おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2016.06.28column

パテ・ベビー(9.5㎜)に関する研究発表会と映画祭

6月25日(土)13時、「海外で活躍する研究者の発表会」の第1弾として、アメリカのイェール大学大学院映画学・東アジア言語文学学部博士課程の森末典子さんに発表していただきました。

記事 (5)

新聞で紹介していただけたことや、メーリングリストで配信したことも功を奏して、どちらかといえば専門性が高い催しではありましたが、遠方からも大勢参加していただくことができました。求めに応じて書いた領収書には「研究会参加費」と書きましたが、決して嘘ではなく、国内外の研究者が集う催しとなり、提案した当事者として本当に光栄に思っています。

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パワーポイントを使っての発表のため会場が暗くなっています。手前に座って話をしておられるのが森末さん。京都市内出身で、実家では京都新聞をお読みになっておられると聞き、もしや新聞記事を読んでご両親様が来られるのではないかと心待ちしていましたが、彼女によれば「記事に気が付かなかったよう」。きっとお嬢さんが緊張しないように気付かぬ振りをしておられたのかも。東京の字幕製作会社などでの勤務を経て、現在米国で勉強中。指導を受けておられるイェール大学映画学プログラム及び東アジア言語・文学科のアーロン・ジェロ―教授の勧めで1年前の6月26日、やはり雨の日に来館。それが縁で、この日の発表になりました。発表の内容につきましては、後日森末さんからレポートが届くと思いますので、楽しみにお待ちください。

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この日は、同志社大学寒梅館で開催された「アジアにおけるアジア学会(AAS-in-ASIA」の初日と重なってしまいました。国際的なアジア研究大会が日本で初開催され、1200人もの研究者が参加されたそうです。そこを抜けて来館していただいたのは、写真手前のマーク・ノーネスさんと、その左後方茶色のシャツを召したローランド・ドメーニグさん。そして、右端の赤い縁取り眼鏡をかけたCaitlin Casielloさん(その左が森末さん、後方の男性が7月9日に発表してくださるノースカロライナ大学シャーロット校言語文学部アシスタント・プロフェッサーの小川翔太さん)。

マーク・ノーネスさんは、ミシガン大学映画芸術文化学部・アジア言語文化学部教授。アーロン・ジェロ―教授と共著で『日本映画研究へのガイドブック』を著され、今月日本語版が「ゆまに書房」から刊行されたばかり。同著で、おもちゃ映画ミュージアムも紹介されています。Caitlin Casielloさんも森末さん同様にアーロン・ジェロ―教授の教え子。

ローランド・ドメーニグ教授は、連れ合いがウィーンに行ったときにお名前がわからず会えなかった日本映画研究者。今は明治学院大学文学部芸術学科教授。今月1日連れ合いも参加した「第1回CCJ日本アドバイザリー会議・保存グループ」が明治学院大学で開催されたのも、ローランド・ドメ―ニク教授が同大学に居られたからだそうです。学問的研究のほか映画に関する様々な場面で活躍されています。

DSC05440東京在住の小型映画研究・飯田定信さんは、9.5㎜のステンシルカラー(手彩色)のボビンとカメラをご持参いただきました。森末さんは彼の研究発表されたものを資料としておられることもあり、初対面ながらここで出会えたことを大層喜んでおられました。左端2人は日頃からフィルムを触っておられる専門家。大阪芸術大学非常勤講師で映像文化史に詳しい松本夏樹さん(連れ合いの右肩辺りに少しお顔が拝見できる男性)からは、随所で適切な助言をいただき、学びを深めることができました。

