2024.12.07column
いよいよ明日8日開催!「活弁上演で蘇るキネマ画『忠臣蔵』」
今朝の京都新聞に明日同志社大学今出川キャンパス良心館で開催する「活弁上演で蘇る『忠臣蔵』」の案内記事を大きく掲載して頂きました。今回芹川文彰さんが約100年前に描かれた『(実録)忠臣蔵』約500コマを新しく「キネマ画」と呼ぼうと当日の登壇者で話し合って決めたことや、そもそもこの絵の背景について、当日お話をして下さる3名の先生方についても触れて書いて下さいましたので、大変嬉しいです。欲を言えば「もう少し早い掲載だったら」というところですが、今現在で申し込みを頂いた方が101名もおられます。大勢の方に参加して頂けますこと、大変嬉しいです。総合責任者の小黒純同志社大学教授の尽力で200名収容の大きな教室を抑えていただきましたので、まだまだ参加者受付中です。どうぞ、お誘いあわせてお越しくださいませ。
11月25日に東京の故アン・へリング先生のお宅で保管されていた「忠臣蔵両国橋引上之図組上五枚続」が届きました。昨年のちょうど今頃、東京のたばこと塩の博物館で「見て楽し 遊んで楽し 江戸のおもちゃ絵 Part2」展が開催され、1月20日の関連講演会に行ってきました。その折のことは、こちらで書いています。
へリング先生は、子どもたちが遊んだ紙製のおもちゃを「おもちゃ絵」として慈しみ、「日本人が遊び飽きたら捨ててお終い」になりがちな玩具をたくさん集めて研究されていました。忠臣蔵の組上燈籠もいくつかお持ちだったのですが、写真の『忠臣蔵義士引上ケ組立燈籠三枚続』を組み立てられたのが右端のトニー・コールさんです。
そのトニーさんが、組み立てられた組上燈籠「忠臣蔵」のいくつかヴァージョンがあるうちの一つを寄贈頂きました。明治25(1892)年、版元は深川屋です。展覧会を観ながら「12月に『忠臣蔵』をテーマにイベントをしようと思っているから、ひとつ欲しいなぁ」と呟いたのを、長年へリング先生をサポートされていた山田さんが覚えていて下さって、イベント開催に間に合うよう送って下さったのです。軽い紙製なので宅急便の包みを開けるといくつか倒れていましたが、手先が器用な連れ合いが修復して同志社大学での展示にも耐えられるようケースを手作りしました。
「組上灯籠」は、江戸から大正時代に人気を博した紙のジオラマ(立体模型)で、関西では「立版古(たてはんこ、たてばんこ)」と呼ぶそうです。「立版古」は俳句で夏の季語にもなっています。トニー・コールさんの奥様は「一番の見どころは、手前の馬上の人物と大石内蔵助のアイコンタクト。よく見ると背景の人物たちの目線がこの二人に向かって集中していて、スポットライトのような効果を生み出している。一瞬のアイコンタクトが永遠の名場面へと変わる、とても歌舞伎的な表現だと思う」と話して下さいました。
明日は、上演前、休憩時間、閉幕後にどうぞゆっくりとご覧頂ければ、天国のアン・へリング先生もお喜びでしょう。
他に、先日国立文楽劇場へ「仮名手本忠臣蔵」七段目「祇園一力茶屋の段」を見に行った時のパンフレットも展示します。文楽や歌舞伎について詳しい児玉竜一・早稲田大学演劇博物館長のお話も聞いて、参加いただいた皆様方の興味の引き出しをひとつ増やしていただければ嬉しいです。
かつては毎年のように「忠臣蔵」が映画やテレビで取り上げられて、みんなが良く知っている話でしたが、今では知らない若者も多いでしょう。日本人が大切にしてきた「忠臣蔵」のお話を広く知って貰いたいと思ったのも私が企画した理由の一つですが、映画を観た記憶だけでおよそ3年の月日を費やして描き切った芹川文彰さんの凄さも知ってもらいたかったです。そして何よりその表現が時代を先取りしている感があって、そのことも知って貰いたいと思いました。今回、視覚文化論の佐藤守弘・同志社大学教授と伊藤遊・京都精華大学国際マンガ研究センター特任教授のお二人が、芹川さんが描いた作品についてどのように評価されるのかにも注目しています。まだ「劇画」という言葉もなかった時代のことです。坂本頼光さんの巧みな話芸と、即興演奏でそれに音楽を添えて下さる天宮遥さんのピアノ演奏と共に、キネマ画「忠臣蔵」の世界に一緒に浸りましょう。参加無料です。
明日、同志社大学今出川キャンパス良心館RY104で、お会いできるのを楽しみにしています💗