おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2020.03.21column

ご当地映画館に関する発行物、いろいろ

前回のブログで書きましたが、3月18日に小型映画に関する冊子を49冊も寄贈して頂きました。お送り頂いた映画史研究家・小林貞弘さんから、ご自身で書かれた本『名古屋の映画館の歴史1907-2018』(2019年11月、河合文化教育研究所発行)も寄贈して頂きました。

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名古屋市に所在した映画館の動向を丁寧に調査された内容で、今後もライフワークとして調査・研究を続けられるそうです。「はじめに」に、この本を執筆された動機が書いてあります。「かつて人々を大いに楽しませ、都市の風景を彩ってきた映画館の記憶が消えてしまうことに対する危惧にある」と。

ご当地の人々にとっては、往時の映画館や街の様子がたくさん載っていて、懐かしく思われることでしょう。ページを繰っていく中で、1957年3月、犬山市の犬山自然公園で中部日本新聞社(現・中日新聞社)と名鉄電車の主催で開催された「日本映画博覧会」があったことを知りました。入場者数が60万人を超えたそうです。そして、テーマソング「日本映画博の歌」がSPレコードで発売されたことも知りました。ちなみに、B面は「犬山音頭」。

「どんな曲か聴いてみたいものだ」と思って、国立国会図書館の歴史的音源(れきおん)で検索しましたがヒットしません。それで、SPレコードの研究をされている毛利眞人さんに早速尋ねてみました。「めぼしいレーベルを調べてみましたが、おそらく一般販売されたレコードではなく、博覧会が委託制作をしたPR盤ではないか。委託制作盤はレーベル側に記録が残らない。この種のレコードは収蔵機関やコレクターが持っていることがあるので当たってみるが、中日新聞なら残っているかも知れないので尋ねてみる」と、急な問い合わせにもかかわらず、ご親切に言って下さいました。

これも毛利さんに教えて貰ったことですが、YouTubeで、1957(昭和32)年3月の「日本映画博覧会」ニュース映像を見ることができます。また、1942年に作られた日本映画雑誌協会選定「日本映画の歌」(コロンビア)というのもあって、前述の「れきおん」で聴くことができます。この曲は、日本映画雑誌協会作詞、山田耕筰作曲、藤山一郎・渡辺はま子・コロンビア合唱団による歌です。今度京都府立図書館へ行ったときに聴いてみようと思いますが、関心がある方は、お近くの「れきおん」提携施設でお試し下さい。

さて、偶然ですが小林さんから本を送っていただく2日前の16日に、大阪府堺市にお住まいの南 明弘さんご夫妻が訪ねて来てくださいました。

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奥様の晃代さまと「昭和我楽多研究会」をされている南さんが、全て手作業で紙質やインクの色にも拘って作られた冊子です。一目見て「いやぁ、懐かしい手触りですねぇ」と言ってしまいました。今年4月25日~5月24日に、 堺市立東文化会館で「懐かしの絵看板・映画ポスター展Ⅳ『手描き絵看板の世界』展」を開催されます。

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 これは、2017年5月3~21日に同文化会館で開催された時のチラシですが、今回は当団体正会員でもある竹田章作・立命館大学映像学科教授もご協力されて、お祖父の竹田猪八郎さんが手描きされたポスターと絵看板を大量に展示されます。今から、拝見するのを楽しみにしています。

1月18日立命館大学土曜講座で竹田先生の「京都の映画館文化-新京極の映画看板を中心に-」を聴講した折り、大変面白かったので、その場で先生に、「当館で発行している小冊子に、京都における映画館の変遷と手描きポスター、映画看板について書いて欲しい」とお願いし、了承して貰ったばかり。16日、18日と続けて、懐かしの映画館に関する冊子を手にして、とてもゆかしく思っています。

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 これは、鎌倉市川喜多映画記念館から寄贈いただいた冊子『鎌倉映画地図』(2017年4月25日、川喜多・KBSグループ発行)。絵と文は、『東京映画地図』(2016年、キネマ旬報)を出された宮崎祐治さん。これを手に、鎌倉の街をそぞろ歩きするのも楽しいですね。

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そして、これは絵本作家の吉田稔美さんからいただいた「へそまち文化新聞」Vol.4(2018年10月5日発行)。吉田さんの故郷、兵庫県西脇市にお住まいの越川誠司さんが編集・発行人を務めておられますが、毎回大変に熱がこもったコミュ二ティ紙。今ネットで検索したら3月18日に「ヘソノオマガジン」を創刊されたそうです。

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「へそまち文化新聞」Vol.4は全12ページで、特集「織部と銀幕」はその大部分の紙面を使って書いておられて、読み応えがあります。

他にもこうした取り組みが各地で行われているのかもしれません。点と点が繋がり、やがて日本中に広がって、映画が全盛を極めた頃の日本全体の様子が分かるようになれば良いですね。

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