おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2016.01.19column

若い人からの取材

昨年は、K.C.J.S.(Kyoto Consortium for Japanese Studiesの略。ボストン大学、ブラウン大学、シカゴ大学、コロンビア大学などアメリカの14の一流大学で学ぶ日本研究を志す留学生のためのプログラム)の皆さんが、2度にわたって見学に訪れてくださったほか、10月18日には、大江能楽堂で行われた活弁付無声映画『実録忠臣蔵』上映を、9月23日には、大阪府富田林の旧杉山家住宅(重文)で実演された錦影絵『虚実皮膜の間』も鑑賞していただきました。そのプログラムに参加している同志社大学法学部3年船渡麻衣さんが、その後も来館され、12月7日におもちゃ映画ミュージアムを撮影して1つの作品を作ってくださいました。授業のファイナルプロジェクトとして、「日本の映画の魅力を学生さらに世界に伝えたい」をコンセプトにした、5~6分の短編映画です。海外帰国子女の経験を生かして、流暢な英語のナレーション付きで、館長のインタビューも含めた素晴らしい作品。当館の思いを上手に映像でまとめてくださいました。そして、海外からのお客様にもご覧いただけるようDVDにして、プレゼントしていただきました。

彼女を介して、興味深いことも教えてもらいました。留学生の皆さんを指導されているSarah Frederick先生のボストンでのお住まいは、昔ある教会の一部だったそうです。資料を読むと、そのお住いの リビングルームが1910~1920年代ごろに映画を上映されるときに使われた部屋だったことがわかりました。ミュージアムに展示しているアメリカのおもちゃ映写機は大振りでしっかりしていて、よく「教会のチャリティーなどで使われていたのではないか」と説明していましたが、Sarah先生の話から確信が得られました。先生は9月12日尾上松之助140回目の誕生日に開催した「無声映画の夕べ」にも参加してくださり、片岡一郎さんの活弁付『実録忠臣蔵』(天の巻)上映と文化庁の入江良郎さんが講演された「最古の映画スター尾上松之助 再発見の道のり」も聴いてくださいました。先生がミュージアムを気に入ってくださった背景に、ボストンでのお住まいも関係していたのかもしれません。

そして、一昨日の17日は、同志社国際高校放送部の生徒さんらも再び来館してくださいました。昨年2月7日京都新聞夕刊に掲載されたミュージアムが開館するとのお知らせ記事を読んで興味を持った2年生の妹尾梨紗子さんの提案で具体化し、1本の映像作品を作ってくださいました。そして再び17日に当館を取材して、新たな作品を作ろうと意気込んでおられます。

 DSC04203 (3)たまたま来館された20歳の男性とお母様に、国産の木製カメラを開けて、その仕組みを説明する館長。取材する高校生たちも興味津々。

DSC04210 (2)

 これは、尾上松之助最晩年の映画『実録忠臣蔵』を撮影したのと同じ米国製撮影機ベル&ハウエル。当時最先端の高級カメラでした。同じく中を開けて仕組みの説明。

DSC04216 (3)

館長が手にしているのは、大阪で作られた映写機「カミカゼ」。プロペラに当たらないように弾を打つ設計は、フィルムを間歇回転させることで、より画像がクリアに見えるのと同じ原理。部屋に充満したモーターの音やこびりついたオイルの臭いが、戦争を知らない子供たちにも、昭和15年に正式採用された「零(00)式艦上戦闘機」時代を彷彿させました。

DSC04192 (2)こういった可愛い蓄音機と子どもの可愛い様子を描いたレコード(借用品)に、最近紹介したばかりのベビー・トーキーも披露。

DSC04195中央の鏡にレコード盤の絵を写して楽しむ1950年代に作られたmovie record(動く絵付きレコード。借用品)も箱から出して、一緒に鑑賞。一番喜んだのは、私かも。これらの面白いレコードは、1月23日午後3時からのイベントでも紹介しますし、3月19日から春休み期間中に開催する企画展でも紹介します。

えんじ色の帽子をかぶった彼女がフィルムに描いてきた作品を、おもちゃ映写機で上映したり、戦前のアニメーションも見たりしながら、随所でなぜミュージアムを立ち上げたのか、どのような活動を展開していきたいのかという思いを伝えました。前回の取材の折にも、その思いは伝わっていて、今回は、「みんなで考えた」というミュージアムグッズ2点の提案も受けました。彼女らは、映像作品を作ることを通して、ミュージアムの強力なサポーターになってくれています。その思いが、とっても嬉しいです。京町家での寒さに耐えての取材、どうもありがとう!!!立派な作品に仕上がるよう祈っています。

船渡さんや高校放送部の生徒さんら若い人たちが、ミュージアムの活動に関心を寄せてくれて、何とか応援をしたいと考えてくださっていることは、私どもにとって大きな励ましです。その期待に応えられるよう頑張らねばなりません。皆様もどうぞ応援をよろしくお願いいたします。

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