おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.02.27column

大盛会に終えた「三大喜劇王のニコニコ大会」

2月26日14時、予定通りに「三大喜劇王のニコニコ大会」が幕を開けました。コロナの感染者が大変多い現状で、無事に開催出来るか心配していましたが、消毒や換気など感染防止に充分気を配りながら、この日を迎えることが出来ました。“ニコニコ大会”とは短編喜劇映画上映会のことで、70年ほど前まで使用された呼称だそうです。

主催者のチャップリン研究家河田隆史さんです。当団体理事で、週に一度ボランティアをしてくださっているだけでなく、これまでもチャップリン関係の催しや反戦や平和を考える催しでも講師を務めて下さったり、貴重なコレクションを貸して下さったりしています。今回初めて、ご自身が主催者として計画して下さいました。

コレクションされた多くの8㎜フィルムの中から、この日の為に選ばれた作品は『チャップリンの冒険』(1917)、『ロイドの化物屋敷』(1920)、『キートンの警官騒動』(1922)。

終始笑顔の大森くみこさんの活弁と軽やかな天宮遙さんのピアノ演奏で上映しました。大森さんは、

「何度も見ている作品ですが、チャップリンもロイドもキートンも、100年前から今日まで、少しも変わらず笑いを届けてくれているのかと思うと、なんだかしみじみもします。
もちろん昨日もやっぱり、スクリーンの中をしっちゃかめっちゃか、コケて走って喜劇王は最高でした✨
 
と今日のFacebookで書いて下さり、天宮さんも同様に「サイレント映画はその時にしか生まれない感激があるなーと改めて思いました😊✨」と書いて下さいました。
 
3作品とも河田さんの解説付で上映。特別に『チャップリンの幻燈会』(1914)も見せていただけるとのことで、上映前に幻燈の実演も。
恐らく幻燈の実演をご覧になった方は、そう多くはおられないでしょうから、良い機会になったと思います。。
向こうにあるのがアメリカ製の大型幻燈機Henderson &Arms社製のもの。大きなガラスの種板を投影すると、下掲写真のように映し出されます。教会などで上映されたものでしょう。
昔の写真は、直接ガラス板に感光乳剤を塗って撮影したり、ガラス板に焼きつけて幻燈の種板を作りました。『チャップリンの幻燈会』では、男の子がカメラで撮った写真をそのまま幻燈機で映し出すのですが、実際には一般の人でもガラス種板にする技術を持っていなかったので、この部分は作り話かと。
 
もしかすると、映画の男の子が手にしていたカメラは「コダック」と呼ばれたジョージ・イーストマン製のカメラかもしれません。70㎜フィルムが入っていて、撮影が終わってメーカーに持っていくと、現像してくれて新しいフィルムを装填してくれました。
 
余談ですが、後にイーストマンはエジソンから依頼されて、この「コダック」の70㎜を半分にして35㎜フィルムを作ります。これが今も映画の世界標準サイズとなっています。
 
手前の小さな1台はErnst Prank社製の幻燈機に似ていますが、製作会社は不明です。ガラスの種板に4つのカラーイラストが描かれているものとパノラマ風に描かれたものがあります。今連れ合いが手にしている4つのカラーイラストが描かれている物語風のものを幾種類か選んで投影しました。
大森さんが、即興で幻燈弁士?になって下さり、それに天宮さんも即興伴奏で盛り上げて下さいました。以前、日本での幻燈の様子を長野県の宮田村に行って調べてきたときの報告を書きました。社会教育活動として各地で幻燈会を開いてきた岸本與によれば、暗くなる夕方を待って公民館や学校の講堂などで幻燈会をしていました。
昨日体験していただいたように、人々は真っ暗な中で目をこらして投影される画像に見入って、大変な評判だったようです。色彩が綺麗ですね。
映画に出てくる幻燈機は、ドイツ・ビング社製の玩具映写機(上掲写真)に似ています。この道具は映画フィルムもガラス種板も用いることができます。『チャップリンの幻燈会』は1914年にデビューしたチャップリンが、その年に36本の作品に出演し、そのうちの10作品目だそうです。チャップリンは、この作品のニコルズ監督と相性が悪かったらしく、よく対立し、この作品の後すぐに監督になり、脚本・主演・監督、後には作曲まで手掛けることになります。この作品のおかげで、1914年当時のアメリカ社会での幻燈会の様子がわかって、とても興味深いです。
大森さんや天宮さんのファンの方、無声映画のファンの方、活弁に魅せられている方と遠くからもたくさん駆けつけて下さいました。皆さんの笑い声があふれ、まさに“ニコニコ大会”でした。参加頂いた皆様に心より御礼を申し上げます。「Part2はいつ?」という声も聞かれました。皆さんに楽しんで頂けるよう一生懸命企画を考えます。今回の幻燈上映のように、おもちゃ映画ミュージアムらしい催しができたら良いなぁと思っています。
最後にお決まりの集合写真を。
たくさんのお客様に雛人形を愛でて頂けたのも嬉しいことでした💖
そのお一人、大牟田さんが撮ってくださった雛人形の写真の角度も素敵です🎎 この一揃いには、五人囃子がなかったので、
にわか五人囃子で、昨日の「三大喜劇王のニコニコ大会」の振り返りを締めくくります。春到来を思わせ、笑顔が溢れ心がポカポカした楽しい一日でした。皆さん、本当にありがとうございました!!!!!
 
 
 

 

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