おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.11.09column

忘れないうちに

京都に限らず日本中が海外からのお客様に賑わっているのでしょうが、「観光客や~い!」と叫びたくなる日も結構あります。世間では物価高に応じて、入館料値上げも多いですが、諸々変更処理の対応が完璧に出来るか心配で10年間値上げもせずに500円の入館料で頑張ってきました。それでも有料だと分かると回れ右して帰られる国内外の人がおられます。やっていることが映画に関するアーカイブなので公的支援を受けているところだと考えてやって来られて、「あれっ、お金とるん?」となるのでしょう。

私どもが借用している家の所有者から大幅な値上げを提示され、それに対応していくのは難しいと判断して12月で閉館し、来年からは、別の場所で再出発します。10年の歳月を過ごし老いてきたこともあり、移転を機に営業日数や料金などを見直したいと思います。9日ベトナムのハノイから来て下さったHguyen Hong Minhさんは、カメラなどが好きで当館のホームページを読んで下さっていました。その上で「応援したいから」とグッズを買い求めて下さっただけでなく、グーグルのサイトに高評価と写真をたくさん載せて広報に協力して下さいました。とっても嬉しいです💗

ベトナムの地図には既に1本ピンが挿してありました。ベトナム第3の都市ダナンからでしたが、首都ハノイからは初めての来館。ようこそおいで下さいました。超方向音痴の私にとっては、知らない土地を若い女性が一人で訪ねて来て下さる勇気だけで感激です。光学玩具や写真などについては良くご存知でした。思いやりのあるMinhさんと出会えて嬉しかったです。

8日は東京の明治大学大学院生松下周平さんが、和歌山県田辺市で開催する田辺・弁慶映画祭へ向かう途中に立ち寄ってくれました。移転に際し具体的にそれぞれの専門家に見積もりをしてもらったところ、とても自分たちではできないと思って諦めていたクラウドファンディングをしなければ難しいと判明。そんなことを松下さんに話したら「自分も周りのメンバーもクラウドファンディングの経験があるから力になれる」と言って勇気付けてくださいました。彼は東京で高円寺国際学生映画祭を主になってやっていて、財団の支援も受けて活弁上映の取り組みもしています。凄いなぁと思っていたら、そればかりでなく、つい最近中国の江蘇大学で大学院での研究成果を発表してきたと知って、その頑張りに大拍手です👏👏

いつ会っても好青年で、真っ直ぐなその気持ち、熱意が大好き💗高円寺では活弁上映会などにも取り組んでいます。何て素敵な青年なのだろうと益々大拍手を送ります。移転先では、彼も社会人として落ち着き、私どもも落ち着いた頃を見計らって、彼たちの映画を上映する場を設けたいねと話しました。若者からの心のこもった応援を得て、大変嬉しく思っています。
フィルム缶を思い出に、と手にして記念写真。「この眺めも最後かぁ…」と目に焼き付けて帰る後姿を見送りながら、ジーンと来ました。またね。と、この思いをXで書いたところ、
………おもちゃ映画ミュージアムは自分が就活で広島に向かうようになった一年前に初めて訪れて以来、京都を通るたび必ず行く第二の実家のような場所でした! 今年を以て場所が移転するとのことで、この楽しい空間をじっくり目に焼き付けられてよかったです! 移転後にも必ずまた遊びに行きます!!………
 
と書いて下さり、嬉しくて胸がいっぱいになりました。こういう出会いがあるから10年続けて来られたのだと改めて思います。

7日、ポーランドのグダン(ニ)スクからお越しのイダ・クリムザックさん。ポーランド最大の港湾都市ですね。高名なアンジェイ‣ワイダ監督が京都賞を受賞した賞金をもとに建設を提唱して1994年に故郷クラクフに建てた日本美術・技術センターがあります。

