2024.09.11column
9月7日開催「チャップリン短編映画大会」の振り返り
9月7日「チャップリン短編映画大会」を振り返って 河田隆史
チャップリン短編映画『移民』『冒険』『改悟』の上映会を開催しました。

この3本を選んだ理由ですが、まず1917年までの最高傑作『移民』は外せない。
それからギャグ満載で会場を沸かせてくれる『冒険』も外せない。

あと一本は絶対上映したいと思っていた知られざる名作『改悟』です。
期待どおり皆様も喜んでもらえたと思っています。おまけ上映のニセチャップリン映画『ここに停めるな』(部分)も前から機会を探していました。
これらを大森くみこさんの弁士、天宮遥さんのピアノで観る幸せ感は何にも変え難いです。自分が皆さんと共に観たいと思った3本です。皆様の笑い声が私の心配を吹き飛ばし、開催してよかったとしみじみ思いました。
チャップリンの『移民』はもともと移民がテーマの映画ではなく、パリのカフェを背景にしたコメディでした。監督チャップリンは台本を作らず、撮影を進めていく中でストーリーとテーマが現れるのを待つという、今では考えられない方法で映画を作っていました。この映画では結局NG率は20倍ほどになったようです。完全主義者チャップリンは少しでも自分が満足できないショットを許せなかったのです。完成度が上がり、ニセチャップリン映画が真似できないレベルに到達していたことをご覧いただけたと思います。
大森さんのていねいな解説と素早いツッコミ、天宮さんの上品でいじらしくも健気なピアノ。チャップリン映画にぴったりでした。このお二人でしか表現できないエレガントな空間を感じました。
大学生2人組は活弁とピアノ演奏つきのサイレント映画を初めて観るため遠くから来場してくれました。とても感激しておられて嬉しかったです。少しでも多くの方にサイレント映画の魅力、またチャップリンの魅力を知っていただきたいと思っています。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
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私の印象に残ったのは、なんといっても和製チャップリン。今年1月に開催した「友禅染めの着物で“映画”を装う」の展覧会で、チャップリンに似た人物が描かれた羽裏や長襦袢を見て、チャップリンの日本での人気の具合がうかがえると思っていたところ、1月7日付け三品幸博さんのFacebookの以下の記事
河田さんもこの日の解説で、三品さん提供のチャーリー岡本の写真を紹介しておられました。もう一人、内田吐夢監督も『舶来鈍珍漢』(1926年)でチャップリンの扮装で主演されていて、世界の喜劇王チャップリンの影響の大きさがうかがわれます。
下掲の1921年『のらくら』上映時におこなわれたワシントン州でのチャップリンそっくりさん大会の写真も見せてくださいました。
こんなに多くチャップリンのそっくりさんがおられたのですね。当館所蔵おもちゃ映画のアニメーションに『のらくら歓迎会』(製作年、製作会社不詳)がありますが、人気漫画のキャラクター“のらくろ”そっくりさんということで、こういうタイトルになったのかもしれませんね。他に、おもちゃ映画の国産アニメーションに『チャップリンの手品』や『チャップリンと家鴨』(ライオン家庭フィルム)という作品もあります。玩具フィルムメーカーは、“チャップリン”と付けたら売れるとふんだのでしょう。河田さんは、A4判用紙両面にわたって、びっしりと上映作品解説を載せた手作り資料を配布して下さいました。映画を観ながら、あちこちから笑い声が漏れてきて、それはそれは良い時間でした。



