2026.05.27column
海外での上映
5月29日(金)午後7時半から、ニューヨーク州ロチェスターのジョージ・イーストマン・ミュージアム(Dryden Theater)にて、デュオ夢乃さん演奏による「日本の紙フィルム」が上映されます。上映前に随分お世話になっているエリック・ファデン教授のお話もあります。なんと無料です‼
紙フィルムの貴重さに気が付き、安全にデジタル化して広く鑑賞できる状態にしてくださったのがエリック先生率いる“The Japanese Paper Film Project”です。エリック先生の写真の背景にみえるのは桜かしら。
これまで米国内の大学などで上映会をされたのが始まりで、昨年は6~7月に日本国内数ヵ所で上映され、10月ポルデノーネ無声映画祭、11月のオーストラリア日本映画祭、1月のニューヨーク近代美術館Moma、5月サンフランシスコ無声映画祭と続き、今度はジョージ・イーストマン・ミュージアムでの上映です。紙フィルムへの関心は今や世界的に広がり、こんな小さなミュージアムですが、紙フィルム目的に世界各地から足を運んでくださり、先人たちが創意工夫して生み出した日本独自のメディアに感謝感激の毎日です。
ジョージ・イーストマン・ミュージアムは、映画や写真のフィルムを開発したことで著名な実業家、発明家のジョージ・イーストマンの元邸宅です。このミュージアムで2015年から始まったナイトレート・ピクチャー・ショーで、今年は初日の6月4日夜アメリカ議会図書館所蔵ペーパー・プリント・コレクションについての講演会があることに因んで、日本の紙フィルムがどのようなものか先ず紹介されるのでしょう。少し前にこのプログラムについてブログで書きました。よければクリックしてお読みください。
5月の初めにエリック先生から届いたメールには「新しいフィルムをいくつか上映する予定」とあり、5月13日に届いたメールには「サンフランシスコ・サイレント映画祭から戻ってきました。上映会は大成功で、またしても満員でした。デュオ夢乃の演奏も素晴らしかったです」とありました。回を重ねるごとに紙フィルム上映会がさらに洗練され、面白くなって、大勢の人々にごらんいただけることを嬉しく思います。
さて夕べは、6月20日~27日イタリアで開催されるボローニャ復元映画祭で、『血煙高田馬場』(当館所蔵16㎜版に、マツダ映画社と早稲田大学坪内博士記念演劇博物館所蔵などの断片素材を挿入して12分程度の最長版に復元)を上映して頂くことになり、その手続きなどでバタバタ。聞けば伊藤大輔監督特集をされるのだとか。

「それなら他にもあるのに」と提案したのですがプログラムは既に決定していて、追加ならず。でも、今後ほかの映画祭で上映される可能性も残されました。随分前にアメリカから来られたお客様が、「日本のちゃんばらシーンのように1対多数というのは珍しい」と仰っていました。西部劇を想像しても決闘シーンは1対1。そういわれればそうかも知れないと、なんとなく納得したことを思い出します。主人公を演ずる大河内伝次郎の素早く動き回ること、日本映画最初期の歌舞伎調の立ち回りとは大違い。動の魅力に溢れています。伊藤大輔監督作品のほとんどが失われていますが、残っていたならもっともっと早くから世界的に評価されたことでしょう。今回の映画祭が、その契機になれば素晴らしいことです。
映画祭コーディネーターのガイ・ボルリーさんとメールをしていて、秋にポルデノーネへ行った折りには、昨年知り合ったArchivio Nazionale del Film di FamigliaのMichelrさんやCineteca di Bolognaのエレナ・タマッカーロさんにもお会いしたいと思うと書いたら、
「同僚のエレナから、貴館の素晴らしいアーカイブを訪問した際の話を聞いております。今年の10月にポルデノーネに行かれるのでしたら、ぜひボローニャの私たちのもとへも見学にいらしてください。ポルデノーネからは約250キロしか離れていません。エレナのオフィスも(私と)同じ建物内にあります。また、「Archivio di Famiglia(ホームムービー・アーカイブ)」もボローニャ市内の1キロほどしか離れていない場所にあります。」と返事を頂戴しました。瓢箪から駒で、イタリアの優れたフィルムアーカイブの現場を見学できる可能性が出て来て、より一層10月のイタリア訪問が楽しみになってきました。
なお、『血煙高田馬場』の上映は6月20日(土)昼下がりからだそうです(現地時間)。5月17日に来館された柴田康太郎さんは、ボローニャ復元映画祭だけでなく、10月のポルデノーネ無声映画祭にも行かれるのだとか。ぜひ伊藤監督、大河内伝次郎の評判をお聞きしたいものです。映画祭の盛会を心より祈ります。


