おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.03.13infomation

ミュージアム小冊子7『川喜多長政と中国~映画の国際交流を求めて~』ができました‼

ミュージアムで発行している小冊子(B5判)の7冊目が出来上がりました。『川喜多長政と中国~映画の国際交流を求めて~』です。執筆してくださったのは高橋伸彰さん。今春から中国海南省海口市にある新設大学、華都影視学院(海口経済学院傘下)映画学科で准教授として、演出演技と映画制作を教えておられます。

奈良県生まれの高橋さんは、2007年に大阪芸術大学映像学科を卒業。その後、日本大学大学院芸術研究科で博士課程を修了し、フリーで映画制作に従事。2011年に中国北京に語学留学され、翌年中国政府奨学金を得て、中央戯劇学院で本科聴講生になり、2018年中央戯劇学院映画学科(影視系)博士課程を修了されました。同学院博士課程卒業制作の短編作品『夏の夜の花〈仲夏夜之花〉』は、今年1月19~23日にFPSのプログラムとして当館でも上映しました。在学中から中国の様々な映画制作に携わりながら、また俳優として映画やテレビにも出演されるなど活躍されています。

今回の論考『川喜多長政と中国~映画の国際交流を求めて~』は、中央戯劇学院博士研究生として執筆された中国語での論文をもとにしています。論文では日本の戦況と情勢、中国の複雑な政局にも触れて書いておられたようですが、当方が依頼した20ページに合わせるため止む無くその部分を省き、代わりに川喜多長政の生き様をより立体的に浮き立つように書き改めてくださいました。

コロナの影響で、なかなか中国に戻ることができないでいたこの冬の間に、中国語の論文を日本語で再編集してくださっただけでなく、中国本土で用いられている簡体字と台湾や香港で用いられている繁体字の二種類のミュージアムのチラシを翻訳してくださいました。

その時のことは、こちらで書いています。

1928(昭和3)年10月に川喜多長政が設立した「東和商業合資会社」の“東和”には、東洋文化と西洋文化の融合、和解」の長政の想いが込められていて、戦後は東和映画株式会社、東和株式会社、今の東宝東和株式会社へと社名は変化しつつも、“東和”の想い、理念は変わらずに継承されています。

高橋さんは「川喜多長政が戦時中の孤島時代と孤島陥落後の上海映画界で、国と国ではなく人間の交流を深めて映画制作を続けた歴史は“相互理解”がなせる平和への道をも教えてくれている。彼の足跡には、映画を通して世界との交流や理解を深めるための大切なことが刻まれている」と書いておられます。この冊子を手に長政の足跡を広く知っていただければ、とても嬉しいです。

2月24日に突如始まったロシア軍によるウクライナ軍事侵攻の悲惨なニュースに心を痛める日が続いています。グローバル化が進む今こそ、“相互理解”が何よりも大切な平和への道だと改めて気づかされています。ただひたすら、一日も早く戦火が止むことを祈るばかりです。

末筆になりましたが、高橋さんの博士研究生としての論文執筆時だけでなく、私どもがこの小冊子を発行するに際しても、公益財団法人川喜多記念映画文化財団様には多大なご協力をいただきました。ここに改めて深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。

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