9.5㎜パテベビー映画祭ということで、所蔵している映像から希望を聞きながら何本ものパテ・ベビー・フィルムを上映しました。私たち自身も初めて見る内容が多く、途中逆巻になっていたのを直しながら上映する場面もあって、それはそれで面白い時間でした。この日に合わせて知り合いからお借りした2本は、急いでテレシネをして出来上がったばかり。早速デジタルでご覧いただきました。潜水艦が映っていて超珍しいものかもしれないと、軍事史に詳しい佛教大学の原田敬一教授にも来ていただきましたが、「(仮題)潜水艇、消息絶つ」は、水槽の中で模型を使って特撮したフランスのパテ社が作ったフィルムだと判明。フランス語の字幕を外して日本語に置き換えたもので、フランスのパテ社から輸入していた伴野商会が面白がって作ったものかもしれないということでした。もう1本の「アゲハ蝶」も最初期のカラーフィルムではないかということでしたが、手彩色だと判明しました。教育映画でしょうか。たった9.5㎜という狭い場所に、上手に彩色したものだと感心します。松本さんによれば、黒いボビンに銀文字が入っているのは、ステンシル・フィルムだということでした。

わかっている範囲で、当日上映したフィルムを列挙します。

1.「荒木又右衛門」…1925年、日活、池田富保監督。尾上松之助千本記念映画。

2.「国定忠治」…1925年、東亜キネマ、マキノ青司(牧野省三)監督。澤田正二郎主演、剣劇リアリズム。

3.「江戸怪賊伝・影法師」…1925年、東亜マキノ、二川文太郎監督。阪東妻三郎主演。

4.「祇園祭」…1931(昭和6)年頃、四条通の山鉾を撮影したホーム・ムービー。勝山宏一氏寄贈。

5.「子どもの戯れ」…同上。勝山氏の父上が幼少のころを祖父が撮影したホーム・ムービー。

6.「漕艇王」…1927年、日活大将軍、内田吐夢監督。広瀬恒美、夏川静江主演。現代劇。

7.「アゲハ蝶」…ステンシルカラー、DVD上映。喜劇映画研究会所蔵。

8.「(仮題)潜水艇、消息絶つ」…DVD上映。喜劇映画研究会所蔵。

9.「第十回ロサンゼルス・オリンピック大会」第9報…1932(昭和7)年7月31日。開会式。広島国際大学崎田嘉寛先生所蔵。テレシネしたものを当日ご持参いただきました。

10.「第十回ロサンゼルス・オリンピック大会」第11報…1932年。ホッケー、三段跳び、棒高跳び、陸上など。広島国際大学崎田嘉寛先生所蔵。同上(DVD上映)。

11.「天満宮参詣」…どこの天満宮か不明。熊本県の男性から寄贈いただいたホーム・ムービー。

12.「家族旅行」…同上。

13.「夜叉王(怪傑夜叉王)」…1925年、マキノ省三監督、市川右太衛門主演。右太衛門プロ第2作。

14.アニメーション「勝利」…

15.「ロイドの花嫁」…

16.アニメーション・タイトル不詳

17.アニメーション「戦争ごっこ」…

18.「スイス・スキー大会」記録映像…

 

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16時半ごろに上映会を終了し、いつものように集合写真を撮影。国内外の研究者、関心を寄せる人々が集まってくださいました。充実した催しになりましたことを心より感謝申し上げます。AASから抜けてこられた先生方は、この後急いで同志社大学寒梅館へ向かわれました。また、ゆっくり見学していただく日が来ますことを楽しみに待っております。

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その後は、いつもの懇親会で盛り上がりました。原田先生にはニュース映像の断片をいくつか見ていただき、森末さんには鈴木重吉監督「闇の手品師」の裕福な家庭で小型映画を楽しむ場面をご覧いただきました。今年はオリンピックイヤーですが、崎田先生から見せていただいたロス五輪の記録映像も貴重なものでした。入場行進する日本選手団の先頭は軍服姿でした。馬術や射撃は軍人が多く、「他の選手のようなユニフォーム姿にはなれるか」という気概、プライドを感じました。時代を写し、そういう意味でも映像記録は重要だと改めて思いました。三段跳の南部忠平さんが金メダル、棒高跳の西田修平さんが銀メダル獲得の様子が記録され、貴重なものを見ることができたことを心から感謝申し上げます。

好評でしたので、いずれ第2回パテ・ベビー映画祭を開催したいです。森末さんには今後の研究の発展と続編の発表会を期待しております。手前にある映写機は、アメリカ製キーストン35㎜「ムーヴィーグラフ」映写機です。参加者のお子さんが、これでグルグル回して遊んでいました。1930(昭和5)年少年雑誌に載っていたような光景でした。

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