくさん展示され、学生さんたちが熱心に見入っておられました。

10月29日の催しは、戦後日本での持永さんの活躍に焦点を当てたものでしょう。雑司ヶ谷にあった人形映画製作所で作られた数々の作品は、ティム・バートンにも影響を与えました。そうした話を人形製作でご一緒された眞賀里文子さんからお聞きできる貴重な機会です。どのような話が聞けるのか大いに楽しみです。

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