12月10日~来年3月23日に東京の国立映画アーカイブでアンジェイ・ワイダ監督の展覧会が計画されています。そんな話などをしました。笑顔がチャーミング💗

この日見学に来てくれた小川さんは、先に見学に来て下さった近畿大学の鈴木先生から当館のことを勧めて貰い、友達の大谷君を誘って来て下さいました。鈴木先生、ご紹介ありがとうございます‼ナイトレート、アセテート、ポリエスターと変化してきたフィルム3代の話をして、今はフィルム撮影に回帰していることなどを説明すると、フィルムを知らない世代ですが、興味を持って耳を傾けて下さいました。

写真は、どのフィルム缶を持ち帰ろうかと話している様子。先日古いフィルム缶を整理して、不要なものをひと固まりにして置いています。欲しい人がおられたら差し上げますので、どうぞ見にいらして下さい。連れ合いは漂白剤液に浸した後、磨いて金のスプレーをかけて今開催中の都筑輝孝さん寄贈の台本のところに並べています。結局二人は、おもちゃ映画が入っていた小さな缶や8ミリの缶を選んで持ち帰ってくれました。大谷君は同志社大学の学生さんでしたので、12月8日同志社大学で開催する無料イベント「活弁上演で蘇るキネマ画『忠臣蔵』」を案内。

嬉しいことに二人とも参加してくれることに👏👏ちゃっかり友達への呼びかけもお願いしました。会場の同志社大学良心館の教室は大きいので、まだまだ参加いただけます。皆様お誘いあわせてぜひお越しくださいませ。

6日来館の明治大学政治経済学部准教授のネルソン・リンジー先生と、24日に歌声を聴かせて下さる“Ett”の西本さんにお声がけして一緒に記念写真を撮りました。24日の下見に来られた“ふちがみとふなと”の渕上さんは所用でひと足先に帰られましたが、初めて来館の西本さんは残って館内見学をして下さいました。
 
写真は19世紀に考案された立体ビューワーを覗いておられるところ。姪っ子さんへのお土産に一般的に“驚き盤”と呼んでいるフェナキスティスコープのセットを買って下さいました。円盤に連続した絵を描き、描いた面を鏡に写しながら回転させ、スリット越しに覗くと絵が動いて見えます。アニメーションの原理が小さな子どもたちにもわかる玩具です。そういえば秋山好正さんのご尽力で、最初期の広島国際アニメーションフェスティバルの折、国内外のアニメーション作家さんらに描いてもらった驚き盤があります。移転先でこれらの展覧会をやりたいですね。
 
テキサス出身のネルソン先生は日本のホラー映画の研究をされているのだとか。折も良く11月20~22日に開催される映画のポスター展のチラシを持って立命館大学竹田章作先生が来館。先生の祖父・竹田猪八郎さんが描かれたポスター展です。
竹田先生は、ゲームデザイン、ゲームシナリオを担当されていますが、元々ホラー映画の研究をされていたのでネルソン先生と直ぐに意気投合。良い出会いの場となりました💗竹田先生によれば怪談が下火になった頃、『リング』(1988年)が登場し、それ以降海外で「Jホラー」が注目されるようになったのだそうです。
 
ネルソン先生は「ずっと、多くの映画研究者から『京都へ行くなら、おもちゃ映画ミュージアムに行ってきたらいい』と勧められていて、今日ようやく来ることが出来ました」と仰って下さいました。勧めて下さった皆様、誠にありがとうございました‼今の京町家での眺めをご覧頂けて良かったです。
 
さて、“Ett”さんと“ふちがみとふなと”さんの二組出演の催しでは、生歌・生演奏付きで、100年近く前の人気アニメーション『茶目子の一日』と『正チャンの冒険』『正チャン太平洋横断』の3作品を鑑賞します。目下、イベント参加者募集中です‼多くの皆様のご来場をお待ちしています。
うっかり忘れるところでした💦 6日にはアラスカのアンカレッジからJOSHUA さんとTHOMASさんのお二人が来館。

遠いところから、遥々ようこそおいで下さいました‼お会いできて嬉しいです💗

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