2024.02.18column
第2回京都映画賞で太田米男がスタッフ部門賞を受賞しました。3月2日には、受賞を祝う会も。
春を思わせる穏やかな天候に恵まれた17日、第2回「京都映画賞」の表彰式と作品上映会が京都文化博物館で行われ参列しました。門川大作・京都映画賞実行委員会実行委員長の挨拶、西村義直・京都市議会議長の祝辞、ご来賓の皆様の紹介に続き、最初に優秀スタッフ賞受賞の3名が表彰され、それぞれ挨拶。トロフィーのプレゼンターは京都出身で京都映画賞名誉会員でもある俳優の佐々木蔵之介さん。いよいよ最後に「京都映画賞」が発表されました。この賞は題材、舞台、撮影、ロケ地が京都である映画として選ばれた22作品の中から京都映画賞会員の投票で最も多くの票を集めた作品に授与されます。会員(無料)になるとこのように投票できるだけでなく、表彰式と上映会に参加できる(抽選)特典があります。
最初に司会者から「今日は満席になるので詰めてお座りください」とアナウンスがありましたが、その言葉にも納得。フィルムシアターは若いお客様が多かったです。と言いますのも、第2回「京都映画賞」に輝いたのは、塚原あゆ子監督『わたしの幸せな結婚』でした。主演は目黒 蓮さんと今田美桜さんという人気俳優さんで、そのファンの方たちの熱い「推し活」で選ばれたのでしょう。公式サイトの表現を借りれば「明治・大正期を彷彿とさせる架空の世界を舞台に、心を閉ざしたエリート軍人と、家族に虐げられて育った少女の政略結婚から始まる異色のラブストーリー」。原作は顎木あくみさん、監督も女性なら脚本家も菅野友恵さん、プロデューサーも今安玲子さんと女性の才能を結集した作品で、細部にまでこだわった繊細な表現も美しかったです。舞鶴や伏見など府内各地でイメージにあう素敵な場所を探してロケをされたそうです。大きなスクリーンで贔屓の俳優さんの姿をご覧になって、スマホやタブレットで見るのとは違う映画の楽しさ、素晴らしさを知って貰えることは、京都映画賞のコンセプトの一つ、「映画を“見る人”の裾野を広げる」ことにも繋がって、今後への期待が持てます。
さて、優秀スタッフ賞は、公式サイトを参照しながら紹介しますと、最初に撮影監督の石原 興(しげる)さん。受賞、誠におめでとうございます。
…………京都映画㈱(現㈱松竹撮影所)を拠点に、撮影技師のアシスタントとして、数多くの現場に携わる。昭和47年に、シリーズ第1作『必殺仕掛人』にカメラマンとして参加して以来、陰影を強調した撮影手法で芸術的な「光と影」を生み出し、“必殺”の世界観を築き上げる。代表作に、『劇場版必殺シリーズ』(撮影監督)、『典子は、今』(撮影監督)、『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(撮影監督)、『初雪の恋 ヴァージン・スノー』(撮影監督)、『獄に咲く花』(監督)など多数。平成19年からは、テレビ番組『必殺仕事人』(監督)を現在も撮影中。平成7年『忠臣蔵外伝 四谷怪談』で、第18回日本アカデミー賞最優秀撮影賞を受賞。京都はもとより、日本の映像産業・文化のレジェンドの一人。…………
続いて、太田米男です。佐々木蔵之介さんからトロフィーを受け取りました。
スタッフ賞の名前に合うのかと思わぬわけでもありませんが、公式サイトの表現によれば「映画等の映像制作に関わる優秀なスタッフ及び京都の映画文化、映画産業の振興に顕著な御功績のある方で、京都に所縁のある方のうち、京都映画賞実行委員会参画団体から推薦された候補者を審査委員会において選考し、3名の方が受賞者となりました」ということですから、スクリーンに投影されている最後の一文「広く映画の魅力を発信、映画の文化的価値を訴え続けている」ことが評価して頂けたのだとありがたく思います。
