おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2015.12.07column

3組の素敵なお客様と

5日午後、1本の電話がかかり、「おーっ」と嬉しそうな声をあげて対応する連れ合い。映画監督の中島貞夫先生が大阪芸術大学大学院で指導されていた当時の教え子たちとそれを支えていた職員の方たちの昼食会があり、その流れで「今から寄る」と言ってくださったのだとか。

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 中島先生は、この12月1日、「第60 回映画の日」に特別功労賞を受賞されたばかり。お祝いを申し上げましたら「もう、そういうものを貰う年になりました」と先生。今年は17年ぶりの監督『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』を作られ、京都国際映画祭2015で上映されるなど、益々お元気で活躍されています。その指導を受けたここに写る人たちも、大学や映画現場で活躍中。中でも中央に写る藤岡さんは、連れ合いの玩具映画プロジェクト時代から支えてくださった方だと知り、改めて御礼を申し上げました。そうした方々の支えがあって、今があると感謝しています。

 

取材の予約があった午後3時の時間をずらして来ていただいたお二人連れも、楽しくて、気が付いたら午後7時を回っていました。

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戦後、日本の「プリンス」という会社が作った映写機で、手前に写る女性が持参されたスライドを試写している場面です。

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 ちょっとピンボケで恐縮ですが、「面白くて為になる」「引火しないフィルム」と書かれたライオン・フィルムの箱も素敵ですね。彼女の家は、江戸時代から商いをされていたそうで、蔵には古いものがたくさんあったようですが、ほとんど処分されてしまったとか。お城めぐりを趣味にしてから古いものの良さに目覚め、残ったものを今取り出して整理されているそうです。お話を聞いているだけで「どんなお宝が処分されたのか」と勝手に想像し、余りに惜しくて、苦しくなります。で、「出てきたフィルムを見て欲しい」と来館されました。土蔵で紙箱に入って保存されていたので、とても綺麗な状態でした。

 

日本アニメーション映画史研究の第一人者・渡辺泰先生から以前いただいた資料に、プリンス社が昭和41(1966)年に販売広告用に作った雑誌があり、幻灯機とおもちゃ映写機が売られていたことがわかります。スライドは新しく作られて、フィルムは昔のものを付けて売られていたのかもしれません。2日にも、大阪の方からおもちゃ映写機とアニメフィルム、スライドをご持参いただき寄贈していただきました。スライドはミュージアムにもありますが、調査はまだできていません。関心を持つ人と協力しながら研究が進めばいいなぁと思っています。

 

こういう様子も含めて取材されていたのが、漫画家・イラストレーターのグレゴリ青山さん。朝日新聞夕刊連載「勝手に関西遺産」にイラストを描いておられる女性です。たくさんの本を出版されているのですが、この日プレゼントしていただいたのが『ねうちもん京都 お金をかけずに京めぐり』(㈱メディアファクトリー、2011年)。京都の観光名所20か所とその周辺の「食べる」「観る」「買う」を紹介したとっても面白い本。頁を繰っていると、彼女は古い日本映画が好きで、特に山中貞雄監督と宮川一夫カメラマンの大ファンだとわかりました。それで、以前大工さんのご主人様と下見に来られた時、ミュージアム2階に掲げてある等身大の宮川先生のお姿に見入っておられたのだと納得。古いものが大好きな4人の話は尽きることがなく、楽しく、面白い時間を共有しました。

 

午後4時半からの取材を受ける予定だった同志社大学の学生さんの話も、延び延びになって、一緒にこのスライドを見たりしながら、グレゴリ青山さんの取材の合間に。彼女は、9月28日付けブログ「尾上松之助展のお客様」で掲載した写真に写る女子学生さん。KCJSというプログラムの一環としてアメリカから来日して日本文化を学ぶ留学生に交じって学んでおられます。9月26日に来館の折には、私の伝えたい思いを通訳して助けてくださっただけでなく、10月18日大江能楽堂で上映した『実録忠臣蔵』にも留学生さんたちと一緒に観に来てくださいました。

 

こうした経験もあって、授業のファイナルプロジェクトとして、「日本の映画の魅力を世界に伝えたい」をコンセプトにショートムービーを作るのだそうです。5日夜に届いたメールに「より一層日本の映画史の素晴らしさ、とくに京都における映画の歴史が地域ぐるみで連携していたことに驚きました。また、様々な理由で昔の映画が少ないという事実にとても心を痛めました。今回のプロジェクトを必ず成功させようとこれからも全力を挙げて励みたいと思います」と綴られていました。若い人が、こうしたことに関心を持ってくださったことがとても嬉しいです。撮影は今日の夕方です。

 

映画好きとたくさんのおしゃべりをして、心地よく過ごしたスペシャルな一日でした。

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