おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2015.09.07column

松之助最晩年の映画「実録忠臣蔵」完全映像発見のニュース

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松之助A今日の朝日新聞夕刊対向面と京都新聞夕刊1面に、日本映画最初の大スター・尾上松之助が、最晩年に主演した映画「実録忠臣蔵」(1926年、日活)のフィルムが見つかったという記事が掲載されました。家庭用に再編集した9.5㍉のパテベビー版(全4巻、約1時間)で、「天の巻」「地の巻」「人の巻」のすべてが揃った完全版です。おもちゃ映画ミュージアムには、他にも松之助映画の断片が何本かありますが、約千本主演したといわれている松之助映画のうち、これまで残存が確認されているのはごくわずか。ですから、今回のフィルムの発見はとても貴重です。同作品についていえば、これまでは京都文化博物館が所蔵するパテベビー版20分の断片があるだけでした。

9月12日の「第3回無声映画の夕べ」には、「天の巻」を上映するほか、千本記念として製作された「荒木又右衛門」やお得意の「中山安兵衛」も片岡一郎さんの活弁付で上映します。松之助について詳しい入江良郎・文化庁文化芸術課調査官の講演「最古の映画スター尾上松之助 再発見の道のり」もあります。すでに参加のお申し込みをいただいている方の中には著名な研究者の方が何人もおられますので、座談会形式にすれば面白い話がたくさん聞けるのではないかと思っています。

新聞を読まれた方から早速参加の申し込みをいただきました。興味深かったのは、この作品に不破数右衛門役で出演されている「新妻四郎」さんのご子息からの電話。昭和26年に亡くなられたそうですが、生前は約100本の映画に出演されたそうです。今回電話をかけてくださった方は4歳の時にお父様と死別されましたので、「動いている父の記憶がない」と、ずっと「新妻四郎」さんが出演されている作品を探しておられるのだとか。今では「新妻四郎」さんのお孫さんが、熱心に関連資料を集めておられるともお聞きしました。

「それなら、ぜひ12日に可能なものだけでもご持参いただいて、皆様に披露していただけませんか?」とお願いし、快諾していただきました。

もうひとり、昔高津商会で働いていたという79歳の男性からの申し込みも印象深かったです。記事を読んで懐かしく思い出されたようです。10月の京都国際映画祭では4巻とも上映されますが、このようなこの映画にまつわる話を聞く場がありません。おもちゃ映画ミュージアムを開館するとき、一番に思ったのは、「映画を愛する人が集うサロンにしたい」ということ。9月12日は、そのひとつの形になる日ではないかと思って、楽しみにしています。

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