2025.06.12column
続・最近出会った海外からのお客さま
5月2日、大雨の日の朝一番に来館くださったドイツのデトレフ・シャウベッカーさん。今は京都府南丹市日吉町胡麻で「ドイツカフェみとき屋」を経営されています。ネットで検索すると、2009年の開館以来、音楽ライブや舞踊ライブなど様々な内容のイベントも開催されているようです。お名前の「シャウベッカー」には「時を見る人」の意味もあるそうで、それと関連するのかもしれませんが、日本製幻燈種板のコレクターさんでした。かつての人々が幻燈を楽しんだ過ぎ去った日々を慈しみつつ、今もその魅力に惹きつけられている、そのような方なのだろうと推察します。
展示している様々な幻燈機をご覧になった後、所蔵されている種板のシリーズもののうち欠けているものを探しておられると知りました。種板を印刷したはがきを幾枚も頂戴しました。その中から2枚を紹介。
私的には、カフェの場所が「胡麻」とあるのが興味深く。平安時代中期に編まれた延喜式に「左馬寮、丹波国胡麻庄」とあるそうですから、古くからの地名なのですね。左馬尞に牧場があったことから「駒」が転じて「胡麻」になったのだろうとネットにありました。いつか、「みとき屋」手製ドイツのソーセージやパンを食べに行けたら、その時には、この日撮り忘れたシャウベッカーさんの写真を撮ってきましょう。
続いて来館いただいたのは、https://franklloydfilms.com/のAntonia Guerreroさん(左)とご主人のPaul Guerreoさん。アントニアさんは有名な映画監督フランク・ロイドのお孫さんでサンタバーバラ出身。ご主人は南米ペルーのリマ出身で、アントニアさんが嬉しそうに指さしているペルーから最初のお客様となりました。
左のお嬢さんがAdriarna Guerreroさん。バックネル大学Eric Faden教授のご紹介で訪ねて下さいました。3人ともロサンゼルスから。ニュースで見ていると、今年1月に発生した大規模な山火事に続き、今はデモもあってロスは大変な状態ですが、安全に過ごしておられることを願います。
ネットの情報では、フランク・ロイドはスコットランド出身で1913年にアメリカに移住。俳優として活躍の後、脚本と映画監督として活躍。『情炎の美姫』(1929年)と『カヴァルケード』(1933年)でアカデミー賞監督賞を受賞しています。1927年5月に創立されたアメリカ映画芸術科学アカデミー創立メンバー36名のうちのお一人でもあります。アメリカ映画に多大な貢献をされた方の子孫の方に、こんな小さなミュージアムに来ていただけたことを光栄に思います。
5月11日に来館いただいたDC CYMBALISTAさん。とても気さくな方とお見受けましたので、「フランス語のチラシ翻訳を点検してもらえないかしら?」と安易にお願いしたところ、「イタリア語の方が得意だけど、フランス語もできる」と写真の通りの笑顔で引き受けてくださいました。目を通しながら「レイアウトを変えた方が良い」と助言を得て、それもそうだと納得。最初に翻訳をしてくださった大阪大学の東志保准教授に今更ながら御礼とお詫びを申し上げます。伝えたい思いが多すぎて、無駄に長い文章、わかりにくい内容で迷惑をおかけしました。最初に翻訳をしてくださったおかげで、次に進むことができたので、感謝でいっぱいです‼
シンバリスタさんと出会ってずいぶん経って、メールアドレスを登録しようとしてネットで検索したら、びっくりする方でした。https://www.downingstgroup.com/bio
このように大活躍されている凄い方だとも知らず、調子に乗って「秋にイタリアへ行くかもしれないから、イタリア語のチラシも作ろうと思っています」と話したら、「最初から翻訳するのは時間がなくて難しいけれど、点検をするのは大丈夫。また連絡して」とおっしゃって。今更ながら「厚かましいことをお願いしたものだ」と汗が噴き出ています。
助言に従い、作り直して、最後の点検をフランスの大学で教えておられるオリアン・シードルさんに点検して頂きました。京都精華大学大学院留学中の彼女とミュージアムで知り合い、フランスに帰国された後にラディスラフ・スタレヴィッチ監督『狐物語』の日本語訳を手伝ってもらいました。交流はその後も続き、今回も助けてもらいました。このフランス語訳したチラシも近日配架します。東先生、シンバリスタさん、オリアンさんと皆さんのお力をお借りして作れることを心から嬉しく思い、御礼を申し上げます。
16日に来館いただいた、Paul Schroeder Rodriguezさんは、アメリカのマサチューセッツ州にあるアマースト大学教授で、スペイン語、ラテンアメリカ文学と映画の研究をされている方です。打ち解けた笑顔が楽しい時間を過ごせたことを物語っていて、大好きな写真です💗ご夫妻が手にしておられるのは、フェナキスティスコープ。私はビューマスター3Dを持っています。
19日には、近くの西陣小学校に通う小学5年生の女児シェニファーさんと仲良しの女の子、シェニファーさんのお父さんリンプ・スマンさんが、通りかかりに来館。ご一家はネパール出身で、同国から最初のお客様となりました。
お友達と二人でお絵描きをしてくれました。大人は何かと大変ですが、子どもたちは異国の文化にもすぐに適応できて良いですね。芳名帳に可愛らしい絵が加わりました。
23日はニューヨークからDimitriさんとRodelynnさんの新婚カップルが来館。外出から私が戻るのをずっと待っていてくださったようです。実はDimitriさんは昨年10月12日に来館してくださっていて、その時のことをブログ最後のあたりで書いています。その時私と交わした会話をよく覚えていて下さり、Rodelynnさんにも会わせてあげようとわざわざ訪ねてくださったのです。私も彼のことをよく覚えていたので、再会を互いに喜び合いました。スマホの翻訳機能を使いながら、お昼時間も気にせず2時間ぐらいずっとおしゃべりしました
……Thank you so much for spending time with us. Your home & museum are beautiful as well as your minds. Hope to visit again!……
と書いてくださって、名残惜しく見送りました。どうぞ、末永くお幸せに💕
28日はエストアニアからご家族3人で来館。お嬢さんLeberaさんのお友達が勧めてくださって来館いただきました。
レベラさんがエストアニアにピンを挿している様子を見守るお母様マルゴットさんの笑顔が優しい。お父さんデミトリーさんの腕に小さいけれど、東京タワー、鳥居、高層ビル、富士山が描かれているのを見つけましたが、残る一つが分からず「なんの絵ですか?」と尋ねましたら、ジャグリングのボールでした。エストアニアで現役のジャグリング・パフォーマーとして活躍。その動画を見せて貰いました。日本のこと、好きでいてくださって皆さん、ありがとうございます‼
【6月13日追記】
今朝の京都新聞を広げてびっくり。連載している「おとなナビ 55+」がJR山陰線「胡麻駅」界隈を取り上げていて、「牧」があったことなどには一切触れず、胡麻が日本海側と太平洋側の境である「中央分水界」で、標高200mの平原に延びる中央分水界は珍しいと紹介していました。胡麻平原は地理的に興味深い土地なのですね。そして記事の最後に「ドイツカフェみとき屋」さんが紹介されていました。冒頭に紹介したデトレフ・シャウベッカーさんは83歳で、ベルリン出身の日本文学研究者でした。奥様は声楽家なので、折々にコンサートなどが開かれているのですね。夕べ書いた「胡麻」について、明朝読むことになるとは凄いタイミングだと思い、追記しました。