おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.10.06infomation

京都国際映画祭2021のご案内‼

2014年から毎年10月半ばに開催している京都国際映画祭は、今年8回目。「映画もアートもその他もぜんぶ」と銘打ち、賑やかに展開しています。新型コロナウイルスの正体がまだわからず、感染拡大を懸念して昨年はオンライン開催でした。丹精込めて用意した「サイレント/クラシック部門」の25プログラムを、できることなら有観客でご覧頂きたかったのですが、オンライン開催だったからこそ、なかなか京都の会場まで来ていただくことができない国内外の人々にもご覧頂けたプラス面がありました。

経験を踏まえて、今年は10月11~17日までと日数を増やし、京都市内各会場とオンライン配信を組み合わせた「ハイブリッド型映画祭」として開催されます。キャッチコピーは「前向け、前。-そこに映画がある。アートがある。」

毎年楽しみなアンバサダー(大使)には、女優の倉科カナさんが就任されました。名誉実行委員長の中島貞夫監督は、9月12日当館で行った収録に立ち会ってもくださり、とても楽しんで頂けました。その時撮影した【サイレント/クラシック部門】の作品も含めて、以下に関係するプログラムをご紹介します。

玩具映画で見た昭和「日中戦争』(パイロット版)…当館所蔵の玩具映画には、時代劇やアニメーションだけでなく昭和天皇御大礼や満州事変など昭和史の記録映像もあります。手回し映写機を使って家庭でご覧になっていたこれらの映像を、「日中戦争」をキーワードに時系列で繋いでみました。本編製作中のためパイロット版としてご紹介します。演奏:柳下美恵さん、英語翻訳:ロチェスター大学ジョアン・ベルナルディ教授。

「レトロ京都1930」…京都に関する貴重な映像を発掘し紹介します。今回は1930年に市民がパテ・ベビー(9.5㎜)で撮影したホーム・ムービー。10月第3土曜日は世界中で展開する「ホーム・ムービーの日」。今年は10月16日がその日なので、タイムリーな企画。丹後「天橋立」旅行/名士たちが楽しんだ「保津川下り」/ゴールの平安神宮を目指し、蹴上、伏見、嵯峨、御室などを走る「京都府駅伝」。景観が今とは全く異なり興味深いです。もう一つ玩具映画(35㎜)『四条通りを走る』には、大正期の四条通から祇園、花見小路が記録されています。演奏:天宮遙さん。

『当世新世帯』…1926年、阪東妻三郎人気にあやかり、阪妻プロの経営者・立花良介が世界配給を視野にアメリカのユニバーサル映画と契約を交わして合弁会社(阪妻立花ユニバーサル連合)が誕生します。しかし松竹キネマとの専属契約があったため、阪妻主演作品を輸出することができず、ユニバーサルの思惑は外れて契約解除に。35本の作品を残してわずか半年で阪妻映画世界配給の夢は潰えます。小沢得二監督、堀川浪之助、泉春子出演の喜劇『当世新世帯』は、この合弁会社で作られた映画のうち唯一残った貴重な作品です。演奏:天宮遙さん。

『猛進ラリー』(1926年)…原題は『Stop,Look and Listen』。日本公開時に『弗箱シーモン』となりましたが、寄贈を受けたフィルムには『猛進ラリー』となっていたので、そのタイトルで上映します。絶頂期にあったラリー・シモンですが、莫大な製作費、納期も遅れるなどの契約違反が続き、ヴァイタグラフ社から訴えられる始末。車、バイク、列車でのアクションが続き、鉄道橋が破壊され、危機一髪の波乱万丈の連続活劇。強盗役にオリバー・ハーディが出演して話題に。演奏:鳥飼りょうさん。


