おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2017.12.10infomation

ミュージアム小冊子3『パテ・ベビーの時代』ができました

12月1日映画の日に、ミュージアム小冊子「パテ・ベビーの時代」が出来上がりました。小冊子としては、2015年12月28日シネマトグラフの日に発行した図録「おもちゃ映画ミュージアム」、2016年5月1日に発行した「応援メッセージと活動記録」に続く第3号です。

平素から一般社団法人の京都映画芸術文化研究所らしく、紀要や研究ブックレットを発行したいと考えていました。漸く、それが実現することになりました。

執筆者の一人は、映像制作の会社に勤務の傍ら、2007年頃から個人で小型映画を研究しておられる飯田定信さん。2016年9月1~24日に「パテ・ベビーと小型映画機材」を企画開催し、最終日には研究発表「機材と技術からみたパテ・ベビー~カメラから現像・編集、映写機まで~」もしていただきました。

研究発表時のチラシです。飯田さんから届いたレポートはこちらです。当日の様子はこちらで書きました。

もうお一人は、映像字幕制作などの経験を経て、現在はイェール大学大学院映画学・東アジア言語文学科博士課程に在籍しておられる森末典子さん。2016年6月25日に「1920~30年代日本におけるパテ・ベビー機の普及―映画学の視点から見る小型映画文化ー」の題で研究発表をしていただきました。

研究発表時のチラシです。森末さんから届いたレポートは、こちらです。また、当日の様子はこちらで書きました。

お二人に「せっかくの機会だから」とお声かけをして、その後の研究成果を含む小冊子執筆を依頼し、快く引き受けてくださいました。ご多忙な中、無理な願いを聞いていただき、本当にありがとうございました。

当館には開館前から所蔵していたパテ・ベビーフィルムもありましたが、開館以降に寄贈いただいたフィルムもたくさんございます。寄贈いただいた中には尾上松之助主演『忠臣蔵(実録忠臣蔵)』(1926年)、小津安二郎監督『突貫小僧』(1929年)など世界に発信した映像も含まれています。時代劇、アニメーション、実写映像も含め貴重な映像は当館で上映するだけでなく、国内外の映画祭で上映してきました。

パテ・ベビーは1920~30年代という短い流通期間ではありましたが、『忠臣蔵(実録忠臣蔵)』や『突貫小僧』のように、サイレント映画時代の映像が家庭用に短縮版として再編集されて販売されていたおかげで、オリジナルは失われていても、その内容を今もうかがい知ることができる幸運なケースもあります。また、それまで上映後に切り売りされた35ミリフィルムの映像ではなく、自分で好きなものが撮れることから、ホーム・ムービーとしても活用されました。それらの映像には、大正から昭和初頭の風俗や様々な歴史映像が写っていて、資料的にも貴重です。

お二人が尽力されたこの小冊子によって、ぜひパテ・ベビー学びへの手掛かりにしていただければ幸いに存じます。1部600円(消費税込み)で販売しています。よろしくお願いいたします。

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