おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.01.09column

恒例「新野敏也のレーザーポインター映画教室Vol.6」内容充実で開催しました‼

毎年恒例行事にしている喜劇映画研究会代表新野敏也さんを講師にお迎えして開催している「レーザーポインター映画教室」は数えて6回目。昨年2月11日に予定してチラシも用意したのですが、コロナの感染拡大を懸念して、6月に延期して計画、それも同じ理由で見送って、“三度目の正直”で漸く1月8日に開催することが出来ました。オミクロン株の感染力の強さを心配して「本来ならぜひ参加したかったのですが、府県をまたいで行くことができない」と見送る方が多かったです。2020年、2021年、そしてまた2022年もコロナウイルスに翻弄され続けるのでしょうか。一日も早く以前のような安心して暮らせる日常に戻りたいものです。

そんな中でも、この催しを楽しみに来て下さった皆さんと一緒に「レーザーポインター映画教室」の始まり、始まり。お忙しい新野さんですが、いずれレポートを書いて下さこを承諾して下さいましたので、詳しくはそれの到着を待ってということにして、当日のスナップ写真を幾枚か。

新野さんが指さしておられるのは、昨日の朝額装したばかりの古新聞。1月8~10日大阪のサンケイホールブリーゼで公演中の「SLAPSTICKS」のテーマとなっているアーバックル事件当時(100年前)の新聞です。1921年に「でぶ君」として人気があったロスコー・アーバックルが強姦殺人容疑で逮捕されました。裁判の結果、証拠不十分で無罪放免となりましたが、スキャンダルにまみれ、映画界に身を置く場所を失ったアーバックルを、師匠と仰ぐバスター・キートンは彼が亡くなるまで映画界に復帰できるよう尽力していたそうです。「SLAPSTICKS」でアーバックルを演じるのは「はんにゃ」の金田哲さん。細身の金田さんは肉布団を着て「でぶ君」役を熱演されているそうです。

今回の教室用に新野さんが手描きされたイラスト。今回のテーマは「ロスト・フィルム!失われる事情!発掘と再生!」で、第1部は、トーキー映画の発明から吹き替え版の歴史、フィルム散逸の事情をわかりやすく丁寧に解説して下さいました。その後でチェコスロバキアで1958年に作られた『悪魔の発明』を上映。

秋に開催した「大映京都の特撮技術」で勉強したばかりの“マット画”や“グラスワーク”、“スクリーンプロセス”など様々な手法を用いたアニメ的な作品で、思いの外楽しい作品でした。ジュール・ベルヌ原作、カレル・ゼマン監督・脚本作品を個人輸入に近い形で日本に持ち込み、それを貸し出して活用されていた現存唯一の日本語吹き替え版だそうです。相当フィルム劣化が進んでいたのを、最新技術でデジタル化され、今回初披露という貴重な場でした。主役の声を納谷六朗さんが担当。吹き替えが始まったばかりの頃の一発どりで録音。

お楽しみ上映作品は2本。1957年と1963年に吹き替え収録された作品で、日下武史さんや牟田悌三さんら懐かしいお声が聞けました。

第2部は「忘れられた大スター ラリー・シモン特集」。

『ホテルマン』The Bellhopは、1921年に作られましたが、日本では未公開。製作:アルバート・E・スミス、監督・脚本:ラリー・シモン、ノーマン・タウログ、撮影:ハンス・F・コエーネカンプ、スタント:リチャード・タルマッジ、ウィリアム・ハーバー、出演:ラリー・シモン、オリバー・ハーディ、ノーマ・ニコルズ。

今回は2005年1月15日御茶ノ水のアテネ・フランセ「夢の森にて2005」で演奏付きで上映された記録を見せて頂きました。この時の演奏は“谷川賢作とSonorizzano”。三木黄太さんが作曲/編曲/指揮/チェロを担当され、太田惠資さんのヴァイオリン、谷川さんのキーボード、高良久美子さんのマリンバの演奏。日頃見ている無声映画の伴奏上映と比べると音楽が主で、映画が添え物の印象がありましたけど、演奏付きで楽しむ無声映画の多様性を感じました。

『気弱なドライバー』A Week-end Driver(オリジナル・タイトルはThe Cloudhopper) キャッスル・フィルム版で日本未公開。

空中でのハラハラドキドキするシーンの撮影トリックを、レーザーポインターの光線をクルクル回して説明する新野さん。

『猛進ラリー』は当館で見つかったフィルムに、天宮遙さんが演奏して下さったバージョンで上映しました。もはや白塗りではないラリー・シモンですが、列車や飛行機を用いて派手な演出は相変わらず。巨額のお金を投じて製作したことで、破産。その後作品は散逸しました。自然と忘れられた存在になりましたが、こうしてかつての映像が発掘されることで再評価に繋がっています。

休憩中に展示もご覧頂きました。今回参加者が少なかったこともあり、テーブルのままに席を拵えましたので、写真の女性は机上で熱心にメモを取っておられました。その様子が嬉しかったです。

第2部で一応解散し、希望者だけで第3部のお楽しみ上映を。60分もあるという作品なので、各自の腹ごしらえタイムを30分設けました。その後の作品は“エノケン”と親しく呼ばれた榎本健一さん主演の幻の映画。このフィルムも最新技術で修復されました。“エノケン”が元気な頃の最後期の喜劇。

見終えて、残って下さった皆さんと記念撮影(この瞬間のみマスクを外しています)。

終わったら、夜のとばりが降りて外は真っ暗の20時。案の定の長丁場でした。皆さん、寒い中お付き合い頂きまして、誠にありがとうございました‼

一夜明けた今日9日、新野さんは一日学芸員を務めて、展示作品をお客様に解説。二日にわたって、どうもお疲れ様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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