『気弱なドライバー』(1925年)…長編の『TheCloudhopper(別名Keep Jumping)』から抜粋し、Castle Film社 で『The Weak-end Driver』に題名を変更し、10分弱のフィルムに編集して販売されました。監督はスティーブン・ロバーツ、編集は後に『ベン・ハー』のプロデューサーになるサム・ジンバリスト。ラリー・シモンの作品らしく列車、バイク、車でのチェイスから飛行機でのアクロバッティックなアクションまで、短くても見どころ満載です。演奏:天宮遙さん。

『ロイドの其の日暮らし』(1919年)…7年後の『ロイドの福の神』と同じシチュエーションで、その原型ともいえるコメディ。ハル・ローチ監督。無一文なハロルドと同じく餓えた少女の前に、札束を拾った子犬が。漸くパンをたくさん食べられると思った矢先、偽札だとわかります。危うく警官に訴えられるところで富豪の令嬢ミルドレッドに救われます。一方、彼女の遺産相続金を狙う悪徳弁護士たちが街のならず者たちを使ってミルドレッドを誘拐し、その策略に巻き込まれたハロルドは…。活弁:大森くみこさん、演奏:鳥飼りょうさん、翻訳:吉川恵子さん。

『ポールの空中工夫』(1923年)…主役のポール・パロットは、本名のジェームス・パロット名で脚本も担当。後にこの名前でローレル&ハーディの『ミュージック・ボックス』など多くの名作を監督しています。1920年代は摩天楼の建築ラッシュで、高層ビルの上で危険なギャグ・コントを次々見せて、ハラハラさせます。活弁:大森くみこさん、演奏:鳥飼りょうさん、翻訳:吉川恵子さん。

『狂える悪魔』(1920年)…ロバート・ルイス・スティーヴンスの小説『ジキル博士とハイド氏』を原作にした怪奇無声映画。人間は善と悪の両面をもつ。その二重人格を研究するジキル博士は、薬を服用するうちに自らの人格が分裂し、破滅の道を辿ります。名優ジョン・バリモアが善良で慈悲深いジキル博士と、下品で残忍な欲望のまま生きるハイド氏を演じ分けます。活弁:坂本頼光さん、演奏:天宮遙さん、翻訳:吉川恵子さん。

『ロスト・ワールド』(1925年)…アーサー・コナン・ドイルの原作を映画化したSF映画の古典。世界的なコマ撮りアニメの先駆者ウィリス・オブライエンが7年がかりで製作しました。有名な『キング・コング』(1933年)や『猿人ジョー・ヤング』(1949年)も彼の作品で、後者はアカデミー特殊視覚効果賞を受賞。南米アマゾンの奥地に生息していた恐竜を近代的なロンドンの街に登場させるという特撮映画の古典で、『ジュラシックパーク』などSF映画の先駆として記念碑的な作品です。活弁:片岡一郎さん、演奏:鳥飼りょうさん。

『安政異聞録 浄魂』(1927年)…市川右太衛門が奈良あやめ池に構えた撮影所第1回作品。些細な諍いで父を殺された関口春之亟は仇討ちを誓いますが、生活が困窮し、旅先でつい人の懐中を盗んでしまいます。それを子狐お玉に目撃されたことから悪の道へ転落。偶然、仲間と押し入った屋敷で仇と出会い、本懐を遂げるものの、母はすでに生活苦から自害していました。捕り手に囲まれた春之丞は、壮絶な闘いの中で身も心も浄化させ、お玉とともに果てます。活弁:片岡一郎さん、演奏:上屋安由美さんと田中まさよしさん。

「京都ニュース」で見る祇園祭(1956~89年)…1956~94年に京都市広報局が製作し、映画館で上映されていた市内の様子を記録した映像の中から、「祇園祭」に関するニュース映像をまとめてご覧頂きます。

以下は喜劇映画研究会所蔵作品から【マック・セネット特集】として4作品。解説:新野敏也さん、翻訳:石野たき子さん、演奏:神﨑えりさん。

『カーテン・ポール』(1909年)…D・W・グリフィスの習作期短編で、まだハリウッドもなかった時代に作られたアメリカ映画最初のドタバタ喜劇。主演はのちにチャップリン、ビング・クロスビー、ダリル・F・ザナックらを育て、娯楽映画の基礎を築いたマック・セネットです。


