2024.02.15infomation
第19回大阪アジアン映画祭で特別上映『1日240時間』
毎年3月になると楽しみにしている映画の祭典「大阪アジアン映画祭」は、アジアの若手映画監督たちの登竜門の一つとして信頼も生まれ、今年第19回目を迎えます。そのパンフレットが当館にも届いています💗
公式サイトの開催概要には以下のようにあります。
………テーマは「大阪発。日本全国、そしてアジアへ!」
万博開催を控えた大阪の街を舞台に、優れたアジア映画の鑑賞機会と豊かな映像文化に触れ学ぶ機会を市民へ提供することを通じて、多様なアジア文化の理解促進、交流、映像リテラシーの向上、国際的視野を持った市民や映像制作者等の人材育成を図ります。アジア映画のゲイトウェイ大阪」を世界にアピールし、文化・芸術・教育から観光・経済領域まで、また大阪からアジアまで、様々な観点を有する関心層が関わり大阪の発展に資する、開放されたプラットフォームとして映画祭を位置づけます。
19回目を迎える今年度も、暉峻創三プログラミング・ディレクターの下、アジア映画最新作のコンペティション部門をはじめ、その他特集上映を行います。世界または日本の他都市に先駆けて、大阪で初上映となる貴重な映画を集め、地元関西はもとより、全国と世界から注目される一大集客イベントとして開催することで、大阪経済圏の活性化、大阪の都市魅力の向上に貢献します。
さらに、映像文化を通じた教育プログラムとして、アジアの映画人と共にアジア映画のさらなる可能性について語る「シンポジウム」、未来の映像文化や映画祭を草の根で支える市民を育成する「映画講座」や「ワークショップ」など、多彩な事業を展開します。
これらを総合し、映像文化と映画産業のゲイトウェイとしての大阪、人材育成の拠点としての大阪を世界にアピールすると共に、アジアにおける映画の製作から上映・配給に至るネットワークの形成を大阪で図ります。………
このプログラムの中で当館も協力した特別上映が、3月1日16時から、大阪中之島美術館1階ホールであります。
昨年も万博に因んで特別企画〈大阪万博と髙橋克雄〉というタイトルで、映像作家高橋克雄さんのご息女佳里子さんのご協力を得て、3作品を大阪中之島美術館1階ホールで上映しました。①1970年に開催された大阪万博の日本政府館で上映された『ミセス21世紀』(原画は杉浦範茂さん)②オーストラリア館を担当していた高橋克雄さんが海外ロケで作った『オーストラリアと日本 東経35度の隣人』③日本の美と心を海外諸国に伝える目的で12か国の大使館や領事館に贈られた『かぐやひめ』でした。
元旦に石川県の輪島地方を襲った地震による被害が甚大な今、2025大阪・関西万博がこれから先どうなるのかわかりませんが、今年も万博に因んだ作品を無料上映することになりました。’70年万博の時の自動車館で上映された『1日240時間』です。脚本は作家の安部公房さんが担当し、監督は華道草月流家元でもあった勅使河原宏さん。併せてこのフィルムをデジタル復元された甲南大学准教授友田義行さんの講演もあります。昨年9月22日付け日経新聞「時を刻む」の連載で紹介されたので記憶がある方もおられるでしょうし、もっと遡って当館で2022年5月14日に上映した折りの記憶がある方もおられるでしょう。その振り返りはこちらで書いています。
日経新聞の記事を読み返すと、大阪公立大学特別教授橋爪新也先生が「今回シナリオを読んで」と書いてありますので、フィルムだけではなく、シナリオも残っていたのですね。映画は、ある研究所で発明された10倍速で動ける加速剤「アクセレチン」を巡る人間の悲喜劇をミュージカル風に描きます。最後は加速剤を求める大衆に追われた博士と助手は逃走し、博士は回転しながらタイヤに変身し、助手は観ている人々に対し「あなたもどうぞ!」と加速剤を勧め、タイヤがスクリーンいっぱいに現れて…、SFコメディです。10倍速だから1日240時間なのですね。「そんなにあくせくして活動するのは嫌だなぁ。自分のペースでのんびりやっていきたいなぁ」と私は思いますけど。当時の自動車館では、交通ゲーム広場もあり、ミニカーに乗って、碁盤の目のような走路を運転し、コンピューター制御で自動的に衝突回避できるシステムを体感することが出来たそうです。現在自動運転の車もできているので、その先駆けともいえますね。自動車館の総入場者数は約616万人もおられたそうですから、これを読まれて懐かしいなぁと思い出しておられる方もおられましょう。
香港や台湾のクラシック映画のデジタル復元された作品から現在を映し出す作品までを上映する特集企画、万華鏡の模様のようにそれぞれ異なる個性を持つタイの作品の数々を上映する「タイ・シネマ・カレイドスコープ2024」などの目玉特集企画が組まれ、海外初上映、アジア初上映、日本初上映などたくさん用意されています。大阪アジアン映画祭には毎年熱心なお客様が詰めかけて下さり、常連の方も多くおられて、そこで出会うのも楽しみなことの一つ。3月1~10日まで、ABCホール、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館を会場に展開します。全63作品。チケット販売は2月21日から順次販売されます。詳細は公式サイトhttps://oaff.jp/をご覧下さい‼