おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2022.09.02column

映画『映画はアリスから始まった』をぜひご覧ください‼

 
8月30日、合間を見て、映画『映画はアリスから始まった』を観てきました。多くの人はリュミエールや、メリエスの名前を知っておられても、この映画の主人公アリス・ギイはご存じではないでしょう。連れ合いが以前から「映画祭でアリス・ギイをやりたい」と言ってはいても「それは誰?」という調子でいましたが、この映画を見て、もっと多くの人にアリス・ギイのことを知って貰いたいと思うようになりました。
 
1896年メリエスはカメラのクランクを止めることで撮影を中断するトリックを発見。アリス・ギイもまた、高速回転や遅速回転、逆回しのトリックを発見。どちらが先だったか?アリスは「競争は熾烈だった」と書いています。これを読みながら5月に開催した日本に映画を持ち込んだ男たちの熾烈な競争の話を思い出しました。ただ異なっているのは、アリス・ギイが女性だったこと。それゆえ、生涯1000本以上を監督し、製作や脚本もこなした世界初の物語映画監督にも関わらず、長く映画史から忘れ去られていたのです。
 
彼女の存在に目を向けられたのは、1970年に若いアーキヴィストたちが失われた映画の存在に目を向けるようになり、同時にフェミニズム運動の高まりによって映画史における女性の存在が再発見されるようになってからのこと。
 
彼女は自伝で「男たちが独占してきた分野で女性が仕事をしようとするとき。女性であることへの頑迷な差別と偏見が、いまなお彼女たちの成功への道を阻んでいる」と書いています。
 
より一層、アリス・ギイのことを知って貰いたいです‼
 
実は映画館のチラシで、翌31日12時05分から『アリス・ギイ短編集』が上映されることを知りました。『映画はアリスから始まった』上映期間中2回しか上映されないうちの最終上映会。「それなら観なきゃ」と思いながら帰ろうとバス停に行ったら、PITAPAのカードを落としていたことに気付き、顔面蒼白。慌てて、映画館はもとより、立ち寄った場所それぞれを訪ねて聞いてみましたが、どこにもなく…。一番近い交番へ行き、落し物の届け出をしている間に、PITAPAに電話してカードの停止と再発行を依頼。朝のテレビの占いで「最も運の悪い人、やぎ座」と言っていたのが当たりました😢
 
その気落ちで申し訳ないけど『アリス・ギイ短編集』を観に行くことは断念して、おとなしくしていました。見損ねたこれらの作品は、晩年になって自作のプリントを探して奔走するアリス・ギイと娘のシモーヌが頑張った証。
 
随分前に『映画はアリスから始まった』が上映されることを知って、「拝見するのが楽しみだ」とFacebookで書いたら、5月の「日本に映画を持ち込んだ男たち」でトーマス・エジソンと直接交渉してアメリカからヴァイタスコープを持ち込んだ荒木和一について発表して下さった武部好伸さんが「知人にアリス・ギイについて研究していて本を出そうと準備している人がいる」と教えて下さいました。早速武部さんを介して、その女性と繋がり「本が出版された暁に、そのお祝い講演会をしましょう」ということに決定しています。
 
それまでに皆様もぜひ映画館でこれらの作品をご覧ください‼ そして、講演会実施の日程が決まり次第、改めてお知らせを致しますので、どうぞ、お楽しみになさっていてください‼

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