2026.10.27column
10月2~9日オランダとイタリア訪問(4)
6日朝ホテルモデルノを出発してボローニャへ向かいました。高速鉄道で約1時間半。特急券を予約していましたので、寝過ごしては大変と思い、朝6時半頃(現地時間)に目覚まし代わりにイタリアへ電話をかけて起こしました。「朝が強い」というオランダのフィルムアーキビストBin Liさんがホテルまで迎えに来て下さり、ポルデノーネ駅まで一緒に歩きました。
小さな駅のポルデノーネに、年に一度世界中の無声映画ファンが集い、映画を楽しむだけでなく互いの無事を確かめ合う映画祭も素敵ですね。この日の朝に届いたメールには「ありがとう、みんな親切です。みんな『文代が可哀想!』と声をかけてくれます。来ていたら、凄く歓迎されたと思います」とメールが届きました。ようやく収まりかけていた無念の涙がまたこぼれました。あ~ぁ。

様々な面でサポートして下さったBin Liさん。ご親切に感謝でいっぱい。25日彼から私宛に葉書が届きました。「ポルデノーネに来られなかったから」と。日本語を勉強しておられるので、綺麗な文字で書いてくださいました。

最近海外のアーカイブの方とのご縁が続き、そのことを彼に伝えると自分のことのように喜んでくださいます。彼が友達でいてくださることがとても嬉しいです💗

さて、Bin Liさんに見送られて連れ合い一人で乗り込んだイタリアの特急列車の車窓は小さいし、隅っこの席を取ったので外の景色を眺めることもできないし…、この切符をとるためにOmioのアプリを入れたら、しょっちゅう案内が来るようになって、そのたびに残念な思いが蘇って…。ボローニャの訪問地は2カ所。2022年、欧州の非営利機関“INEDITS”が制作した『91/2㎜』に当館も参加しました。そのご縁でアンナ・ブリッグスさんとやり取りをして親交を深めてきました。昨年ポルデノーネ無声映画祭へご招待いただいたことをアンナさんに伝えると「ぜひボローニャにある国立ホームムービーアーカイブ(Home Movies - Archivio Nazionale del Film di Famiglia)のMichele ManzoliniさんとMirco Santiさんを訪問するように」と勧められました。残念ながら、昨年は訪問する時間がなく、代わりにMicheleさんが上映会場のヴェルディ劇場まで会いに来てくださいました。
それで「今年こそ」と思って連絡を取り、6日15時にお二人が活躍されている「ホーム ムービー・アーカイブ」を訪問しました。直前までずっとやり取りをしていた私が行けなかったことをとても残念に思って下さいました。言葉の壁を心配していましたが、優れた翻訳機能を持つスマートフォンのおかげで、何とかクリアできましたし、お二人の思いやりに満ちた対応でとても有意義で楽しい時間を過ごせたようです。連れ合いの第一声が「イタリアのフィルムアーカイブ技術は凄い‼」でした。
たくさんの写真をMichele さんが送って下さいました。

ボローニャ近代美術館の表、MAMboのマークが見えます。「ホームムービー・アーカイブ」は、これらの建物に並んでありました。

「ホームムービー・アーカイブ」の中に入ると、

所狭しとフィルム・リールや機材が並んでいて、8㎜や16㎜、パテ・ベビー(9.5㎜)などフィルムのサイズ毎に部屋が区分されています。

『91/2㎜』を監督したMirco さん。アンナさんが仰るとおり優しい紳士で、空港の手荷物検査で傷められたトランクの修理まで手を差し伸べてくださったようです。。

向かって右が、今回の訪問調整でお世話になったMicheleさん。快く見学を了承下さりありがとうございました。私としては、ホームムービーを国立の映画機関がアーカイブしている事実に驚き、それを日本の人達にも知って貰いたいと思ってお願いしました。今回、訪問して分かったことは、小型映画の場合、16㎜フィルムが保存用に生かされていることでした。例えば、パテ・ベビーの9.5㎜フィルムを、16㎜フィルムに直接焼き付ける手法です。16㎜フィルムの有効画角幅は10.0㎜で、送り孔間のピッチがほぼ同じです。だから16㎜ネガフィルに9.5㎜フィルムが上手く焼き付けられるのです。この手法は、実は相当に古い手法で、過去のパテ・ベビー作品も16㎜に焼き付けられて、保存されていました。


フィルムを点検するMircoさん。

8㎜フィルムの部屋です。

所狭しと並んだリールや機材類は、日本では過去のもののように扱われていますが、例えば、当館で使っているパテ・ベビー(9.5㎜)テープ・スプライサー(接着器)はイタリア製で、今も生産されています。また、パテ・ベビーの保護用リーダーフィルムや撮影用フィルムもフランス製です。8㎜フィルムは、今もEUでは生産されています。アーカイブでは、オリジナルを残すことはもちろんのこと、8㎜でも16㎜にアップコンバート(拡大)して保存し、同時にデジタル化も進められています。フィルムにおける一連のマテリアルをすべて保存することで、次世代にも映像を残すことができます。デジタル化したら終わりではなく、フィルム素材として残すことで、デジタルによるフォーマット(規格)が変わっても大丈夫なように、いつも互換性を考えられているのです。





かつて16㎜で保存されたパテ・ベビーの9.5㎜フィルムを、9.5㎜幅に裁断し、送り孔を作る電動パンチもあって、それを用いてパテ・ベビーフィルムで残す実験も行われていました。かつての技法であった染色法や調色法も再現されていました。現物は見られなかったのですが、パソコンでその作業を見せていただきました。

16mmフィルムからパテ・ベビー(9.5㎜)のフィルムに裁断し、新たにパーフォレーション(送り孔)を打ち込んでいる機材だと思います。

デジタル化した映像でも、見せていただきました。

施設の中庭。打ち合わせはここで行いました。イタリアのスマホの翻訳機は優れもので、同時通訳のように変換され、技術的な問いも即座に答えてくれました。語学ができないので心配しましたが、杞憂に終わりました。ミケーレさんから「いつかおもちゃ映画ミュージアムを訪問したいですし、来年あなたとポルデノーネとボローニャで再会できることを願っています。アマチュア映画や政治、そしてスモールゲージ(小型)フィルムについて、これからも引き続き語り合い、議論できることを心から願っております。 どんなことでも遠慮なく聞いてくださいね!米男さん、文代さん、そしておふたりの素晴らしいミュージアムに、最高の応援と幸運を込めて」とメールが来ました。
Archivio Nazionale del Film di Famiglia
Via Sant'Isaia 18, I-40123 Bologna
tel: +39 051 3397243
fax: +39 051 3397272
e-mail: info@homemovies.it
sito web: www.homemovies.it
こうした施設が、いつの日か日本にもできると良いなぁと心から思います。今はただ、羨ましいだけ💕


