おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2025.10.22column

ポルデノーネ無声映画祭見て歩き5

行程6・10月8日(水)ポルデノーネ最終日

前日に偶然コロンビア大学のJane Gaines先生のお姿を見かけて再会を喜んだのですが、途中でお目にかかることができないまま7日が過ぎていきました。でも8日朝食バイキングでそのお姿をみかけて、記念に写真を撮らせてもらいました。

Gaines先生は私どもを招いてくださった2023年9月のことをよく覚えていて下さって、「ありがとう」と何度も日本語で仰って下さいました。再会できたことが本当に嬉しかったです。

上掲写真は2023年9月17日コロンビア大学のレンフェストセンターの立派なホールで、『おもちゃ映画で見た日中戦争』上映前、お客様に挨拶されるジェイン・ゲインズ教授を撮ったもの。あれからもう2年が経ったのですね。

 

Gaines先生はこの日17時半から、「THE JONATHAN DENNIS MEMORIAL LECTURE」に登壇され、「想像してみて!サイレント時代の女性だけの世界映画史」の演題で講演されました。 残念ながら、その時間既に私どもは飛行機の中の人になっていて聞くことはできなかったのですが、居合わせたとしても英語なのでわからなかったろうとは思います。でも、今ネットで、先生たちが取り組んでおられるウーマン・フィルム・パイオニア・プロジェクトの内容をかいつまんだものを拝見し、できるものなら日本語で聞いてみたかったなぁと思います。一部を書き写してみると、

……19世紀後半から1920年代後半に及ぶサイレント映画時代は、映画製作の歴史において変革をもたらした時期でした。多くの人がD.W.グリフィスやチャールズ・チャップリンといった男性の先駆者を記憶していますが、初期の映画の芸術と物語を形作った女性監督たちの目覚ましい貢献を覚えている人はほとんどいません。これらの先駆者たちは、才能ある映画製作者であっただけでなく、未開の創造的な領域を探求した革新者でもありました。残念ながら、彼女たちの作品の多くは時の流れに影を落とされ、映画史の通説の中でほぼ忘れ去られています。……

振り返りが書けないままになっていて、これも恐縮なのですが、9月14日にアメリカ議会図書館からお借りして大森くみこさんの活弁と天宮遥さんのピアノ演奏で『恋人強奪』を上映しました。

以下は上映会の振り返りを書こうとして調べていて、AIジェミニちゃんと交わした会話をメモしたもの。クララ・ボウの「恋人強奪」の監督がドロシー・アーズナーという女性だったことから、スタッフの名前を読んでいて、ひょっとしたらと思い、

★「他に女性スタッフがいますか?」とAIに尋ねてみました。ジェミニちゃん(☆)はサクサクと答えてくれました。

☆クララ・ボウ主演の映画『恋人強奪』(原題:Get Your Man、1927年)の主要スタッフは以下の通りです。
監督:ドロシー・アーズナー(Dorothy Arzner)

脚本:ホープ・ロアリング(Hope Loring)

脚色:アグネス・ブランド・リー(Agnes Brand Leahy)

原作:ルイ・ヴェルヌイユ(Louis Verneuil)

クララ・ボウ主演の映画『恋人強奪』は、サイレント映画時代には珍しい、女性が中心となって制作された作品として知られています。

ドロシー・アーズナーは、当時のハリウッドで数少ない女性監督一人であり、キャリアを通じて多くの作品を手がけました。

アグネス・ブランド・リーは、脚本家。脚本(脚色)を担当しました。

ホープ・ロアリングも脚本家。脚本(シナリオ)を担当しています。女性。

ジョセフィン・ダンは主要キャストの一人。主人公の恋敵シモーヌを演じました。

この作品は、脚本、監督、主演、そして主要キャストに女性が起用されたという点で、映画史において非常にユニークな存在です。

★さらに「女性が主になって作ろうとしたことの背景がありますか?」と尋ねてみました。

☆これはとても良い視点ですね。おっしゃる通り、この作品が女性主導で制作されたことには、当時のハリウッドの背景が大きく影響しています。

1920年代のサイレント映画時代は、トーキー(音声付き映画)がまだ主流ではなかったため、女性が脚本家や編集者、さらには監督として活躍する機会が比較的多くありました。当時は映画産業がまだ発展途上にあり、性別による役割分担が今ほど固定されていなかったためです。

しかし、トーキーの時代が到来すると、映画製作がより大規模化・複雑化し、技術的な側面が重視されるようになりました。これにより、伝統的に男性中心の分野であった技術職や管理職が重要視されるようになり、女性の役割は徐々に限定されていきました。ドロシー・アーズナーのように監督の地位を維持できた女性は、非常に稀な存在でした。

