おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2026.10.04column

ポルデノーネ無声映画祭開幕

第45回ポルデノーネ無声映画祭が3日開幕しました。世界で最も権威ある無声映画祭です。光栄なことに昨年の紙フィルム上映に次いで、今年も当館にある「おもちゃ映画」を主にして作った『おもちゃ映画で見た日中戦争』を上映して頂けることになりました。

COVID-19 で休館を余儀なくされていた間に、所蔵している「おもちゃ映画」を主に、ホームムービーなども用いながら時系列に繋ぎ、それぞれの歴史的背景を専門家の知見を得ながら編集した作品です。日中戦争時代の映像はほとんど残っていませんが、映画館で上映された後、家庭用に販売されていた中にはニュース映画も含まれ、それらは時局柄、ほとんどがプロパガンダ映画ですが、家庭で見ていたことが「日本は強いぞ、神風が吹く」と信じ込ませることに繋がっていった証でもあります。

私どもは貴重な映像を次世代に残そうと微力ながら日々活動をしていますが、「断片と言えども、その時代を知る手掛かりになる」とアーカイブの重要性を世に訴えたいと取り組んできました。2022年3月の大阪アジアン映画祭で初上映してからも、その後見つかった映像などを加え乍ら今日の日を迎えます。世界中が右傾化してきな臭さが一層強く漂う今だからこそ、西洋であまり知られていない日中戦争についてご覧になって頂くことが、いろいろ考えて貰うきっかけの一つになればと思います。

ポルデノーネ無声映画祭のサイトからスクリーンショットした画像です。今日10月4日16時45分から、会場のヴェルデイ劇場に於いて、世界中の無声映画祭で演奏をされているギュンター・ブーフヴァルトさんのピアノ演奏で上映されます。分厚いカタログの文章は、映画の英語字幕を担当して下さったジョアン・ベルナルディ先生が書いてくださいました。ベルナルディ先生は、この作品のために多くの時間と情熱を注いで、日本の歴史を一生懸命勉強して臨んで下さり、どれだけ感謝しても足りないぐらい全力を尽くして下さいました。深く御礼を申し上げます。昨年の紙フィルム上映の前には、偶然その解説文をイタリア語に訳した女性と出会いましたが、今回もそうした仕事をなさって下さった人がおられるのでしょう。多くの方の尽力の上に今回の上映があります。皆様、本当にありがとうございます💖

本当は、私も上映会参加のご招待を受け会場で観る予定で、様々な準備を重ねてきましたが、残念ながら私は今、京都の家にいてこれを書いています。2日関西国際空港に行き、KLMオランダ航空の搭乗手続きをしようと、パネルにパスポートを置いた瞬間に、期限切れだから搭乗できないと表示されました。訳が分からず、係の人に尋ねたら、パスポートの残存有効期限が足りないからなのだそうです。私のパスポートの有効期限は2026年12月8日ですが、国によって異なれどもオランダやイタリアでは出国時3か月以上あることが必要だということです(ちなみにメキシコや台湾などでは帰国時まで有効なものでOK)。いくら「映画祭で作品が上映され、招待を受けている」と訴えても、「たとえ搭乗できても入国はできない」とのことでした。

今回の渡航に際し、昨年知り合いから紹介して頂いた旅行会社に再度チケットの手配をお願いしました。前日もメールをして、搭乗手続きに関して用意するものを教えて貰ったのに、何で?カウンターの人から、KLMでチケットを購入していないので、旅行社から1名キャンセルの連絡をすると良いと助言を受け、直ぐに旅行社に電話しました。曰く「パスポートのことだからしょうがないですね」とあっさり言われました。連れ合いのパスポートの有効期限は大丈夫だったのですが、「それなら俺も行かない」と言い出し、「自分の目と耳で『おもちゃ映画で見た日中戦争』上映を観てきてほしい」と言って強く背中を押し、旅行社にその場で1名分キャンセルを言いました。高所恐怖症で飛行機が怖い私に「パスポートの残存有効期限」の知識はなかったですが、旅行社はパスポートの期限を厳格にチェックするものだと思っていました。手配を依頼したのは上映が決まった9月10日。ネットで検索すると、京都府のパスポート発行は申請から受取まで原則10営業日なので、出発日までギリギリかもしれませんが間に合ったのではないかと思います。

一人帰るリムジンバスから眺めた空は、長く降り続いた日々から一転して、澄み切った青空が広がっていましたが、乗った途端に悲しいやら、悔しいやら、残念な気持ちでどんよりし、涙が溢れてきました。たまたま隣り合ったのがイタリアから京都国際会議場で行われる会議に出席する女性科学者と指圧を学びに来日されたオランダの女性モーリーンさんで、二人は京都駅に着くまで私を慰めて下さいました。今回のフライトはオランダ経由だったので、アイ・フィルムミュージアムのアーカイブを見学したいと申し出て、3日は作業をされておらず叶いませんでしたが、館内見学のご招待を受けました。結局、それも叶わなくなったので、モーリーンさんは尚更気の毒がって、昨日も慰めのメールを送って下さいました。

家に帰ってから荷物を元に戻してから、先ずfacebookで映画祭で再会を楽しみにしていた皆さんに、事情を説明して、耳が不自由で外国語が話せない夫を見かけたら「こんにちは」と声をかけてやって下さい。そして迷っているようだったらサポートして欲しいと依頼しました。個別にもメッセージを送りました。オランダとイタリアの予約していたホテルに一人分キャンセルと耳が悪い夫が寝過ごさないよう声掛けをして欲しいと依頼し、映画祭のインフォメーションの担当者にも連絡、イタリアでフィルムアーカイブ施設を2カ所見学予定していたので、そちらにも事情を説明しました。それらをしながらも涙がこぼれて。。。「残念だ」というメールが幾人もの人から届き、現地で再会できないことを益々悲しく思いました。中でも映画祭の写真を担当しているValerio Grecoさんが「Oh Fumiyo, I’m shocked! I’m so sorry you won’t be able to come to Pordenone this year. I can’t believe it happened for just one month! I’m glad Yoneo was able to come, and I’ll definitely say hello to him if I see him at Teatro Verdi. And don’t worry, I’ll try to take lots of photos of the screening, just like last year, so you can see what you missed!I’m really sorry not to see you here. ❤️」と書いて下さったのを読んで号泣しました。今も、この文章を書いていて泣けて仕方ありません。

2日16時36分、旅行者の人からメールが届きました。

……

本日は、KLMオランダ航空での出発に際し、奥様がご出発いただけない事態となり、誠に申し訳ございませんでした。

楽しみにされていたご旅行の出鼻を挫く結果となってしまい、心よりお詫び申し上げます。

昨年ご旅行をご依頼いただいた際のパスポート情報があったとはいえ、今回のご手配にあたり、私どもから改めて最新のパスポートコピーのご提出をお願いし、

有効期限の確認を行うべきでございました。この点につきましては、ご案内不足であり、深く反省しております。……

「まったくなぁ…」とfacebookで呟きました。

連れ合いからは、Wifiが使えないのか、一度も連絡が来ません。どこからも連絡がないのは、無事で必要な場所にいるからなのでしょう。子どもは「親父はたぶん大丈夫でしょ」と書いて寄こしましたから、私もそう信じましょう。楽しんで、目的の一つ一つをクリアしていってくれることを願っています。

ブログなので、備忘録を兼ねて長々書きました。

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