おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2021.12.03column

紙フィルム

つい先日、紙フィルムについて問合せがありましたので、改めて所蔵する紙フィルムのリストを作りました。先発の東京の印刷会社が作った“レフシー”については、『海軍満期前の一日』『海軍大演習』3部作、「支那事変」をテーマにした実写もの、漫画で『のらくろ肉弾戦』『誉れの勇士』など、レフシーが登場した1933年ごろからの世情を反映した作品が多くあります。家庭で、こうした映像を見て楽しみながら、少国民育成に影響を与えたのかもしれません。

後発の大阪のメーカーが作った“家庭トーキー”では、『弁慶と牛若』『カチカチ山』『猿飛佐助漫遊記』『兎と亀』『分福茶釜』などの漫画もありますが、『軍国祭』も漫画。実写版も発売していたのかもしれませんが、たまたま寄贈して頂いたり、購入したものに実写版はなかったです。

これらの紙フィルムのタイトルがわかりません。どなたかご存じでしたら、情報をお寄せ下さいませ。よろしくお願いいたします。

レフシーを映写するための映写機

家庭トーキーを映写するための映写機。こちらの方が光源が2個あり、寄贈者の記憶では「よく見えたよ」と仰っていました。こちらには、3組のレコードが残っていて、紙フィルムと同期して音と映像を一緒に楽しむことができました。

そのうちの一つ、漫画『特急忠臣蔵』をレコードと同期させて試してみた映像を以前ブログで紹介していますので、良ければご覧下さい。

紙フィルムは、1938(昭和13)年、国内向け金属玩具の製造が禁止され、金属製映写機は製作不可になります。幻燈機などは木製のものが出てきますが、35㎜玩具映写機は製造中止に。やや硬質の紙に印刷して作ったフィルムでしたが、その紙も貴重になって作ることは不可能だったでしょう。戦後は不燃性のアセテートフィルムが普及しますが、紙フィルムは復活することはありませんでした。登場から僅か5年ほどで消えた日本独自の文化でした。

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