2026.10.26column
10月2~9日オランダとイタリア訪問(2)
ポルデノーネ無声映画会場に先に到着していたジョアン・ベルナルディ先生から4日(日曜日)、連れ合いの写真が届きました。
2日関空で別れてから一切連絡がなかったので、「さんざん人を心配させておいてこの笑い顔は何だ!」とあほらしくも思いましたが、とりあえず上映会には間に合ったとわかり一安心。ジョアンさんからも「連絡ぐらいしなさい」と注意されたそうですが、そんなことも分からない年寄です。
私どもの『おもちゃ映画で見た日中戦争』は4日16時45分から、ドイツの親しい演奏家ギュンター・A・ブーフヴァルトさんのピアノ演奏で上映されました。先日ギュンターさんからの吉報によれば来年1月12~20日来日される見込みだそうです。2015年に私どもが開館して以来、まだ一度もお招きしていないので、ぜひミュージアムをご覧いただきたいと今から楽しみにしています💗

映画祭専属のカメラマン、Valerio Grecoさんからたくさんの写真を送って貰いましたので、順不同になるかと思いますが、幾枚かを選んでご紹介します。会場はTeatro Verdi。

上映後に家庭用に「おもちゃ映画」として切って、缶に入れてデパートの玩具売り場で販売されていたニュース映像の一場面です。当時はニュース映画専門に上映する映画館もありました。

こうした缶や紙箱に入って売られていました。きっちり缶を密封していたフィルムほど劣化が酷くて復元を断念せざるをえない場合もありました。短い断片ですが、往時を知る手掛かりになると発掘し、保存するだけでなく、活用もしています。

アニメーション作家木村白山が手掛けた『日の丸は輝く 突撃!』。ニュース映画だけでなく、こうしたアニメーションやホームムービーも用い、全部で46作品を専門家の知見も参考にしながら時系列で編集しました。

演奏をしてくださったドイツの演奏家ギュンター・A・ヴーフヴァルトさん。彼はピアノだけでなくヴァイオリンも弾きながら二刀流で演奏します。





戦争は悲劇しか生み出しません。今なお世界各地で絶えぬ戦火を前に、過去の映像を未来への警鐘として受け止め、平和への対話を重ねていくことの大切さを改めて訴えようと企画しました。
英語の字幕はジョアン・ベルナルディ先生が担って下さいました。彼女は日本の近現代史を本当に一生懸命勉強して下さいました。上掲画像はおもちゃ映画として残った『誉はたかし肉弾三勇士』の断片。


厚さ2.5㎝のカタログ345~350頁に載せて貰ったジョアンさん執筆の解説文です。いつの時代も戦争が残すものは悲劇の記憶だけです。いまも世界を覆う戦火を見つめ直すとき、スクリーンに映し出される過去の映像は、私たちが未来へ紡ぐべき平和への切実なメッセージとなりましょう。ジョアンさんが書いてくださった通り、「過去の映像を通して現代や未来と対話をつなぐ」という視点で、単なる悲哀にとどまらず、「今この映画を上映・記録・保存・活用することの意義」が会場におられた皆様に届いていたなら嬉しいです。

断片と言えども映像をアーカイブすることの重要性を訴えているのでしょう。この場に立ち、皆様にご覧頂けたことに心より感謝申し上げます。

ディレクターのジェイさん(左から2人目)から舞台に上がるように促された連れ合いは、語学ができないので座席にいたジョアンさんを手招きして、通訳も兼ねて登壇を願いました。左端にピアノ演奏をしてくださったギュンターさんも並び、お世話になった皆さんと勢揃いして思い出に残る写真です。本当にありがとうございました。
グレコさんは「お二人のドキュメンタリーは、極めて貴重な素材で作られているだけでなく、本当に美しく、そして重要な作品だと思います。悲しいことに、世界中の多くの場所で紛争が広がり、苦しみや破壊、数え切れないほどの問題を引き起こしている今、私たちは戦争よりもはるかに平和に値する存在です。だからこそ、私はお二人の上映会の写真をできるだけ多く撮影したいと思いました。お二人のような映画や、そこに保存されている物語は、今こそこれまで以上に記憶され、共有されるべきだと信じています。この特別な機会の永続的な視覚的記憶(思い出)が残るよう、出来る限り多くの瞬間をとらえることが私にとって大切でした」と書いてくださいました。実際にはもっと多くの美しく撮ってくださった写真があるのですが、幾枚かを皆様と共有したく思い載せました。

この男性は終了後に声をかけてくださり、「アーカイブは、劇映画だけでなく、多くのニュース映画や記録映画、ホームムービーを所蔵している。余りにも多くあり、どのように扱うかー。この『おもちゃ映画で見た日中戦争』は、先駆的な意味で、多くのアーキビストに刺激を与える“ひな形”(規範になる一つのスタイル)を与えたと思います」と感想を述べて下さいました。。他にも幾人もの方からお声がけいただき、手ごたえを感じました。貴重な機会を設けて下さり深く感謝申し上げます。
大忙しだったギュンターさんとは、ポルデノーネ滞在中ゆっくりお話しする時間もなかったようですが、その後届いたメールに「日曜日に行われたドキュメンタリーの上映以来、私は一刻も早く新しい音楽を制作したくてすっかり熱が入り込んでいます。今では、自分が何をすべきで、何をすべきではないのかがよく分かりました」とあり、4日の上映から大きなインスピレーションを受け、この作品のために新しい音楽を作りたいという情熱が湧き上がっている様子が伝わってきます。先日も触れましたが、彼と連携してこの作品を完成させ、学びの場で近現代史を知る一助になる素材を作れたらと思っています。長い作品でしたが、ご覧いただいた皆さま、関わって下さった皆様に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。


