おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2023.09.22column

21日付け日経新聞夕刊と「全国小津安二郎ネットワーク ニュースレター」vol.117で、当館についても触れて記事掲載

2023年9月21日夕刊日本経済新聞大阪版に、8月24日塩田宏之記者さんに取材を受けた内容にも触れた記事が掲載されました。電子版の方が、より詳しい内容になっていますので、良ければクリックしてみて下さい(会員限定記事ですが、無料お試しでご覧になれると思います)。

記事にも登場する甲南大学准教授の友田義行さんとは、2018年11月、当館でおもちゃ映画(35㎜、50秒)『ミッキー漫画スピーデー』(原題“Neck’n Neck’”、1928年公開。ロストフィルムの一つとされていたオズワルド・ザ・ラッキー・ラビットが主人公のアニメーション)が見つかったことを報じる新聞を読まれた奥様が来館して下さって以来のご縁です。友田先生がフィルムメーカーズ㉒『勅使河原宏』を書かれたということを知り、早速講演会と草月会の協力を得て上映会を企画しました。1回目は2022年1月29日、2回目は5月22日に開催し、その振り返りはこちらで書いています。昨日の日経電子版では、その折の写真も用いて下さっています。記事にありますように、1970年大阪万博自動車館で公開された勅使河原宏監督、安部公房脚本『1日240時間』は、順調なら来年3月の大阪アジアン映画祭でご覧頂けると思いますので、お楽しみになさって下さい。

こちらも昨日届いたばかりの「全国小津安二郎ネットワーク ニュースレター」vol.117 。1頁目右下から北海道立文学館で8月20日まで開催された「小津安二郎 世界が愛した映像詩人」の紹介がされていて、2頁目には「小津監督筆である『山中貞雄之碑』拓本の貴重な展示もあった。」とあり、当館がお貸しした拓本の展示写真は、上掲緑色表紙の図録10頁に掲載されています。

SNSで山崎バニラさんが、10月の東京国際映画祭で新しく見つかった小津安二郎監督『突貫小僧』(ヌーベルグラフ版、最長版)を活弁上映されることを知ったので、「当館で見つかったパテ・ベビー版に欠けている場面がどこなのかしら?」と尋ねてみたかったのですが、「ニュースレター」6~7頁に、このフィルム所蔵者で同ネットワーク副会長の築山秀夫さんが詳細にその点について書いておられました。

それによると、築山さんがこのフィルムをネットオークションで入手されたのは2018年2月のことだったそうです。ずいぶん長く温めておられたのですね。築山さんによれば『突貫小僧』が見つかったのは4度目なのだそうです。成城小学校教諭の斎藤さんという方がお持ちだったパテ・ベビー・フィルム(9.5㎜)約13分を映画評論家の佐藤忠男さんが見せて貰ったのが最初(『映画史研究』№6、1975年)。2回目が先ごろ亡くなった映画評論家の山根貞男さんが発見され、1990年12月に新聞報道されたパテ・ベビー版。

遺作となった本『映画を追え フィルムコレクター歴訪の旅』(草思社、2023年2月)の表紙は上掲のように『突貫小僧』の画像で、山根さんの思い入れの深さがうかがわれます。

そして3回目が2016年9月に公表した当館所蔵バージョン(パテ・ベビー版、18分)で、写真はNHKニュースで報じられている場面。築山さんは「太田版」と呼んで紹介して下さっています。そして4回目が築山さん所蔵の16㎜バージョンで、国立映画アーカイブによって35㎜にブローアップされた20分39秒です。

新たに見つかった場面には、タイトルの次に①「原作 野津忠二、監督 小津安二郎、16ミリ編集 石崎芳夫」のスタッフクレジットが入っているそうです。ちなみに原作の「野津忠二」は、田高梧、小安二郎、池田雄、大久保素からとった合成ネームだということを、昨年12月11日伊藤弘了さんの講演で教えて貰ったばかり。②隠れん坊をする際に、突貫小僧が路地を走るシーンがある。③噴水のシーンがある。④親分権寅の家を出る前に突貫小僧の決めのポーズがある。⑤「お金をたくさん持ってかなければ駄目だよ」と言われた人さらいの文吉が、部屋の奥に移動して、カンカン帽の後ろの釘に掛けてあったひも銭をもって出かけるシーンがあるそうです。

丁度良いタイミングで、今、国立映画アーカイブから10月24~29日「小津安二郎監督週間」のリーフレットが届きました。その表紙を飾っているのが上記③の噴水のシーンですね。10月24日18:30~、同所ホールにて、『突貫小僧』パテ・ベビー短縮版とマーヴェルグラフ版(世界初上映)が同時上映され、続いて築山さんのトークも予定されています。

一昨日は、茅ケ崎にお住いの方から茅ヶ崎市美術館開館25周年記念「小津安二郎の審美眼」(11月9日まで)のチラシも届きました。その後も江東区古石場文化センターで11月25日~来年2月3日まで小津安二郎展が開催されるなど、小津監督生誕120年、没後60年を記念しての催しが続きます。これを機会に、若い人たちにも小津映画に親しんでもらえたら良いなぁと願います。

 



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