おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2023.10.05infomation

京都国際映画祭2023~オムニバスアニメーション特集

2017年は国産アニメが誕生して100年ということで、この年6月に知り合ったばかりの古川タク先生(当時は日本アニメーション協会会長)にお声がけして、京都国際映画祭で古川先生たちが結成しておられるアニメーション創作グループ「G9+1」の作品を上映して頂きました。プログラムのタイトルは日本のアニメーション百周年記念作品「9爺一助☆新畫帖」「9爺+1のナントカ天国」で2017年10月15日(日)のことです。タイトルの「9爺+1助」とは一色あづる先生、大井文雄先生、きらけいぞう先生、島村達雄先生、鈴木伸一先生、西村緋禄司先生、ひこねのりお先生、福島治先生、古川タク先生、和田敏克先生と日本の本格的アニメーション黎明期より活躍されている大御所揃い。

上映時の写真を気に入ってずっとミュージアム内に飾っています。左からひこねのりお先生(東映動画、虫プロを経てフリー。カールおじさんのTVCM、みんなのうた「赤鬼と青鬼のタンゴ」他)、きらけいぞう先生(スタジオゼロ、不二アートフィルムを経て、′81年㈱ スリー・ディ設立。「まんが日本昔ばなし」「みんなのうた」他多数)、福島治先生(ビデオプロモーションでアニメCM制作を経てフリー。「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」他多数)、一色あづる先生(東映動画を経てフリー。映像・レーザー等のアニメーション・イラストで活躍)、和田敏克先生(電通プロックスを経て、東京造形大学教授。「プチ・プチ・アニメ」「みんなのうた」等)、大井文雄先生(多摩美大アニメ―ション部創始者、㈱スリー・ディ設立に参加。「みんなのうた」等多数。3DCG草分け)、古川タク先生(TCJ、久里実験漫画工房を経て、フリーのひとコマ漫画家、イラストレーター、アニメーション作家として活躍。日本アニメ―ション協会名誉会長)、鈴木伸一先生(トキワ荘に住んだ後、横山隆一氏主宰おとぎプロへ。スタジオ・ゼロ設立。東京工芸大学杉並アニメーションミュージアム名誉館長。藤子不二雄の漫画に出てくる「小池さん」のモデルとして知られ、ご本人もラーメンが大好き)。コロナ禍を経て、京都国際映画祭2023で久しぶりにお会いできます💗

以下に上映作のご紹介を。

市内の大学院生エガネバクチアリ・ノーバルさんの『陰陽』(2023年)。今年4月23日に当館で開催した「イラン・ティータイム」でこの作品を見せて貰った時に、彼女が作品に込めた思いに共感して、ぜひ多くの人にも見て貰いたいと映画祭での発表を勧めました。2021年6月影絵アニメーションの先駆者ロッテ・ライニガー没後40年を記念して、ライニガーの美しい作品と、現在の影絵アニメーション作家河野亜季さんの作品を紹介する催しをしましたが、ノーバルさんの作品もマルチプレーン・カメラを使用したカットアウト・ストップモーション技法で丁寧に作られています。当日は彼女も舞台あいさつに登場する予定で、こうした場が実現することをとても嬉しく思っています。

 

若見ありささん、荒井知恵さん、こぐまあつこさんによる『Birth-つむぐいのち-』(2015年)。実写では取上げづらい出産という題材を、妊婦の視点で描いたアニメーション・ドキュメンタリー。女性3人の出産体験実話をアニメーション作家が映像化したオムニバスアニメーション。

ボムフォー64(池田爆発郎さん、森田宏幸さん、間山マミーさん)が4年ぶりに放つ完全新作『ξ(グザイ)』(2023年)です。
「ボーハムシリーズ3部作」(’17〜’19)での「身体表現の淵」を探訪する旅を終えたボムフォー64が新たに挑むアニメーションの未踏の地。たどり着くのは不毛の地か宝島か。そこに待つものは希望か絶望か。説明不能、謎だらけの“なにやら不思議アニメーション”はぜひ頭を空っぽにしてご覧ください。
キーワードは「ξ(グザイ)」。「ξ」は人に頼らない、「ξ」は孤高、「ξ」は毒。…以上は映画祭公式サイトを参照。

「G9+1」の最新作『switch/on』(2023 年)。「スイッチ・オンからオフまで」で繋がる8篇のオムニバスアニメーション。1篇ごと千変万化するアニメーション世界に、周防義和さんの楽曲が自在に融け込む、大人の幻想譚だそうです。拝見するのが、今から楽しみです。

川本喜八郎さんの『冬の日』(2023年)。著名な人形アニメーション作家の川本喜八郎さんの呼びかけに応じて、松尾芭蕉が編んだ連句『冬の日』36句を1句ずつ、国内外35名のアニメーション作家たちが映像化した『連句アニメーション 冬の日 松尾芭蕉七部集より』は2003年に公開されました。芭蕉の発句を担当するのは、川本さんの親友ロシアのユーリー・ノルシュテインさん。他に久里洋二さん、高畑勲さん、山村浩二さん、ブシェスティラフ・ポヤールさん、ラウル・セルヴェさん、アレクサンドル・ペトロフさんなど、名だたる作家さんたちが連なりました。連句様式のオムニバスアニメーション全篇を繋ぐ音楽は池辺晋一郎さんが担当し、第7回(2003年)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞しました。今回は39分の本編(第1部)に、第2部のメイキング・インタビュー『冬の日の詩人たち』のダイジェストを添えた特別版での上映です。ぜひ、この機会にご覧下さい‼

オムニバスアニメーション特集は10月15日(日)13:00~、京都国際マンガミュージアムにて開催。参加は無料ですが、入館料が必要です。申し込みは映画祭公式サイトhttps://kiff.kyoto.jp/ticket/からお願いします。10月9日23:59締め切り。申し込み多数の場合は抽選で、当選者に係から連絡有り。なお、お席に余裕がある場合は当日参加もできます。

10月から始まったNHK朝ドラ「ブギウギ」のオープニングアニメーションも凝っていますね。アニメーション表現にはいろんな手法があると改めて面白く思っています。どうぞ日曜日の昼間、皆様お誘いあわせて、アートアニメーションの世界をお楽しみください。ご来場を心よりお待ちしております‼

 

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