おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2020.12.05column

田中省三さん旧蔵の土井フレックスカメラを寄贈して頂きました‼

世界的に知られるキャメラマン宮川一夫先生のチーフ助手で、『雨月物語』『新平家物語』『浮草』『ぼんち』『おとうと』など名作のスタッフだった田中省三さんが所蔵されていた上掲の撮影機材一式を寄贈して頂きました。

寄贈してくださったのは、東映京都撮影所内診療所の中村達雄先生。30年前からこの医務室に週に一度、診療に通っておられるのですが、そこに田中省三さんの義理の妹さんが長年勤務されていたご縁で、譲り受けられたのだそうです。

田中省三さんの奥様は東映のスクリプター田中美佐江さんで、その妹さんから、処分するとお聞きになられて、それならおもちゃ映画ミュージアムに寄贈した方が良いと貰ってくださったのです。田中美佐江さんは、東映作品の主な作品を担当されました。

11月5日に中村先生から受け取った吉報「DOIFLEX16というカメラで、レンズはフランス製のようです。付属の望遠レンズ(フランス製らしい)もあります。両方ともミュージアムに寄贈したいのですが、どんなものでしょう?」に返信した連れ合いのメールが、なかなかです。

「貴重なカメラで、目が覚めてしまいました。このカメラは、アリフレックスSTというドイツのカメラのコピーです。初めて見ました。土井技研という会社は、土井ミッチェル35というアメリカ製のミッチェルカメラのコピーも作っていて、アニメーションのカメラとして大活躍しました。外形はそっくりです。きっと内部は、パテントの関係で違ったものになっていると思います。ぜひ、見せてください。よろしくお願いいたします」。

そして、今日、その瞬間が来ました。早速、嬉しそうに組み立てていました。ようこそ、我がミュージアムへ。DOIFLEX16ミリカメラ(3本レンズ、ターレット式)とズームレンズです。

中村先生は、彰義隊に関心がおありで、今年7月に『一殺多生剣』を見たいと来館されてのご縁です。他にも帝国キネマで撮影技師をしていた高橋武則さんや、衣笠映画聯盟が制作した『乱軍』(1927年)についても調べておられます。高橋武則さんは、田中美佐江さんのお父さんで、1930年9月30日未明に起こった火災で、帝キネ長瀬撮影所が全焼したため、京都に移ってこられたそうです。『乱軍』の監督・脚本は犬塚稔で、林長二郎主演で大ヒットした作品でしたが、松竹下加茂撮影所も火災でフィルムが焼失してしまいました。当時は可燃性のナイトレートフィルムでした。おもちゃ映画として断片だけでも残っていれば良いのですが、当館にはありません。どなたか、何かご存じのことがあれば、ぜひご一報ください。お願いいたします。

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