2024.07.19column
刺青絵師毛利清二展も残りわずか
5月1日から始まった「毛利清二展~映画とテレビドラマを彩る刺青展」も28日の最終日まで残りわずかとなりました。6月16日までの第1期は毛利さんの下絵3枚が撮影可能でしたが、19日からの第2期は諸般の事情で一切撮影ができなくなりましたので、「目に焼き付けて帰る」と仰る方もおられました。そこに、グッドニュースです‼
7月11日に取材に来て下さった都築響一さんがメールマガジン“ROADSIDERS’ weekly”605 号(7/17号)で写真をたっぷり使って展覧会の様子を内容豊かな記事に書いて下さいました。先生の特別のご配慮で、どなたでも見てもらいやすいように今朝、期間限定で無料公開ページを作って下さいました。8月末までですので、今のうちにぜひアクセスしてご覧下さい。https://roadsiders.com/backnumbers/article.php?a_id=2765
今日は「期間中見学できるのは最後の機会だ」と、東京の中野寿楼さんと京都の悠彩さんが4回目の来館。7月13~15日に開催された“金沢刺青祭”のお土産と“加茂みたらし団子”の差し入れを頂戴しました。居合わせた岐阜県からお越しのお客様は金沢にも行ってこられたので、寿楼さんと悠彩さんの姿をご覧になって「うわーっ」と歓声を上げておられました。多くのフォロワーがおられる中野さんに、今回の展覧会の広報では随分お世話になりました。心より御礼を申し上げます。
16日にロシアから来館のALEX SHUEDさんとANDREY SHUEDさんの双子の兄弟。彼等も中野さんの紹介で来て下さいました。二匹の狼を描いた絵をプレゼントして下さったので早速額に入れて飾りました。
モスクワにピンでマーキング。ロシアからは2組目かも。一日もはやくウクライナとの戦争に終止符を打って貰いたい。
いろんな刺青のデザインがあるもんですね。入れ替わるように高知の彫師さんもお友達と2度目の来館。金沢での刺青祭から帰る途中に立ち寄って下さいました。前回、高知では絵金を反映した彫り物を要望される場合もあると教えて貰いましたが、その“絵金まつり”は明日20日と21日が本番。一度は実際に見に行ってみたい。続けて来館の沖縄で彫り師をされている秋龍さんは、元は秋田出身でその後東京へ出て修行し、その後世界各地を旅し、それぞれの地で行われた刺青のコンテストで注目を浴びて仕事を続け、今は沖縄で活動をされています。「へぇっ」と思ったのは、お母様が「彫って欲しい」と要望されてお花の刺青を彫ってあげたのだそうです。なんとなく、親が彫師になるのを諫め、という構図を思い込んでいたので、意外な気がしました。今回の金沢刺青祭は、彫師になって30年以上のベテランが注目される催しだったようです。
女優の谷ナオミさんと話したことがある人は、彼女が「映画で別の人に刺青を描いて貰ったけど、毛利さんに描いて貰いたかった」と話しておられたことがあったそうで、刺青絵師毛利清二さんの名前は広く浸透していたのだなぁと思います。俳優もしながら毛利さんの助手をされていた女性もこられました。この方の場合も絵が描けるということで毛利さんの絵を手伝うことになったそうですが、他にもそういう人がおられたそうです。仁侠映画が盛んだった頃でしょうか、「俳優ができないのでストをしたこともある」と仰っていました。「下絵を見るのが楽しみで来た。色の組み合わせには普通の人が思いつかない配色があって、友禅の絵を描いておられた経験が反映していると思う。手も早いし、上手だし、器用です」と毛利さんの仕事を絶賛されていました。
私が随時上映している毛利さんのトーク映像の中で、「ベビーパウダーをポンポンとやって、いざ本番という時に蒸しタオルを当てると、パッと色鮮やかになる」と話しておられるのを聞いて、その瞬間を見てみたいといつも思っていると話しましたら、『姐御』の黒木瞳さんのポスターを指差しながら、「その瞬間の一番鮮やかな時に照明を合わせて撮ったのがこれだ」と教えて下さいました。叶わぬことでしょうが、「ポンポンからパッと」鮮やかに変化する瞬間を益々見たくなりました。毛利さんが引退されて以降は、外部の特殊メイクさんたちに依頼されているのでしょうが、どのように技術がかわってきているのかも興味がありますね。
化粧落としにコールドクリームにシャンプーの他、ベンジンも使っておられたと映像で話しておられますが、肌荒れした人もよくおられたそうです。今は濡らしたゴムラテックスで拭くと取れるというような良いものがあるそうですが、当時は試行錯誤しながらやっておられたのでしょう。ボーっと映画を見ていましたが、俳優さんだけでなく裏方さんにも様々な工夫と努力があったのだなぁと思います。今回化粧文化を研究されている山本芳美先生の研究があって、毛利さんの刺青絵に光が当たり、私どももその様子を知ることが出来ました。
伝説の刺青絵師毛利清二さんから、直接お話を伺うことができた今度の展覧会の意義は大きいです。28日14時からのクロージングイベントは予約でいっぱいになりました。当日参加は出来ませんので、悪しからずご了承下さいませ。最終週には込み合うかもしれません。できるだけ平日にお越しくださいませ。