おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2025.04.13column

海外の人が挑戦するKATSUBENの話題2つ

写真は昨日届いたもので、アメリカのランドルフ・メーコン大学のカイル・マクラクラン先生が、3月21日テネシー州で開催された言語学会年次国際大会で発表された時の様子。この日のテーマは「日本語と他の専門分野との協力」で、発表の中で当館が所蔵する小津安二郎監督初期の無声映画『突貫小僧』(1929年)に英語で活弁をつけて上映されました。この時は、生演奏付きというわけにはいかず、同大学のジム・ドーリング教授の素晴らしいピアノ演奏バージョンで作ったDVDでの上映でした。

マクラクラン先生が手にして下さっているのが、当館がつくった下掲DVDです。

今年1月22日にもドーリング教授は学生さんたちを連れて見学に来て下さり、同大学とずっと交流が続いていることがとても嬉しいです。昨日のメールで、マクラクラン先生は、

「活弁発表はお陰様で上手く出来ました。観客の中で、SCOLT協会の会長、全米外国語教育協会の2025年教師賞の方、2024年の教師賞の方、偉い先生三人含めました。みんな喜んで、活弁を初めて理解出来ました。大成功だと何度も言われました。今度全米外国語教育協会でやってほしいとも言われました。今度、ドーリング先生と一緒に演奏出来たらさらに良くなると思います。ご協力と許可をくださって、誠にありがとうございます!」と綴って下さいました💗

SCOLTは、Southern Conference on Language Teachingの頭文字をとったのでしょう。その会長様始め、昨年と今年の全米外国語教育協会教師賞を受賞された方々からも大層褒められた歓びが文章から伝わってきます。欧米では無声映画は音楽付きで見ますが、話芸が発達した日本では映画が渡来した時から活動写真弁士の説明付生演奏で観ていました。日本独特の活弁スタイルが、活弁士の皆さんの努力の賜物で、今では“KATSUBEN”と表記されて、関心を寄せて下さる人々が世界中で増えています。

マクラクラン先生は昔、日本でAET(英語指導助手)として活動されていた頃に落語など日本の語り芸に魅せられて、その経験を大学の授業でも反映させておられます。2017年1月17日初めてジム・ドーリング教授と学生さんたちが来館された時に、無声映画に活弁をつけて観ることを知って興味を持たれ、授業でドーリング教授の演奏付きでマクラクラン先生が英語で活弁を付けて披露されました。その折の動画は当館のYouTubeでご覧になれます。今度全米外国語教育協会で、ドーリング教授の生演奏付きでマクラクラン先生が英語活弁を付けて上映となれば、本当に素敵な話です。KATSUBEN文化を知って頂く絶好の機会になることでしょう。可能なら撮影して頂きたいものです。

さて、もうお一人、KATSUBENに興味を持って下さるイギリス人のガイ・ペリーマンさんが11日再来館して下さいました。NHKが海外向けに日本の映画に関する情報を発信している番組J-FLICKSの取材を兼ねてです。今日早速インスタに動画を公開されていました。恐らく5月に世界160の国と地域に向けて放送されるであろう当番組では、当館が所蔵する戦前のアニメーションにガイさんが英語で活弁を付けられます。番組でガイさんが英語での活弁に挑戦されるのは5回目。回を重ねるごとに巧みになっていかれるので、その成長ぶりを拝見するのも楽しみですね。

取材を終えて。手前からガイ・ぺリーマンさん、番組制作の平澤さん、カメラマンの石原さん。

皆で撮った写真も誰かのカメラにあるはずなんだけど…。私にとっては良い記念になる一枚です。姉が手作りした暖簾の前で💗

撮影が終わってリラックスした表情のガイさん。NHKの番組の他、「ガイペリーマンミックス」で様々なジャンルの音楽をリスナーに届けたり、素敵なお声を活かしての声優、イベントプロデューサー、ライターなど多方面で才能を発揮されています。2017年には、日本でのイギリス音楽に関する活動が評価されて、MBE(大英帝国勲章第五位:メンバー・オブ・ザ・ブリティッシュ・エンパイア)を受勲。親しく話をさせて頂きましたが、本当は凄い方。その方が挑戦するKATSUBENで観る古い日本のアニメーションはどんなだか、拝見するのが楽しみですね。番組放送日が決まり次第、改めてご案内しますので、放送日にはぜひご覧下さい‼

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