2025.04.13column
知恵を授かりに
今日は「十三参り」の日です。富山にいる時は、この言葉自体を知らずにいましたが、長く住まいした京都府南部に位置する京田辺市大住の虚空蔵谷には、虚空蔵堂があり、年に一度4月13日にご開帳され、数え年13歳になる子どもたちが、虚空蔵菩薩様から知恵を授かりにお参りします。大住の地は京都、大阪、奈良のちょうど真ん中に位置することから、これらの周辺にお住いの子どもたちが着飾ってお参りされます。うちの二人の子どももお参りしましたが、ご利益の程は??です。
京都の嵐山近くで育った連れ合いは、嵐山の中腹に位置する法輪寺で十三参りに行った記憶があるようです。お詣りが終わってからお寺の長い参道を下って、渡月橋を渡り終わるまで、決して後ろを振り返ってはならないと言われていて、もしも途中で振り返ると、せっかく授かった知恵が全部戻ってしまうとの言い伝えがあります。はてさて、連れ合いは言い伝えを守って無事に橋を渡り終えたのか否か。今確認しましたが「覚えてない」との返事。
今日の京都は朝からあいにくの小雨ですが、良い子たちが言い伝えを守ってひたすら前を向いて歩いている姿を想像するだけで頬が緩みます。
季節を少しでも感じて頂こうと十三参りの着物を飾っています。左の日本画は大阪で活躍した日本画家「難波春秋(なんばしゅんじゅう)」さんが描かれた「中暮のあと」。1921(大正10)年、帝国美術院第三回大展覧会に出品された作品です。骨董品屋さんでこの絵を買った後、たまたま梅田の古書店のハガキコーナーでこの作品の絵はがきを見つけて、タイトルなどが分かりました。家にずっと梱包して置きっぱなしでしたが、漸く日の目を見ることができました。
着物は昨年のアンティークフェアで一目ぼれして買いましたが、自分が着るには少し小さい。その時点では十三参りの晴れ着だと知らずにいましたが、何とかお洒落上手な人の助言を得ながら、洋服と合せた着こなしをしたいと思っています。傍には、それ以前に気に入って買った丸帯。四季を通じてのおまつりごとが帯の両面に美しく織られています。今飾っているのは、立ち雛と桜、端午の節句の菖蒲と太刀。
着物の裾に友禅絵師のサインがあります。子どもたちが好きな人形や折り鶴など可愛らしく散りばめられています。健やかな成長を願う親心が窺えますね。
背中の御所人形も可愛らしいです。日焼けも気になりますので、13日が過ぎたら仕舞って、次は男の子の節句を祝って珍しい天鵞絨友禅の絵を飾ろうと思います。機会があればぜひ見に来て下さいね。