2025.06.21column
今日は面白い巡りあわせの日
日記のタイトルに「今日は面白い巡り合わせの日」と付けました。
最初はニューヨークでサイレント映画の演奏をしておられるMAKIA MATSUMURAさんから届いた写真。それに添えられていた文章には、
「今日はリンカーンセンターにて、オスカー・ミショー監督の『Body and Soul』(1925年)の伴奏をしていたのですが、昨年おもちゃ映画ミュージアムを訪問されたCheung Chun Heiさんが観に来てくださいました!(彼は私がNYで伴奏する上映会にほぼ毎回来てくださっています。本当にありがたいことです。)なんと、おもちゃ映画ミュージアムで購入したというTシャツを着用していらしたので、ちょっとブレてしまったのですが、ツーショットをシェアさせていただきます」と、飛び切り嬉しい内容でした💗
彼が着ているTシャツは、2月まで取り組んだクラウドファンディングのリターン用に作ったもので、イラストを日本アニメーション協会名誉会長古川タク先生に描いてもらいました。NYで着てくださっているのを見てとっても嬉しい。よくお似合いです💖
Cheung Chun Heiさんのご一家が昨年11月3日に来てくださったときのことは、ブログで書いています。下掲は旧ミュージアムの前で撮った皆さんの笑顔がとても素敵な写真です。今日彼に「ニューヨークと京都と離れてはいても、思いやりの心で繋がって本当に嬉しい」とメールを送りました。
午前中、知り合いがFacebookでシェアした動画=Huka さんが2023年1月30日にUPされた“Ancient methods to make a clay” =を見ました。
蓮の茎を折って採取した繊維を用いて朱肉を作る工程を記録していました。服装からして中国で撮られた映像かもしれませんが、「朱肉って、あぁやって作るのか」と手間暇かけて作られる工程を興味深く見ました。丁度、冬のイベントに備えて川本喜八郎さんの作品を観ていた時でしたので、これも自分勝手に「不思議な巡り合わせだなぁ」と思いました。というのも、
2017年11月、川本さんの遺作となった『死者の書』の人形2体をお借りして展示させてもらいました。原作は折口信夫で、奈良県にある當麻寺の本尊綴織當麻曼荼羅(国宝)縁のお話。奈良時代の右大臣藤原豊成の娘、中将姫が一晩で蓮の糸を用いて織り上げられたという伝説で知られています。「蓮の糸って、どんなだろう?」とずっと思っていたのですが、「これか!」と思いました。左下に白く写りこんでいるのが、蓮の糸を巻き付けたもの。ネットで検索すると藕絲織(ぐうしおり)は、絹のようなあたたかさと麻のような清涼感を併せ持つ不思議な素材だと言われているそうです。
今朝の京都新聞1面で稲盛財団が「第40回京都賞」の受賞者として、甘利俊一さん、アジム・スラーニさん、キャロル・ギリガンさんの3名を選んだことを報じていました。科学や文明の発展、人類の精神的深化への貢献を称える賞です。この賞の選考委員のお一人、長木誠司東京大学名誉教授が、4月12日に来館してくださいました。お客様がどういう立場の方か知らないまま、いろんな話をして熱心に聞いてくださるので、ついつい日本は文化への理解、支援が少ないと愚痴ってしまいました。
根気よく聞き手になってくださったのが嬉しくて、芳名帳にサインを依頼しましたところ、「長木」と書かれたので、「ながきさんですか?」と尋ねましたら「ちょうきと言います。実は今から京都賞の会議があるので、その前に立ち寄りました。東大で音楽学をやっていました。2階に飾ってあった大きな『メトロポリス』のポスター、ドイツであの映画を世界で1台しかないというオルガンの演奏で観たことがあります。長い作品ですが、風の音なども演奏できるオルガンで、大変印象に残ったので、ポスターを見て思い出しました。お話を聞きながら、何かいっしょにできることがないか、後輩たちに話してみます」とおっしゃって、びっくりぽん!でした。
丁度居合わせた7月6日研究発表をしていただく澤田佳佑さんと一緒に写真を撮ったのですが、どこかに紛れてしまったらしく、見つからず、あ~あです😢 新聞記事を読みながら、「後で書こうと思うのはまずい」と反省しながら、長木先生との嬉しい出会いを振り返りました。
そして、最後に将来が楽しみな若者二人との出会い。
岐阜県立情報科学芸術大学院大学(IAMAS)1年のジクリさんと寺田博亮さん。ジクリさんはインドネシアから来日して6年だそうです。この大学は2001年岐阜県大垣市に開学し、メディア文化における探求者の養成を主な目的としているそうで、その通りの探求心から、ネットで検索して、橋本典久さんや岩井俊雄さん、エルキ・フータモUCLA教授の名前が出てきた当館に来てくださいました。上掲写真は橋本さんが昨年作ってくださったミュートスコープの前で。
リールを取り換えて丁寧に覗き込みながら、その作り方を勉強。今年橋本さんには新たに2つの初期映像装置を作って披露してもらうことになっていますので、彼らにとっても刺激になるはず。これまでの作品を見せて貰いながら、来年彼らの展覧会とワークショップをしようということに決めました。新拠点はいろいろ制約があり、これまでのような企画展示ができにくい状況ですが、実際に場所を見てもらって工夫しながら実現を目指すことに。楽しみな若者との巡りあいでした。
様々な出会い、巡りあいが、人生を彩ります。