おもちゃ映画ミュージアム
おもちゃ映画ミュージアム
Toy Film Museum

2024.09.23column

たかが団扇、されど、団扇

9月21日ベトナムのDa Nang(ダナン=ベトナム第3の都市)から日本語を勉強に来ている女性が来て下さいました。

今は永本ツカサさんによる「団扇を彩る銀幕のスターたち」展をしていますので、ひょっとしたらベトナムには団扇があるのではないかと思って尋ねてみました。“ cài quat tay”、私の頼りない耳では“カイ・クワット・タイ”、日用品としてあるそうです。

出入り口に置いていた“蚊取り線香”もベトナムにあるか聞いたら、“nhang muỗi”で“ニャ モイ”と発音するそうです。グーグル翻訳では“nhang đuổi muỗi”と出てきました。でも、団扇に映画スターの顔を書いたものはないようです。

カメラが大好きで、興味を持って来館頂きました。彼女と出会わなければ、ベトナムの文字に接することもなかったでしょうが、“o”の文字の上に付された記号など興味深いですね。顔も日本人とよく似ていますし、文化も近いものがあるように感じて、親しみを覚えました。「また、遊びに来てね」と声を掛けながら見送りました。

9月22日に来館いただいた渡辺葵里乃さんは、山梨県の都留文科大学の卒業生で、在学中にスウェーデン出身のヨハン・ノルドストロム先生の日本映画の授業を受けて映画好きになったそう。9月6日にお越しいただいた同大学の三井敏朗先生が、私が繋がりたいと思っているヨハン先生と親しくされていることが分かり、三井先生経由渡辺さんの流れで、ヨハン先生に「メールをチェックして返事を差し上げて欲しい」と連絡をとって頂きました。

その甲斐あって、一度は返事が届いたのですが、その次の返事がなくてまたもや心配しています。サバティカルホリデー中なので、致し方ないのでしょうが…。渡辺さんは、三井先生から「行って来たら」と勧めて貰って、この日来館下さいました。小津安二郎監督『東京物語』に高峰秀子さんが描かれた団扇が出てくる話は渡辺さんもご存知で、神奈川かどこかで開催された講演会で講師の方が話しておられたような記憶があるそうです。知っている人は知っておられるでしょうけど、6日にそのことを三井先生からお聞きして、早速YouTubeで『東京物語』を探して「あっ、あった!」と喜んだことは、こちらで書いた通り。

それから、ずっと今展示している『団扇を彩る銀幕のスターたち』の中に、『東京物語』で小津監督が小物として使ったのと同じ団扇が含まれていないかーと思っていたのですが、忙しさで後回しにしていました。「丁度良い機会だから、一緒に探しましょう」と渡辺さんに呼びかけて二人で探しましたが、何点かあるうちの高峰さんが描かれた団扇は、映画と同じものではなかったです。全くもって、残念無念‼ 

これはネットで見つけたカラー化された『東京物語』の一場面。義理の姉役の杉村春子さんが電話しながらパタパタ扇いで、一瞬裏表がひっくり返ったところ。

裏面には、展示している他の団扇同様、商店名と簡単な住所が書かれていますが、ちょっと不鮮明で読み取れず。

引越し前の今の状況を見て頂けたので良かったです。映画の話で盛り上がり、楽しい時間を一緒に過ごしました。山中貞雄監督の碑文を拓本した軸をご覧頂けたのも良かったです。小津監督だけでなく他の作品も含め、日用品として使われている小物に注目して映画を見るのも面白いですね。どなたか、銀幕のスターが描かれた団扇が登場する映画を他にご存じでしたら、ぜひお教えくださいね

この珍しい団扇展も残り5日になりました。この機会に、ご覧頂ければ嬉しいです。

 

 

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