この『恋人強奪』が製作されたのは、まさにサイレントからトーキーへの過渡期にあたります。そのため、この作品は、ハリウッドが性別役割分担を固定する前の、女性が活躍できた時代の象徴的な作品の一つと言えるでしょう。

★続けて「アリス・ギイの影響はありますか?特にドロシー・アーズナーにとって」と尋ねてみました。

空港に着いたまではいいのですが、エミレーツ空港のカウンターの場所が分からず、荷物を持ちながら右往左往しました。到着した時はタイミングよく日本人の方に声をかけてもらって迎えの運転手さんに会えましたが、今回はそういう人も現れず肝を冷やしました。どうにか手続きを時間内に終えて乗り込むことができホッと。エミレーツEK136便でドバイへ向かいます。

今度は窓際なので、空の下にイタリアの陸地が広がっているのが見えます。「ありがとう、また来れたら良いね」と内心で声をかけ、別れを告げました。

ドバイに着いたのは予定通りなら8日の23時20分。夜景が見えました。ここからの待ち時間が凄く長い。風邪をひいて辛そうにしている連れ合いは、ソファで休んでいる間に落としたものか、携帯不携帯であることにこの時点では気付いてはおらず。。。

行程7・10月9日(木) ドバイ空港を3時に出発。EK316便で関西国際空港へ。

今度は連れ合いと席が別々だったので、のんびりと『白雪姫』を見ながら機内食を。この量がまた多い。隣のカップルはノルウェーから。大阪の枚方に親戚の人がいて、そこを訪ねてから日本を観光するのだそう。男性は初めての飛行機旅行体験だというので、人から聞いた「エミレーツ航空は世界で最も安心だと言われているようですよ」と言ったら、「そう自分も聞いた」とのこと。高所恐怖症の私は出発前に、一条戻橋を往復し、八幡市の飛行神社まで航空安全祈願に行ってきたので、彼の言葉も聞いてほっとして眠りにつきました。

関西国際空港には2時間遅れで着陸。時間を全く気にしていなかったのでわからなかったのですが、着陸のアナウンスが流れた時、拍手が起こりました。「なんでかなぁ」と思っていたのですが、兎にも角にも再び陸に戻れて安心しました。とはいえ、空港についてようやく携帯電話がないことに気が付いた連れ合いは、まだ携帯電話をスーツケースの中に入れたのだろうと高をくくっていました。「バタバタしてもしょうがない」と。

止せばいいのに、私は化粧もしていない不細工な顔のまま、皆さんが異口同音に仰る「エミレーツの人は美しい人ばっかり」を本当にそうだと行きも帰りも思って見とれていましたので、思い切って「写真を撮らせて下さい」とお願いしました。真っ赤な帽子についた白いヴェールが魅力的で、より一層美しさが際立ちます。「どうして2時間遅れたの?」と聞いたら、「私たちも詳しくはわからないのですが、安全に着陸できるようスタッフは最善を尽くしています」とのこと。気象や空港の状況による時間調整だったのでしょう。10月13日NHK「100カメ 超多忙羽田空港100台で観察 空飛ぶ翼守るプロたち STOP!ノーショー」をたまたま見て、緊張の連続の大変な仕事だなぁと改めて思いました。彼女たちの前に男性搭乗員の方が現れて、「さぁ、これから焼き鳥食いに行くぞ」と仰って、彼女たちの笑顔が一層弾けました。フライト、本当にお疲れ様でした。

荷物を受け取ってリムジンバス乗り場に辿り着いたら、ノルウェーからのカップルと再会。親戚の方が迎えに来られていて、これも面白いご縁だと記念に写真を撮りました。

で、携帯電話ですが、スーツケースの中に入っていなかったです。イタリアのホテルや劇場に確認したのですが見つからず、結局旅行社を通じて、エミレーツ航空に、空港や飛行機の中に忘れていないか探して欲しいと依頼しました。結局あの広大なドバイ空港で見つかり、20日手元に無事戻ってきました。全く人騒がせなことでしたが、よく見つかったなぁとそのことに感心します。エミレーツ航空は偉大です‼

このお粗末なオチで、10月3~9日イタリアポルデノーネ無声映画祭の見て歩きを終えます。

【追記】

Valerio Grecoさん撮影の写真を拝借して、ポルデノーネ無声映画祭44で、尽力してくださった皆様に心からの御礼を申し上げます。大変お世話になりました。感謝‼

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