2023.05.30column
2日連続海外からの寄贈本
昨日、今日と二日続いて航空便で本をプレゼントして貰いました。
昨日は香港の龔秋曦さんから上掲『電影的起源』と続編の2冊(A5判)を受け取りました。映画誕生前の影絵から始まって、映画の歴史を、巧みなイラストをふんだんに配してわかりやすく書いています。広東語と英語の表記で、グーグル翻訳のアプリをかざしながら読み進めると、語学力が付きそう。ページ数に限りがある中で説明しようとすると、その取捨選択も難しかっただろうと思います。英語の単語をすっかり忘れているので、この本をテキストに筆記したり、読んでみたりして、「もう一度英語!」に挑戦する機会を得たように思います。
彼女は、お名前に“秋”の漢字があることから日本に留学中は、“アキ”さんと呼ばれて親しまれていたようですから、私も“アキ”さんと呼ばせて貰っています。昨年、11月20日に来館して知り合って以来ですから、私どものことを覚えていて下さったのが、とても嬉しいです。その折りのことは、こちらで書いています。同封されていた手紙によれば、当館やその他施設も訪問して調査したレポートをこの前書き終わったそうです。一人で海外の施設を調査して歩くことからして、私には眩くて、ただただ尊敬です。
彼女から寄贈頂いたことをFacebookで書いたら、パテ・ベビー誕生100年祭で尽力されたフランスのAnna Briggsさんが「いいね」を押してシェアもしてくださったので、直ぐにお礼の書き込みをして、丁度良いとばかりに、「10月半ばに開催する京都国際映画祭で、パテ・ベビー100年を記念して作られた『91/2』を上映したい」と書いたら、即「That would be lovely, thanks! 」と返って来たので、前向きに進めましょう。この作品には、長崎県雲仙市にお住まいの方がパテ・ベビーで撮影された映像を提供して協力させていただいた経緯があります。アキさんからの贈り物が契機になって、トントンと進みました。
この2冊が入っていた封筒はこちら。あいにくの雨で封筒が少々濡れていましたが、香港の伝説的アクションスター、ブルース・リーの切手が貼ってあるではありませんか‼
ネットで検索したら、2020年11月27日ブルース・リー生誕80周年を迎えたのを記念して、香港郵政が特別に発行したうちの1枚でした。わざわざその記念切手を選んで送って下さった心遣いが嬉しい。先日会ったばかりの雑賀広海さんの顔を直ぐに思い浮かべました。彼も好きなはず。『混乱と遊戯の香港映画-作家性、産業、境界線-』(水声社)を出版したばかりでもあり、今後の彼の研究にもひょっとしたら力になって貰えるかもしれないと思い、アキさんへのお礼のメールに、彼の本のことも書き添えました。
そして、今日台湾の影言社の許鈞宜様から届いたのは、上掲の『Voices of Photography攝影之聲』34号で、今回は光学玩具の特集なのだそうです。この本にインタビューに答えた連れ合いの記事も載っています。ふんだんに写真を用いて紹介してくださいました。ありがたいことです。
裏面は、このような形で届き、54~57頁に「映畫博物誌-專訪京都玩具電影博物館創辦人太田米男」として載っています。
頁を繰ると、22~27頁には「不插電的電影經驗-專訪實驗電影創作者許岑竹」が載っていて、2015年台北映画祭から交流があるクリエイター許岑竹さんへのインタビュー記事でした。早速許さんに連絡し、一緒の本で紹介して貰えたことを共に喜び合いました。他にも載っている様々なモノたち、ひとつひとつが興味深いものばかりでしたが、個人的に興味を持ったのは「視聽的歴史劇場-國策紙芝居與殖民地台灣」という、神奈川大学助教新垣夢乃さんの論文。注釈に知り合いの潟見英明さんのお名前が見受けられたこともあり、尚更に興味津々。
特約編集者の許鈞宜様によれば、『Voices of Photography』は、写真と視覚文化、イメージとメディア研究に焦点を当てた出版物で、アジアにおける写真の発展に長い間注目し、アジア間の繋がりを非常に重視しているそうです。国内外から多くの学者、芸術家、文化関係者を集めて執筆に参加していただき、毎号に異なるテーマの視点を通じて、豊富なトピックとユニットを生み出し、重要なクリエイティブ文献を発行しているとのこと。それで、今回のテーマが「光学玩具」なのですね。公式サイトを読むと、「写真とビジュアルカルチャーに焦点を当てている台湾でも数少ない独立系出版社の 1 つであり、台湾出版業界最高の栄誉である金三脚賞で多くの賞を受賞しています」とのこと。そうした立派な冊子で紹介頂けたことを光栄に思います。
裏表紙全体を広げて載せると、こんな具合。中折りというのはありましょうが、それが外に折れているのが面白いですね。初めて見ました。表紙の幻燈会を始める前の絵と裏の幻燈上映会の絵が繋がっているのですね。こういった工夫があるのも、この『Voices of Photography』の特徴なのでしょう。良い本です💗