2025.04.09column
映画『王将』冒頭に出てくる時計
7日京都市中央図書館へ新聞を調べに行く途中、ふと思い出して千本中立売の時計を探しに行ってきました。以前、Facebookである人が映画『王将』(1948年、大映)の冒頭に出てくると書いておられたのが面白くて、実際に見てこようと思い立ったのです。
その時計は千本中立売の角の建物屋上に確かにありました。帰って直ぐにDVDで確認したのが、下掲写真。
時計の上の屋根状のものは無くなっていますが、「77年間も同じところにある」というのが先ずは嬉しい。余計なお節介かと思いますが、時計の下の壁面の汚れを落とすともっと見栄えが良くなって嬉しい。最近は頻発する地震に備えて、古い建物を建て替えることが多くなっていますが、どうか解体などされずに、できればこのまま存在していて欲しいというのが勝手な願い。
阪東妻三郎主演のこの映画は、「時代劇の父」とも呼ばれる伊藤大輔監督の作品で、伊藤監督の名前の左傍に加藤泰通(やすみち)の名前がクレジットされています。この映画がつくられた前年にシベリア抑留から戻ったばかりの西岡善信の名前も載っています。まだ若かった二人ですが、戦後すぐの京都の大映撮影所で助監督、映画美術の担当として活躍。この映画では二人して、模型の汽車の煙を出していたそうです。後に加藤泰監督、西岡善信美術監督として映画界にその名を残す活躍をされています。
千本三条近くにある朱雀第一小学校には、大映の永田雅一社長が寄贈したグラウンドピアノが今もあります。
1955(昭和30)年1月、母校の創立記念として寄贈されたピアノで、当時は『羅生門』(1950年)や『雨月物語』(1953年)など世界的に評価された大作映画を手掛けた時代の社長であり、プロ野球大映球団のオーナーでもありました。まさに前途洋々の時代に母校に寄贈したピアノが70年経った今も大切に保存されています。もっと探せば、映画を数多く生み出してきた映画都市京都ならではのものが見つかるでしょう。そうしたものをピックアップした地図ができれば楽しいだろうなぁと思います。
わが街の映画に関する思い出のモノや場所があればぜひお教えください。よろしくお願い致します。