おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.04.22infomation

開館満4年記念講演会「わたしにも覗かせてー覗くこと、待つことの想像力ー」と塚原重義監督『押絵ト旅スル男』上映のご案内

3年前の今日4月22日、当時は滋賀県立大学教授だった細馬宏通先生(現在は同大学名誉教授で、早稲田大学文学学院文化構想学部教授)がふらりと来館。前夜、目と鼻の先の会場で講演されたのだとか。「しまった、そうと知っていたら聞きに行ったのに!」と残念がったことを思い出します。何故って、開館間もない2015年6月にお越し頂いたお客様から「人間行動学者の細馬先生の講演が面白い!」と勧められ、今回ピープショー・シアター(のぞきからくり)を出展して頂くイラストレーターの吉田稔美さんからも細馬先生のお名前を伺っていたからです。

先生は展示している幻灯機などをご覧になり、「パラダイス!」と仰って興味津々な様子でした。そして、おもちゃ映画のアニメをご覧になりながら、同じ作品が日米でどのように異なって流通しているかという見方などを教えてくださいました。「いつか、当館でもお話をして貰えたら」という思いをずっと温めて来ましたが、それがいよいよ5月19日に実現します‼

講演は3年ぶりに再会できた4月8日に急遽決まりました。5月に「覗いて、写して、楽しむモノたち展」をするとお伝えしたところ、展示を予定しているモノたちを覗き込みながら、歴史的背景をサラサラとお話くださいました。そのお話が、皆さんが仰る通り本当に面白いので、私共二人が聞いているだけでは勿体ないと思い、即座に講演をお願いしたのです。心優しい先生は、こちらの意を汲み取ってくださり、「わたしにも覗かして―覗くこと、待つことの想像力―」という演題でお話して下さることになりました!!!

お送りいただいた要旨を、そのままチラシに転載しました。余り文字の大きさが変わらないかもしれませんが、幾分大きくなり読みやすいかと思いますので、こちらでも再掲載します。

………………………………

 望遠鏡、顕微鏡、ステレオスコープ、のぞきからくり…小さな穴から向こう側の景色を覗くことはなぜ私たちを魅了するのでしょうか。広々とした場所で自由に視線を動かすのに比べると、「覗く」ことはずいぶんと不自由な行為です。視野は限られるし、覗くことのできる人数も限られる。覗いている誰かが「わあ!」と声をあげて喜んでいるあいだ、傍らで待っていなくてはならない。

 けれど、この不自由さこそが、覗くことの魅力なのです。目の前の小さな視野に覆われて、自分のいるこの世界が実は別の世界なのではないかと想像する。隣の誰かが感嘆の声をあげているのをききながら、次に目に飛び込んでくる世界はどんなものか思いを巡らせる。想像でしかたどりつけない場所を感じようとするとき、わたしたちの想像力は最大限の力を発揮します。

 おもちゃ映画ミュージアムには、かつて人々の想像力を引き出してきた、さまざまなおもちゃが展示されています。中には百数十年前のものもあります。現代のわたしたちもまた、同じおもちゃを使って、当時の人々が使っていた想像力にたどりつくことができます。ただし、そのためには、それぞれのおもちゃのしくみを知り、歴史の背景を知る必要があります。

 この講演では、おもちゃ映画ミュージアムに収蔵されているさまざまなおもちゃに仕掛けられた光と奥行きがどのようなものだったか、それはどのような操作で威力を発揮するのかをお話して、みなさんにも当時の驚きを追体験していただければと思います。もちろん、スコープや透かし絵など、実際のおもちゃに触れていただくこともできます。楽しげに覗いている人を見て、あなたはきっとこう思うでしょう。「わたしにも覗かせて!」

………………………………

展示するモノの中から、いくつかを例に挙げながら、わかりやすく面白くお話をしていただきます。どうぞ、お楽しみに‼ 定員30名ですので、お早めにお申し込みをお願いいたします。なお、終了後に細馬先生を囲んで懇親会(500円)も。お申し込みの際に併せてご意向をお聞かせくだされば嬉しいです。

それから、今回の展示の契機になった『めがねと旅する美術』を開催された青森県立美術館の工藤健志様、島根県立石見美術館の川西由里様、静岡県立美術館の村上 敬様のご厚意により、同展のために制作されたアニメーション、塚原重義監督『押絵ト旅スル男』(2018年、9分)をお借りすることができました。

原作は江戸川乱歩が1929(昭和4)年に発表した作品。その舞台は1895(明治28)年の浅草で、当時の高層建築「凌雲閣」(別名「浅草十二階」)から遠眼鏡で見渡す景色、そこに写る盛り場の見世物「のぞきからくり」が出て来ます。声の出演は、兄:細谷佳正さん、弟:梶 裕貴さん、老人:坂本頼光さん。

せっかくなので、大きなスクリーンでご覧いただこうと思います。特別イベントの5月18、19日は上映をお休みしますが、それ以外の開催期間中は11時、13時、15時の一日3回上映します。様子を見ながら変化するかも知れませんが、先ずはこのスケジュールで始めます。上映中は真っ暗にする必要がございますので、他の展示はご覧いただけません。何卒ご了承くださいませ。

皆さまに楽しんで貰えるよう頑張りますので、どうぞ遊びにいらしてください。ご来場を心よりお待ちしております。

 

 

 

 

 

 

記事検索

最新記事

年別一覧

カテゴリー