本人は「映画復元、保存という地味なところを評価して頂いて嬉しく思います」と先ず最初に挨拶し、「京都は映画のまち。映画を見るまちではなく、映画を作ってきたまち。現場でのフィルムと言えば、映写用のフィルムではなく、ネガ・フィルム、デジタルでも原版です。その映画の原版が、この京都文化博物館の地下の倉庫に、中村錦之助が融資の返済の代わりに寄贈した映画『祇園祭』1本しか残っていません。推定で1万8千本、(それ以上とも)テレビを加えると倍では済まないほどの映画を作ってきました。それなのに。京都には、全く残っていません。映画の博物館やアーカイブがなかったから残ってこなかったのです。1950年に松竹下加茂撮影所が火災に遭い、戦前の京都で作られた松竹作品のすべてを灰にしてしまったことも大きいです。自然災害が多い日本なので、映画の原版を2か所に保存するなどの対策が必要だと訴えてきました。“映画のまち”と呼ばれた京都には、映画遺産を保存する施設をぜひ作ってもらいたいです。保存するためになぜ費用を使うのかという人もおられるかもしれませんが、人類の映画遺産として保存すれば、必ず役に立ちます。このことはフィルムだけでなく、映画を支えた先人たちの資料も保存する必要があります」と訴えました。
3人目は「照明」の杉本 崇さん。受賞、誠におめでとうございます。同様に公式サイトを参照しながら紹介すると、
…………昭和56年『炎のごとく』(加藤泰監督)で照明スタッフとして参加して以来、毎年、多数の映画作品に携わる。代表作に、『座頭市 THE LAST』・『闇の子供たち』(阪本順治監督)、『憑神』(降旗康男監督)、『テルマエロマエII』(武内秀樹監督)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(樋口真嗣監督)、『本能寺ホテル』・『湯道』(鈴木雅之監督)など。平成25年『北のカナリアたち』で第36回日本アカデミー賞最優秀照明賞、令和2年『Fukushima50』)で、第44回日本アカデミー賞最優秀照明賞を受賞するなど、多数の受賞歴あり。照明技法への飽くなき探究心を抱き、数々の映画監督からの信頼も厚い、日本映画界を代表する照明技師。…………
かつては毎月映画やテレビの撮影で賑やかだったことをご存じなだけに、映画関係者の多くが東京へ行ってしまい、撮影現場が随分少なくなったことを憂いておられました。
そして、門川大作実行委員長から「特別功労賞」の賞状を授与されたのは、故・中島貞夫監督のご長男純太さん。お二人とも、中島監督の魂がこの辺りにあるような気がすると仰っていました。中島先生、特別功労賞の受賞、おめでとうございます‼ 一生懸命京都の映画を盛り上げよう、時代劇の灯を継承しようと尽力されていましたので、ふさわしい賞だと思います。いつの日か「中島貞夫賞」が設けられたら良いですね。
向かって右から佐々木蔵之介さん、中島純太さん、太田米男、『わたしの幸せな結婚』スタッフ、石原 興さん、杉本 崇さん、門川大作市長。皆様、晴れの受賞誠におめでとうございます!!!!!
予定通り16時に閉会して、文化博物館近くの大阪芸大卒業生の続木 修さん(V82)がやっておられる「進々堂」三条店へ寄り道。貰ったばかりのトロフィーを見せているところ。
京都呉服金箔加工「二鶴(ふづる)工芸」上仲昭浩さんが手掛けられたトロフィー。早速館内に飾りましたので、ご来館の折に見てやって下さい。選んで下さった皆様に心から御礼を申し上げます。
そして、当団体正会員でいつも快く手伝って下さっている長谷憲一郎さんと山口博哉さんの主催で、3月2日(土)13時から受賞をお祝いして下さる会を設けてくださることになりました。お二人が綴られた呼び掛け文を以下にコピペしてご案内とさせていただきます。どうぞ、宜しくお願いいたします。
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太田先生を囲んで軽飲食をしながら映画談義をお楽しみください。
ご参加いただける方は、2月25日までに主催者(山口・長谷)の下記メルアドに御連絡お願いいたします。
日時:2024年3月2日(土)PM1:00開場(PM6:00ごろまで)
会場:おもちゃ映画ミュージアム(京都市中京区壬生馬場町29-1)
参加費:お一人3,000円
キャパ:30人(先着順、2月25日締切)
主催者:山口博哉(映画史家)・長谷憲一郎(駿河台大学教授)
<お祝いメッセージ募集!>
参加される方はもちろん、ご都合で参加されない方からもお祝いメッセージを受け付けます。
・会場では軽食と飲み物(ビール・ソフトドリンク)をご用意しております。
・参加希望およびお問合せ等は、おもちゃ映画ミュージアムではなく、
山口博哉
Eメール:hiroyayamaguchi★bca.bai.ne.jp(★→@)
長谷 憲一郎