おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2023.02.14column

レフシー幻燈機を試作してみました

昨年9月に、児童文化史・印刷文化史を研究されていたアン・へリング先生遺愛品を寄贈して頂きました。

その時のことは、ブログで書いています。日本独特の「レフシーフィルム」の他に、「レフシー幻燈」のカードも3組入っていました。この時初めて、かつての子どもたちが紙芝居を幻燈で見て楽しんでいたのだと知りました。「絵ばなし」の台本には「トーキー式に使用のレコードは」の文言も書いてあります。レコードと同期して楽しんでいたのですね。

残念ながらへリング先生のコレクションに、レフシー幻燈機もレコードもなかったので、たちまち再現することが出来ず。。。それ以来、手先が器用な連れ合いは、頭のどこかにレフシー幻燈機のことがあったらしく、いよいよ3月から幻燈機をテーマに展示をするのが近づいてきて、具体的に手作りしてみようと動き出しました。それが2月10日に試作機完成に。

なかなかカードが上手く下に落ちないし、落ちたとしても何枚か固まってだったりして、まだ改良の余地がありそうですが、取りあえず動画を撮影してみました。

レコードがないので、仕方なく、未だイントネーションも覚束ないし、「茶釜」と正しく言うこともできない私が語りをつけました。「文福茶釜」は(上)がなく(下)しかなかったので、最後に狸が語る「あなたが正直で情け深いから」のセリフが発せられる正兵衛さんと狸の当初のいきさつが分からないのが惜しいですが、有名なお話しなのでお楽しみいただけると思います。

これが契機になって、「レフシー幻燈」用レコードや「レフシー幻燈機」が見つかれば嬉しいです。ちなみに、この『文福茶釜』のレコードは「リーガル66337B面」と書いてありますので(上)はそのA面なのでしょう。どなたかお持ちではございませんか?

【2月15日追記】

YouTubeをご覧頂いた方から「これはいつ頃のものか?」と問い合わせが来ましたので、以前紹介した福島可奈子さんの『混淆する戦前の映像文化ー幻燈・玩具映画・小型映画』(2022年12月、思文閣出版)を繰りました。374頁に「レフシー幻燈」が載っていました。375頁には師である松本夏樹さんが所蔵されている「レフシー幻燈」本体の写真も載っています。それによると、1936(昭和11)年、「トーキー式紙芝居の幻燈」と銘打った「レフシー幻燈」をカード2組付き1円20銭で売り出しているそうです。「これは反射式幻燈と専用レコードを連動させて物語を楽しむ玩具である。幻燈機背面(ランプボックス)内側に65×65ミリの不透過フルカラー画のカード12枚1組をセットしてボックスを閉じ、背面外側のレバーで画をめくる「自動紙芝居」のような装置であり、レコードによる物語の進行にあわせてランプボックスを一々開閉することなく画を変えることができた」と書いておられますので、先ずはそのような試作品ができたのではないと、これを読みながら思います。

なお上掲写真にも写り込んでいる「レフシーフィルム」は、1932(昭和7)年に、グラビア印刷の技師として有名な東京の辻本秀五郎氏が紙フィルムと専用映写機を開発し、家庭映写機㈱が販売したもの。福島さんの本によれば、1934年1月29日付け京都日出新聞朝刊6面に紹介されているそうで、「当時玩具映写機がすでに1台1円程度で買える時代において、レフシー映写機の8円50銭はかなりの高額で、高級玩具と呼べるものであった」と記述されています(285頁)。

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