おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2021.07.15column

寄贈頂いた本の紹介

寄贈頂きながら、なかなかご紹介できないでいた本を簡単にご紹介します。いずれの本もお声がけ頂ければ、館内でご覧頂けます。

とても美しい装丁の本です。表紙絵は北野恒富画「夜桜」(大阪市立美術館蔵)の部分です。6月24日付け京都新聞で、この展覧会を担当された京都文化博物館学芸員・植田彩芳子さんが大きく紹介されていました。実物はもう少しあでやかなピンク色の帯で、手触りも絞りを触っているかのよう。舞妓さんの絞りの帯を思わせるデザインだそうです。

129~136頁に寄贈頂いた高木博志京都大学人文科学研究所教授の「大正期京都のロマン主義・花街・舞妓・夢二」が載っています。133頁に載っている田村宗立『京都駆黴院図』(明治18年)は、当館で知り合った方が京都国立近代美術館に寄贈された絵画。図録は書籍としても作られていますので、入手可能です。

今年1月23日~3月14日まで、向日市文化資料館で開催された「寿岳文章 人と仕事」展の図録。英文学、書誌学、和紙研究と幅広い分野で業績を残した寿岳文章(1900ー92年)としづ夫妻が暮らした「向日庵」に保管されていた書物や資料を、生誕120年にあたる昨年、英文学、工芸美術史、近現代史の研究者たちが調査し、その成果を紹介した展示。

コラム2(10頁)に今開催中の映画『祇園祭』資料展で協力して頂いた福家崇洋京都大学人文科学研究所准教授の『寿岳文章と河上肇』、コラム4(26頁)に前述高木博志教授の『戦争前夜の寿岳文章』が載っています。文化庁の文化芸術創造拠点形成事業に認められての調査と成果発表だったそうですが、専門家集団の知恵を結集しての調査というのが正直羨ましいです。紙の研究をされていた方に相応しい上品な紙質とデザインの図録です。

今これを書いていて、送って頂いた封筒の中に残ったままだった抜刷論考『史蹟名勝天然紀念物保存法の時代ー政治と文化財』に気が付いて、申し訳なくて申し訳なくて、冷や汗をかいています。送ってくださった高木先生が、私が関心をもっていたことを覚えていてくださったことが、先ずはありがたくて嬉しいです。

連れ合いがライフワークにしている映画保存の活動を手伝うようになる前は、フルタイムの仕事をこなしながら、郷土史や民俗に関心を持ち、フィールドワークをして調べるのが好きでした。そんな中で地域史を彩る偽文書と出会ったのです。高木先生と知り合ったのは、黒板勝美の名教的歴史学について講演後に質問したことから。以降も素人の私に親切に教えて下さいました。

ミュージアム開館後は、乏しい映画に関する知識を増やさねばと、そのことを優先してきましたので、一生懸命取り組んだ歴史のことがトコロテンのように押し出され、残念ですが、今はほとんど覚えていない有様。でも、この抜刷には心が動きました。ポッと灯が点ったような感じです。

さて、こちらは、7月8日に来館頂いた友田義行甲南大学准教授から寄贈いただきました。6月20日に宮帯出版社から発行されたばかりのフィルムメーカーズ22『勅使河原宏』。ディズニーのロストフィルム発見の朝日新聞を読まれた奥様が、2019年1月に訪ねてくださり、その時の会話から発展しました。勅使河原監督は大阪芸大映像学科と多少なりとも縁がありますし、来年生誕95年を迎えることから、友田先生に2回シリーズの講演と上映会をしていただくことが決まりました。詳細はいずれ。どうぞ、お楽しみになさってください。

そして、こちらは昨年秋にオープンした「東映太秦映画村・映画図書室」で資料整理をされている当時は京都大学大学院生だった伊藤弘了さんと雑賀広海さんが頑張って書いた①映画ができるまで編②映画ができてから編の2冊の英語バージョンと中国語バージョン。①②共に当館の所蔵映像や展示品が用いられています。見学に来た人に配布するのだそうで、見本に1冊ずつ寄贈して頂きました。今はコロナ禍で海外との往来が難しいですが、いずれもとの安全な日常に戻った折りには、展示品の理解を進めるために活用したいです。

お送り頂いた皆様、どうもありがとうございました!!!!!

 

 

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