おもちゃ映画ミュージアム
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Toy Film Museum

2022.01.14column

映画監督井上昭監督の訃報

今朝の京都新聞に掲載された映画監督井上昭さんの訃報。各新聞ほかメディアでも報じられていました。先月10日に93歳になられたばかり。わずか50日前の11月18日に当館で行われた共同テレビの取材では、とてもお元気にお答えされていて、失礼ながらお茶目な印象もあり、まさかこんなに早くお亡くなりになるとは思いもせず。。。とても残念に思います。来館されたときの様子は、こちらで書きました。心からお悔やみを申し上げます。

お帰りになって直ぐから、井上監督に、大映京都撮影所時代の思い出や特撮映画の様子、とても仲が良かった森田富士郎キャメラマンとの思い出などをお聞きしたいので、その場を設けて欲しいと取材者に依頼していたのですが、なかなかその時間がとれないまま。年末に倒れられ、残念ながら9日に亡くなられたと知ったのは、11日に太秦にある(株)京都組の事務所を訪れたとき。もう少し先にお会いすることが実現していたなら、井上監督から貴重な話がもっと伺えたのにと思うと、とても残念です。11月にも一緒にお越し頂いた京都組プロデューサーの西村維樹さんから「(当館に)また行きたい」と何度も井上監督が仰っていたとお聞きし、なお一層お会いできなかったことが悔やまれます。

先日来、溝口健二監督『山椒大夫』製作時の“黒板タイム”のことが話題になりました。脚本を担当された依田義賢先生が溝口監督から撮影現場に呼び出され、新たな台詞をその場で話されることを黒板に書き写す役目を担っておられたのが、当時助監督だった井上監督でした。依田先生の脚本は、その“黒板タイム”でも練られていったのです。

大映倒産後、依田先生が大阪芸大映像計画学科の初代学科長に就任され、森田キャメラマンも芸大で教えられるようになった縁から連れ合いも撮影所に出入りするようになりました。けれども入れ違いに井上監督は東京へ行かれたこともあり、お名前を良く耳にする井上監督とお会いしたのは、11月18日が最初で最後の機会となってしまいました。

今となっては井上監督の遺作となってしまった新作映画『殺すな』が、1月28日から全国のイオンシネマ89館で上映され、時代劇専門チャンネルでも2月1日19時から放送されますので、ぜひご覧下さい‼

井上監督が映像化を熱望しておられた藤沢周平原作『殺すな』。この映画のどこかにお地蔵様が映っているはず。お地蔵様が大好きなのだそうで、色紙にも「愛」の文字と一緒にお地蔵様の絵を描いて下さいました。お地蔵様に導かれながら、井上監督は極楽往生されたものと思います。多少の縁を頂戴した者として、映画を見ながら井上監督のことを偲びたいと思います。合掌

【1月19日追記】

今朝の京都新聞22面に、三好記者が昨年12月13日井上昭監督にインタビューされた折の記事が載っていました。大変大きな紙面です‼

記事左上の写真がとても良いですねぇ。うちでお会いした時に見せてくださった時と同じで、お人柄が滲み出ています。上のブログでも書いた溝口組での「黒板タイム」は、井上監督の脳裏に忘れがたい思い出として刻まれているのでしょう。記事を読みながら、色紙に書いて下さった「愛」という文字とお地蔵さんの絵は、監督の心を占めている大切なモチーフだったのだと改めて思いました。今仕事でカナダにおられる原田徹監督は西村監督を師と仰いでおられたので相当なショックを受けておられる様子です。西村監督の「愛」は、きっと原田監督に引き継がれていることでしょう。いつか西村監督の思い出を聞く場を設けられたらと思います。

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