おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.04.26column

4月3日ワークショップ「にょきにょきアニメーションを作ろう!」の振り返り

2か月にわたって開催してきた若手アニメーション作家端地美鈴さんと渡辺栞さんによる「にょきにょきかんさつにっき展」もいよいよ今週末まで。

つい先日は、渡辺さんの新作「とけるぼん」で女の子の声を担当した小学4年生のお子さんとご両親、それぞれのおばあさまが見に来てくださいました。新作で用いられている青い和紙に渡辺さんらしいタッチの絵が描かれています。惜しくも会期中の上映は叶わなかったのですが、コマ撮りアニメーションの大変さはよくわかりましたので、気長に完成を待ちたいと思います。いつか披露出来たら、女の子も楽しみに見に来てくれるでしょう。

端地さんの消しゴムの滓で描いたアニメーションは凄いなぁと思いました。まず素材への思い付きが意外でもあり、面白いですし、根気強さにも脱帽です。

そのお二人を講師に、4月3日に「にょきにょきアニメーションを作ろう!」のワークショップを開催しました。当初は小学生親子対象に6組だったのですが、大人で「やってみたい」と言ってくださった方もおられましたので、子どもに、元子どもも交じって賑やかなワークショップとなりました。その様子が、こちらです。

午後1時からのワークショップに参加してくださった“いつき君チーム”と指導をしてくださった端地美鈴さん(中央左に立っている女性)と渡辺栞さん(同右の女性)。

チラシ表の文字を省いた背景画の青空がどんどん、どんどん上に伸びている絵(黄色テーブルの端に置いてあります)を用意し、それをマルチプレーン(テーブルとスクリーンの間に立てた多層式撮影台)の一番下のアクリル板の上に置きます。背景画をストーリー展開に合わせて順次引き下げ、12色のカラフルなお米の粘土(写真手前に映っています。1組1箱使用)で作った造形物たちを動かしながら、上からコマ撮り。編集作業はパソコンで。植物がにょきにょきと上へ上へ伸びていくような感じでお話を描きます。さて、3組のお話と、その感想は。

《ストーリー1 いつき君チーム》

散歩に来たおばけが風船を見つけて、友達だと思ってつかまえた。風に飛ばされた帽子は飛んでいた鳥に被さった。お腹が空いた宇宙人が電波で食べ物を引き寄せて食べた。

そのとき誰かが間違えてスイッチを押して、海の中からミサイルが飛んでいったけど、宇宙で爆発したので良かった。(PEACE)

◎お母さまからの感想:先日はありがとうございました。息子も大変喜んで、楽しかったと言っていました。先生の作品を見直したいと観ているうちに他の作品にも興味を持ったようで、暇さえあれば藝大のYouTubeを見ています。面白いのだそうです。

初めてのワークショップで緊張しましたが、先生方に楽しくご指導いただいたおかげで、へんてこだけど味のある作品ができたと感謝しています。

このコロナ禍で政府は芸術や文化を不要不急だと切り捨てました。しかし、この2年間私たち親子の心をつなぎ、励ましてくれたのは身近な絵本やアニメーションなどの楽しいお話でした。仕事や学校でつらいことがあっても、わははと笑うひとときで元気を取り戻した日々。これからも世のクリエイターの皆さんおひとりおひとりが大切にされ、作品の制作に安心して取り組める平和な社会であってほしいと思います。

いつきくん(8歳)。自分が置いた造形物が、パソコン画面でどのように動いて見えるか真剣な表情で確認。その上にカメラが据え付けられています。

今回は2層でアニメーションづくりを体験。上から覗くと奥行きが感じられる映像になります。

お話には“ミサイル”が登場して、毎日ロシアのウクライナ侵攻のニュースが報道されていることの影響もうかがえます。今は、“PEACE”の文字が世界中の願いです。

《ストーリー2 むむむチーム》

緑の妖精ひゅーいが、💗の花を打ち上げた。ひょっこり顔出すうさぎが、それに巻き込まれて飛んでゆく。

今日は宇宙人が、自由に空を泳いでいい日。あっちの空にも、こっちの空にも宇宙人。

うさぎに恋する者も現れる。でも一途に💗を追ううさぎ。ついにお月さままで飛んでった。

今日は、全部のお月さまが出てきていい日でもあるんだよ。お月さまが、いっぱいいるって知ってた?

これも、ひゅーいの魔法かな?

◎渡辺さんからの感想:「ひょこりひょうたん島」「サンダーバード」「里見八犬伝」などを見て育ってきましたので、ずっと、人形劇や人形のコマ撮りアニメーションに憧れていました。レベルは全然違いますが、自分でも機材があれば作れるんだよという事に感動しました。貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。

◎園山さんからの感想:ねんどで作ったキャラクターでアニメーションを作る過程を体験できてよかったです。ねんどに触るのもすごく久しぶりでした。その場でキャラクターを動かしながら、どんな内容のアニメーションにするか考えることができて楽しかったです。

◎牛平さんからの感想:初めての粘土でのアニメーションでしたが、立体感があってツヤツヤとした質感がイキイキしているように見えて不思議でした。100均で買える粘土でできるので、また挑戦してみたいと思います。先生方が丁寧に教えてくださり楽しい体験ができました。

午後3時からのワークショップは“むむむチーム”と“佐藤さんチーム”が一緒に。

手前に写っているのは“むむむチーム”の造形物。これを少しずつ動かしながらアニメーションを作ります。その向こうで粘土で造形しているのが“佐藤さんチーム”

“むむむチーム”のコマ撮り風景。映り込んでいるのは園山さんの手。

アニメーションだけでなく、テーブルの上もカラフルで楽しさが伝わってきますね。

《ストーリー3 佐藤さんチーム》

ベランダで男の子がボールくんと宇宙にむかって縄跳びをしていたら、突然ネコネコ星から猫が落ちてきたので、男の子はビックリ。

ビーチベットくん、ジュースくんは一緒に毛糸と消え去っていき、マグロくんも落下してしまう。

そこへ忍びの里から女の子と男の子と一緒にオナラ坊やがバトル中迷い込んできて、見事女の子が一本勝ちをする(運悪く宇宙人も巻き添えをくらって落ちてしまう)。

宇宙に近づいた頃、サーカスのぴえろくんをはじめ、顔さん太陽、ビックくんも駆けつけ、ボールパーティで勝利のお祝いをしてくれたので、女の子は嬉しくて思わず手を上げました。

◎かざし君小学2年の感想:工作が好きなので、粘土でキャラクターを作るのが楽しかった。また作りたい。

◎あすひさん小学6年の感想:動かしていく作業がとっても楽しかったです。また参加したいです。

◎お母さまの感想:粘土で作る作業は楽しかったものの、ストーリーを考えながら、少しずつ動かす作業が難しかったです。アニメーションがとても好きなので、またこれからも是非挑戦したいです。

映り込んでいる手は、かざし君の手。女の子が嬉しくて、思わず手を上げたシーンですね。無事に3チームの作品が完成して何より。一生懸命作っても、あっという間の作品でした。改めて、コマ撮りアニメーションは根気と手間がかかる大変な作業だと誰もが実感したことと思います。参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!!!!!

 

 

 

 

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