おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2021.08.05column

当館所蔵映像が高槻の「子どもたちと考える戦争と平和展」で活用‼

当館理事でボランティアもして下さっている河田隆史さんが、7月31日大阪府高槻市にある高槻現代劇場文化ホールで行われた学習会で、「戦意高揚宣伝(プロパガンダ)を考える」の演題で講師を務められました。その冒頭で、当館所蔵の『実包射撃 於高槻』のタイトルがある映像(上掲はその一場面)をご紹介くださいました。アマチュアの人が撮影した9.5㎜パテ・フィルムで、撮影者は不明です。

私どもが今編集している『玩具映画で見る昭和史 日中戦争』をご覧になった河田さんが、そこで使われていた『実包射撃 於高槻』の映像の重要性に気付いて有効活用して下さったのです。地域の歴史学習に役立って良かったです。聴衆の中には高槻に軍事施設があったことを初めて知った方もおられ、「戦後76年経った今でも、新たに掘り起こされる映像があることは、記録することの大切さを思い知らされた」と河田さん。

河田さんが講演前に書かれた文章から引用すると、

「戦前日本の国民の戦争協力は、国家が強制しただけではなく、自発的なものも多かったのです。相互監視の下で誰もが戦争に協力しました。国民をこの行動に駆り立てたのがメディアの戦争プロパガンダです。

侵略戦争に協力した以上、国民は皆、加害者でした。一方国民は戦争被害を被っただけでなく、プロパガンダに騙されたという意味で被害者でした。この学習会では、ポスター・雑誌・映画のプロパガンダを、国民がどう協力したかという視点から概観します。

『戦争は悲惨であり良くない』このことを後世に伝えることはとても重要です。しかしこれだけでは戦争を防げないとの思いが強くなってきました。その理由の一つは、私たちは戦争プロパガンダへのリテラシー(情報分析能力)が弱いことです。国益が損なわれた、自衛のためであるなどの報道を、分析する能力が大切だと考えました。戦争を支持し、参加・協力したのは私たち自身であったこと、私たちはプロパガンダ宣伝に弱い大衆だったことを記憶したいと思います。」

この学習会は上掲チラシにある通り、「子どもたちと考える戦争と平和展in高槻・島本2021」プレイベントの取組みの一つでした。この後、8月21日、9月4日にも戦争体験者のお話を聞く催しを計画されています。

メインの展示は8月12~15日、高槻市立生涯学習センターで。河田さんのコーナー「戦争プロパガンダ展」では、これまで収集された戦意高揚ポスターや雑誌だけでなく、最初に掲げた「陸軍高槻射撃場の映像」の展示もあります。連日の蒸し暑い中ではありますが、ご都合良ければぜひお出かけ下さい‼

 

 

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