おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2024.05.16infomation

第10回無声映画(演奏収録版)上映会「フランスとアメリカ・アニメ―ションあらかると

京都市登録有形文化財旧伴家住宅で月一で開催している無声映画(演奏収録版)上映会は、10回目を迎えます。今回は、「フランスとアメリカ サイレント・アニメーションあらかると」です。

フランスのアニメーションにはなかなか接する機会が少ないのですが、『イソップ童話』や『狐物語』のアニメーションで有名です。風刺やユーモアがあり、寓話的な物語が多いようです。今回のラ・フォンテーンの『狐とぶどう』(1925年)は、ずる賢いはずの狐が見張り犬のために、目の上の美味しそうなぶどうが取れなくて諦めて去らなければならない。そんな時でもフランス的な理由付けをして離れてゆきます。ロータックとジャンデール共同作品『いたずら画家トト』(1921年)は、天才画家のように家中を手あたり次第落書きして回るいたずらっ子を、心配そうな飼い犬の目線で解説しながら哲学的な(?)結論を導き出します。理知的なアニメーションで、ユーモラスもありますが、要するに理屈っぽいです。『フリップとフロップ』は、製作年、製作者とも不明ですが、実写のパテ・ベビー映写機から飛び出したキャラクターが大活躍します。パテ・ベビーがフランスで誕生したのは、1922年で、おそらくその時期の作品と推察されます。実写とアニメの合成ものとしてお楽しみください。

アメリカ・アニメといえば、ディズニーの『ミッキーマウス』が一番に思い浮かびますが、今回は、ミッキーの生みの親でもあるアブ・アイワークスの『王様の仕立て屋』(1934年)とウォルター・ランツの『ボーイ・ミート・ドッグ』(1939年)。ランツは『ウッディ・ウッドペッカー』、『アンディ・パンダ』などで有名です。この二作品はきっとトーキー版だったと思いますが、市販された16mm「Castle Films」ではサイレント版でした。そして、『ポパイ』や『ベティベープ』で有名なフライシャー兄弟の『床屋のココさん』(1921年)の三作品を見て戴きます。アメリカのアニメの黄金期と言える時期のもので、世界を席巻しただけに、キャラクターの動きのデフォルメや陰影・構図など技術的に最高度のものと言えます。ほんの一部ではありますが、アメリカ・アニメの動きのすばらしさをお楽しみください。

見ているだけで、微笑ましい1920年代から30 年代の欧米のモダニズム文化の香りがしてきますし、比べて見てみるとその国民性や民族性の違い、創作段階の発想や思考経路の違いまで分かり、とても面白いです。

今回は、活弁バージョンではないのですが、1995年(映画100年)の折に、それまでサイレント映画は活弁か無音で見るものとされてきた時期に、日本で最初にピアノ演奏で見せてくれた先駆者の一人で、海外でも評判の高いサイレント映画ピアニストの柳下美恵さんの演奏版です。活弁がなくても、音楽演奏だけでも充分に楽しんでいただけます。大いに期待ください。

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