おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2019.07.19infomation

今日から25日まで、フランスのWEBサイト「シネマクラブ」で『突貫小僧』上映されます‼

今日19日から25日まで、フランスの著名なウェブサイトであるシネマクラブで、当館所蔵の現存最長版『突貫小僧』(1929年、小津安二郎監督)が、世界中どこからでも、だれでもご覧いただけます。

尽力して下さった米国ロチェスター大学のジョアン・ベルナルディ教授によれば「一週間にわたって、誰でもどこでもオンラインで鑑賞できるということ。特に短い映画に関心がありますが、有名な監督、あまり知られていない監督、クラシックな映画、新しい映画を紹介する」サイトだそうです。試みに、先ほどアクセスしましたら、見慣れた当館の「おもちゃ映画ミュージアム」が写し出されました。世界中の映画ファン、研究者がご覧になるサイトということで、これを機に、この小さなミュージアムのことを知ってもらえる良い機会になると思うと、とても嬉しいです。昨年、イタリアのポルデノーネ映画祭で上映した折りには、ジョアン先生に翻訳してもらい、彼女の同僚であるロチェスター大学の先生方にDCP化で協力していただきました。その成果を、シネマクラブのサイトで、ぜひご覧ください‼

もちろん、無声映画の時代ですので、音がなくて、ちと寂しいですね。そこで一つご紹介。

開館5年目の正会員・サポーター会員用特典DVDです。ピアノ演奏は米国バージニア州にあるランドルフ・メ―コン大学のジム・ドーリング教授にお願いしました。2017年1月に学生さんたちを引率して見学に来て下さいました。休館日だったこともあり「お礼に、何か演奏を」と申し出て下さったので、以前おもちゃ映画の中から編集したチャップリン短編集をスクリーンに上映したところ、その場で即興演奏して下さいました。その時録音した音源を用いて、短編6作品を特典映像として収録しています。

そして、メインの『突貫小僧』は今年1月に学生さんを引率して2回目の来館の折に演奏をお願いしました。生憎録音に失敗したので、ガッカリしている私に、ジム先生は「大丈夫、アメリカに帰って映像に合わせて演奏したものを送るから」と慰めてくださいました。「泣いたカラスがもう笑った」の通り、手を叩いて感謝の気持ちを表現しました。そして、「せっかくなら」と特典DVDにすることを提案しました。

このDVDは私共との友情の証でもあります。正会員(年12000円、学生半額)、個人サポーター(年5000円、何口でも)になってくださるとお楽しみいただけます。他にも4種類ございますので、ホームページのオリジナルグッズのコーナーをご覧いただいて、お好きなものをお選び下さい。

「シネマクラブ」「シネマクラブ」と口にしていたら、昨日、映画評論家で、元城西国際大学教授の村井 英先生がお越しくださって、翻訳された『映画愛―アンリ・ラングロワとシネマテーク・フランセーズ』(1985年、リブロポート)をプレゼントして貰いました。今では絶版の貴重書です(下掲写真)。

シネマテーク・フランセーズには、ドイツのサイレント映画演奏家ブーフヴァルトさんを通して、昨年フィルムを寄贈したばかりなのですが、そのシネマテーク・フランセーズ創始者が、アンリ・ラングロワという人物で、1936年9月2日に設立されました。フィルムを収集して、保存するだけでなく、破損したフィルムを修復し、復元し、コレクションを公開することを目的にしているのが素晴らしい。東京の国立フィルムアーカイブが国立近代美術館の映画事業(フィルム・ライブラリー)として始まったのが1952年。国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)に加盟したのも1989年と残念ながら日本の場合は遅いスタートです。

ジャン・ルノワール、ルネ・クレール、アベル・ガンスなど多くの映画人が、シネマテークで青春時代を過ごし、他の映画を見て学びました。そのシネマテーク・フランセーズを作る前、アンリが友人のフランジュと最初に作ったのが、自分たちでプログラムを組んで上映するシネクラブでした。このシネクラブが、今のウェブサイト「シネマクラブ」に引き継がれるのか否かまでは、知識がない私には、よくわかりません。

この村川先生が、郷里の新潟で小津安二郎の幻の映画『和製喧嘩友達』(1929年)を発見されたのが1999年。斎藤寅次郎監督『石川五右ェ門の法事』(1930年)など発見されたのは30本で、全てパテ・ベビー・フィルムでした。神主さんの家の蔵からみつかり、秋祭りでの上映を意識して、東京にあったパテ社の代理店、伴野文三郎商店(現在の伴野貿易)で購入されたもののようです。このようなことを知ると、まだ各地のどこかの蔵に「幻の」と冠がつくフィルムが眠っているように思われてなりません。あるいは、コレクターさんの代替わりの時に出てくるのかもしれませんが、その時既に劣化していては元も子もありません。救えるうちに出て来て、後世に残せたら良いなぁと思います。そうして、またWEBサイト「シネマクラブ」で世界中の人に見てもらえたら、と夢見ています。

 

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