おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2025.07.02column

6月の振り返り②大成功だった「祇園祭と弓矢町ー半世紀ぶり武者行列復活!」

6月14日、生憎の雨となりましたが、八坂神社近くの会場「弥栄ふれあいサロン」は満員のお客さまでした。足元が悪い中、参加いただいた皆様、実行に際しご協力いただいた皆さまに改めて、御礼を申し上げます。その後、12月に企画している事業に関連して本を読んでいると、下坂先生の講演の中でも触れられた人々、私どもが取り組んでいる映画『祇園祭』で描かれた人々に関連した記述があり、もう少し勉強してから振り返りをまとめなければと思っています。

さて、講演会に先立つ8日10時半、弓矢町の弓箭閣で「大将印修復後初お披露目会・武者役お披露目会」が行われました。

弓矢町にお住いの藤田隆男さんの司会進行で、今年51年ぶりに武者行列に加わる5人が甲冑姿になって町内の皆様にご挨拶。幸いにも好天に恵まれた中でのお披露目会となりました。

奥には大将役の山中秀起さんが床机に座っておられ、ミュージアムから1分のところにある鎧廻舎(よろいのや)の鎧司・明珍阿古さんが主に修復を手掛けた甲冑を身に着けてスタンバイ。今回は現代の男性の体格に合わせて丈や幅を伸ばしたそうです。14日のトークイベントでは、秀起さんのお父様が登壇。山中家では曾祖父から秀起さんまで4代にわたって武者行列に参列されたということです。

左が明珍阿古さんです。長い間行列から遠ざかり、代わりに町内で14体の「武具飾り」をしてきた弓矢町でしたが、明珍さんの採算を度外視して提案してくださったことが弓矢町の人々の心を動かし、こうして立派な鎧が修復できました。染料も全て自然素材です。美しいですね。

太刀は、昔調査に出かけた折に見た福井県敦賀市の氣比神宮例祭「氣比の長祭」神幸祭で甲冑をまとった犬神人(つるめそ)と同じだったので、私的には、テンションが上がりました。

5人の武者が弓箭閣を出発して、愛宕小路を練り歩きます。

手前におられるのが「六原清々講社」社長の高橋愼司さん。私が何十年も前に「隼人の吠声」を調べていて、弓矢町を歩いたときに親切にしてくださったのが高橋さんのお父様で、当時「六原清々講社」社長をされていました。面白いご縁だなぁと思います。

大将が乗る馬の鞍も修復され、その過程で1787年のものと判明し、三つ葉葵紋が入った丁寧な造りなことから、相当身分が高い人が使っていたものとみられるそうです。本番に備えて山中秀起さんは乗馬の訓練をされているのでしょう。17日神幸祭の本番が安全に無事に進みますよう祈っております。

今回の講演に参加してくださった八坂神社の野村宮司様から、14日夜に弓矢町に対し、「宣状」復活のご提案があり、7月12日野村宮司様から弓矢町大将に「宣状」を授与することが決まったそうです。講演会がこうしたことに貢献できたことを大変嬉しく思います。

そればかりではなく、今回の催しのきっかけを作ってくださった京都大学名誉教授高木博志先生に感想を求めましたところ、

………弓矢町のイベントは内容的にはすごい水準です。 中世から現代までの歴史的変遷と、地域の復興の営みと、最高です。 下坂、佐藤両氏、論文は別に書かれるとしても、講演録として、1冊にまとめる意味があります。話したりないことも多かったですし、この記録集は諸方で受容があります。 繰り返しますが、中世から現代までの歴史的変遷は、研究のない新境地です。ぜひ記録集を。………

と褒めていただき、発破もかけられましたが、なかなか…。追々取り組んでいけたらと。

当日は、四条御幸町付近で1928(昭和3)年頃に9.5㎜で撮影されたホームムービーに映っていた武者行列の映像もご覧いただきました。その前に大正時代に撮影された17.5㎜の祇園祭の映像などもご覧いただきましたが、この9.5㎜の映像にはそこここで声が漏れ、皆さん目を凝らしてご覧になっていました。

休憩時間中にお声がけいただいた池谷 透様から、1970年の武者行列に「花印」と思われる具足を付けて参列された大村和夫さんの写真を見せて貰いました。27日にその写真をお送りくださいましたので、それを以下に紹介します。まとめて撮影された一枚でしたので、それぞれを分けて、できるだけ画像がわかるようトリミングしました。

現在は市内の岩倉に在住されていますが、往時は弓矢町にご家族でお住まいでした。

二人一組になって、祇園祭の武者行列。場所はどこでしょうか?

八坂神社前を進む武者行列。「本物の具足を付けて炎天下で行列するのは、やけどをするくらいアツイ思い」をされたそうです。

大将が馬に乗って進む様子が分かります。これも、どのあたりでしょうか?

無事に大役を終えて、ご家族との記念写真でしょうか。「誰が撮ったのかはわからないが、写真に焼いたものをもらった」と仰っているそうです。ご本人やご家族にとっては、誇りに満ちた武者行列で、かけがえのない思い出の一コマなのでしょう。大森様、貴重な写真を見せて下さり、ありがとうございました。

昨日7月1日、祇園祭は吉符入りしました。今日2日は山鉾の巡行順を決める「くじ取り式」が行われ、17日の前祭で籤取らずの長刀鉾に続く「山一番」は占出山に、24日の後祭の山一番は役行者山に決まったそうです。絢爛豪華な山鉾巡行も良いのですが、今年は神幸祭で神輿を先導する武者行列にも是非ご注目下さい‼

 

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