『強敵』(1913年)…最初期アメリカ映画のドメスティックな喜劇を奇想天外なアイデアで味付けした傑作です。監督・主演はマック・セネット、ヒロイン役は歴史上初の国際的なアイドルとなったメーベル・ノーマンドです。

『ノートルダムの仲立ち男』(1924年)…徹底した不条理とカオスに満ちたドタバタ喜劇の傑作!一発芸的なギャグがストーリーの推進力となる、映画黎明期の娯楽要素が満載の狂騒劇です!秀逸な特殊効果は、ギャグ・アニメにも影響を与えました。

『サーカス日和』(1926年)…近年は動物愛護の観点からサーカスのゾウやライオンの曲芸に批判が集まり、多くの演目が禁止されつつありますが、そんな風潮をよそに、この作品では道化師がライオンの脅威に曝されたりと、今では考えられないギャグが炸裂します。

続けても喜劇映画研究会所蔵作品から2作品を、新野敏也さんの解説でお楽しみ下さい。

『陽気な巴里っ子』(1926年)…天下の洒落者、ドイツ系ユダヤ人のルビッチ監督が、ハリウッドの視点で描いたパリの享楽!軽妙でフェティッシュな構成を、山崎バニラさんのピアノ弾き語りでご堪能下さい。

『空想の旅』(1926年)…名匠ルネ・クレールの初期作品で、第四作目。前々作『眠るパリ(Paris Qui Dort)』で絶大な評価を獲得したのち、満を辞して世界公開を目的に作られました。若きクレールが、懇意のシュールレアリスムの諸先輩、『カリガリ博士』等のドイツ表現主義、ハリウッドの娯楽映画からエネルギーを吸収して、真心をこめて編纂した《パリの街並みに潜む大人のおとぎ話》です。演奏:天宮遙さん。

最後に「活弁でGO!京都凱旋スペシャル&『I AM JAM』の世界」。プロデューサー立川直樹さんと活動写真弁士片岡一郎さん企画で、10月16日17~19時、ヒューリックホール京都でライブ開催されます。今をときめくおいでやす小田さんがMCを務め、即興歌も大好評のこがけんさん、ゴリ(ガレッジセール)さん、堀川絵美さん、それに目下製作中の活弁映画『I AM JAMピザの惑星危機一髪!』の監督・主演の辻凪子さんと活弁の大森くみこさんも出演と賑やかな顔ぶれ。演奏:天宮遙さん。このプログラムは、チケット(千円)の購入が必要です。

以上【サイレント/クラシック映画部門】を紹介しました。中には昨年上映した作品もありますが、活弁士さんや演奏者が異なっています。同じ映像でも、それを語る人や伴奏が異なると印象が違う無声映画ならではの面白さを味わって頂ければと思います。

昨年は視聴にやや面倒な手続きが必要でしたが、今回は一度FANY IDに登録(無料)して頂くと、後はご覧になりたい作品ページにアクセスすれば簡単に視聴できるよう改善されました。

※登録がまだの方は、こちらで新規会員登録をお済ませください。

①観たい作品をオンライン配信作品一覧から選んでください。

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③「ログイン」をクリックし、FANY IDで登録した「メールアドレス」「パスワード」を入力してください。
④「ログイン」すると再生ページに移ります。

⑤再生ボタンを押してお楽しみください。

※再生する動画は、FANY IDでログイン時のみ有効です。第三者へ配布しても視聴することはできません。

10月11日(月)10時~17日(日)23時59分まで視聴可能です。ぜひアクセスしてお楽しみ下さい‼ 詳しくは公式サイトをご覧下さい。https://kiff.kyoto.jp/ 

 

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